KLab<3656>は、5月13日、第1四半期(21年1~3月)の決算を開示するとともに、テレフォンカンファレンス形式で決算説明会を開催した。発表した連結決算は、売上高63億9200万円(前四半期比で15.8%減)、営業損失5億0500万円(前四半期は1億0400万円の損失計上)となり、減収・赤字幅拡大となった。コストコントロールが効いているものの、売上減が業績悪化の要因となった。これに伴い、2021年12月通期の業績予想も下方修正した。
なお、最終損失が13億8300万円となった。これはすでに報じたように、『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS』(スクスタ)と『テイルズ オブ クレストリア』(テイクレ)の運営成績が振るわないことから、回収可能性を考慮しソフトウェア資産の減損損失15億4000万円を計上したためだ(関連記事)。
まず、売上から見ていくと、この第1四半期は、周年イベントや大型アップデートがなく、多くの既存タイトルで減衰した、としている。特に『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル ALL STARS(スクスタ)』の売上が大きく落ち込んだことが響いたとのことだった。
ただ、そうした中でも、『うたの☆プリンスさまっ♪ Shining Live(シャニライ)』や『テイクレ』の売上は回復したとのこと。
また、海外売上高は微減の24億4500万円だった。これまでと異なり、全社売上と連動せず、堅調な動きとなっている。全社売上の減収要因が『スクスタ』だったが、海外売上の主力は『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~(キャプテン翼)』と『BLEACH Brave Souls(ブレソル)』のためだ。
なお、費用に関しては減少した。ゲームの売上に連動するライセンス使用料と支払手数料が減少したほか、広告宣伝費も57.5%減の2億3700万円と大きく減らした。広告宣伝費は、前四半期に『キャプテン翼』のグローバル版の周年イベントの費用や、国内版で対戦イベントに関する費用が計上されていた。
直近のトピックスとしては、今年4月にカジュアルゲーム開発のグローバルギアがグループに加わった。幅広いカジュアルゲーム展開で定評があり、今後は同社のノウハウとリソースを活かすことでグローバル展開など事業推進を行っていく。現在、ハイパーカジュアルゲームのテスト配信を行っているとのこと。
オリジナルIP「アオペラ」の開発・育成に関しても紹介があった。これは「青春」×「アカペラ」をテーマにした音楽原作プロジェクトで、中長期でじっくりと育成していく方針。スモールスタートで展開し、コアファンをじっくりと醸成していく。「ゲーム化ができなかったとしても、事業として黒字にできるようにする方針」(森田 英克社長)。
また、『ブレソル』のプレイステーション4版を配信することも決定した。収益モデル戦略として、開発したゲームを様々なプラットフォームに展開していく方針を掲げているが、そのモデルケールと位置づけているという。同社としても初の家庭用ゲームソフトとなる。収益源の多様化を図っていく。
最後の、2021年以降の新作パイプラインは、『ラピスリライツ~この世界のアイドルは魔法が使える~』のほか、エレクトロニック・アーツと共同開発中のスポーツシミュレーションゲームや、『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか』シリーズのオンラインゲームの3本となる。プロジェクト化見通しは2本となっている。
また、支援モデルとして、「熊本熊楽園」(IP:くまモン)や、「ジョジョの奇妙な冒険 黄金讃歌」、「弾幕幻想」(IP:東方Project)もラインナップしている。支援モデルとはKLabがIPホルダーからゲーム化権のライセンスを受託し、プロジェクト管理・監修の役務を行いつつ、海外の開発会社と共同でゲームを開発・運営にあたるビジネスとなる。
2四半期連続のQonQ減収・損失計上となるなど、厳しい内容の決算だったことは否定できないが、次の四半期からは『キャプテン翼』や『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル(スクフェス)』などで周年イベントが順次行なわれることに加えて、今回の2タイトルの減損に伴い減価償却費が減るため、業績面での盛り返しは期待できるだろう。
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656