【決算レポート】ネクソン、第3四半期は最終益132%増の379億円と大幅増 暗号資産の評価益と為替差益で 『アラド戦記』のD復帰が奏功し中国セグメント復調

木村英彦 編集長
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ネクソン<3659>の第3四半期(2021年7月~9月)の連結決算(IFRS)は、売上収益758億9000万円(前年同期比4.4%減)、営業利益298億3500万円(同8.0%増)、最終利益379億0200万円(同132.1%増)となった。

・売上収益:758億9000万円(同4.4%減)
・営業利益:298億3500万円(同8.0%増)
・最終利益:379億0200万円(同132.1%増)

最終利益が大きく伸びたが、同社では、米ドル建ての現預金で161億円の為替差益が発生したことに加えて、暗号通貨「ビットコイン」の市場価格の変動で17億円の評価益を計上したため、としている。

営業利益がプラスとなったが、中国セグメントの売上が45%増と大きく伸びるなど好調だったため。テンセントと共同展開している『アラド戦記』の国慶節アップデートが好調だった。ライセンス収益となるため、採算性が高く、利益インパクトが大きい。交代したディレクターの打ち出した施策がユーザーから好評だったそうだ。

 ■韓国
・売上収益:403億6400万円(同20.1%減)
減収となったが、これは主にモバイルの収益が52%減ったことによる。前年同期は『V4』や『KartRider Rush+』に加え、配信開始直後の『風の王国:Yeon』が寄与したことで過去最高の売上を達成していた。

他方、PCについては増収となった。『メイプルストーリー』が予想通りに減収となったものの、『FIFA ONLINE 4』や『アラド戦記』『サドンアタック』が増収となった。

『メイプルストーリー』PC版では、2020年2月に確率型アイテムの出現率が均等になると打ち出したところ、それ以前の出現率のあり方が問題とされるようになり、抗議が殺到して炎上したという。

もともと韓国では確率型アイテムの出現率に開示義務はなかったため、特に開示していなかったが、それ以降、確率の開示を行うとともに補償を行ったという。同時にユーザーとのコミュニケーションも強化していったところ、徐々にユーザーからの信頼を得られるようになってきたという。

■中国
・売上収益:229億3300万円(同45.4%増)

『アラド戦記』が好調だった。『プロジェクトBBQ』や『アラド戦記モバイル』を担当していたディレクターがPC版のディレクターも兼任となり、打ち出した施策が好評だった。

このディレクターは、ユーザーミーティングを強化するなどユーザーとのコミュニケーションに注力した。そこでキャラクターと武器の育成・強化にかかる時間が負担になっているとのフィードバックに着目し、より速く育つように改修する一方、キャラクターの育成パックの販売を強化した。その結果、「これまでキャラクター1人分だけ買っていたユーザーが2人分を購入するようになった」(同社)など、売上にもプラスに働いたという。

■日本
・売上収益:24億8100万円(同5.4%減)

『TRAHA』や『メイプルストーリーM』の減収が響いた。他方、『メイプルストーリー』が成長し、『ブルーアーカイブ』と『FIFA MOBILE』が増収に寄与した。

■北米及び欧州
・売上収益:45億5000万円(同17.6%減)

『メイプルストーリーM』が前年同期比で成長したが、『Choices』や『V4』の減収により、売上収益は減少した。

■その他
・売上収益:55億6200万円(同11.8%増)

『KartRider Rush+』及び『V4』の売上収益が減少したものの、『メイプルストーリー』と『メイプルストーリーM』の大きな成長により、売上収益は造酒となった。

 

■第4四半期は大幅減益となる見通し
続く第4四半期累計(21年10月~12月)の業績は、売上収益512億1900万円~569億7100万円(前年同期比22.8%減~14.1%減)、営業利益24億6500万円~69億0200万円(同84.1%減~56.0%減)、最終利益2億8500万円~35億7900万円(前年同期は297億8400万円の損失)を見込む。

・売上収益512億1900万円~569億7100万円(同22.8%減~14.1%減)
・営業利益:24億6500万円~69億0200万円(同84.1%減~55.7%減)
・最終利益:2億8500万円~35億7900万円(同297億8400万円の損失)

大幅な減収減益となる見通しだが、前年同期は過去最高業績を出して四半期になることに加えて、主力となる韓国と中国で旧正月などを含む来期(2022年12月期)の第1四半期に実施する大型アップデートに備えて、目先の売上を追求するよりもユーザーベースの強化に注力するためだ。

 

株式会社ネクソン
http://www.nexon.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ネクソン
設立
2002年12月
代表者
代表取締役社長 イ・ジョンホン(李 政憲)/代表取締役CFO 植村 士朗
決算期
12月
直近業績
売上収益4233億5600万円、営業利益1347億4500万円、最終利益706億0900万円(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3659
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