カウンターポイント・テクノロジー・マーケット・リサーチは、10月14日、半導体不足を主な原因として2021年のスマートフォングローバル総出荷台数が減少すると発表した。
同社は当初、スマートフォンの総出荷台数を9%成長の14.5億台と予測していたものの、先の理由などにより6%成長の14.1億台にとどまるとした。
同社によると、2020年にCOVID-19で市場が大打撃を受けた後、今年のスマートフォン業界は強力なリバウンドで好調な出だしを迎えていたという。スマートフォンメーカー各社は大量の部品の発注を昨年末に行い、消費者が買い替えを遅らせたことで積みあがった需要があったことで、第1四半期は活況となっている。
しかし、2021年第2四半期に入ると、一部のメーカーは予定していた数量の8割しか主要部品が入荷しない事態が始まり、そして2021年第3四半期に入ると状況は悪化した。一部のメーカーによると、予定していた数量の7割しか入手できない状態となっており、これが複数の問題を引き起こしているそうだ。
カウンターポイントは該当業界の9割が影響を受けているとみており、これによって2021年下期の見通しに影響が表れると予測しているとのこと。
グローバルスマートフォン出荷量2018年-2021年(2021年は予測数値・100万単位)
出典:カウンターポイント社 Quarterly Smartphone Forecast
半導体不足は、2020年第4四半期から問題となっていたものの、スマートフォン業界はDDI(ディスプレイドライバーIC)やPMIC(電源管理IC)の不足があったにも関わらず、成長を遂げていた。
その要因は、早期生産計画を立て先行発注したこと、アプリケーションプロセッサ(AP)やカメラセンサーといったDDIやPMICよりさらに高付加価値な部品を大量に在庫として抱えたことによるもの。
しかし、ファウンダリが何四半期も連続でフル生産しているにも関わらず、半導体不足は続いており、スマートフォン業界にも影響が表れている。一旦は倉庫にため込むことができた部品も今は底を尽き、新しい部品は予定していた通りには入荷していない状況のようだ。
スマートフォンにおける最重要部品の一つであるアプリケーションプロセッサに関しては、ファウンダリの新製造ラインの歩留まりが悪いことが引き金となり、そこから不足が始まり、その状況が長引いた結果、連鎖反応が引き起こされたとしている。
こうした新ラインを頼りにしていたQualcommやMediatek などのAPベンダーが、半導体製造上の問題の影響を受け、プロセッサの供給不足に陥ってしまい、そのことがスマートフォンメーカーに影響を与えている。
カウンターポイントの調査担当ディレクターであるTom Kang氏は、この半導体不足問題に関して、次の通りコメントしている。
「半導体不足は、エコシステムを形成する全てのメーカーを巻き込んでいるようだ。Samsung、OPPO、Xiaomiはみな影響を受けており、私たちは予測を下方修正した。だが、その中でも、Appleは最も半導体不足に対して耐性がありAP不足の影響が一番少ないメーカーである。」