【決算レポート】スクエニHD、第3四半期は驚異的な伸びを見せた『FF14』がけん引し増収増益 コロナで苦しんだアミューズメントも復調進む

木村英彦 編集長
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スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>の第3四半期累計(21年4~12月)の連結決算は、売上高2736億2700万円(前年同期比7.9%増)、営業利益501億3800万円(同22.2%増)、経常利益544億4100万円(同40.7%増)、最終利益398億4400万円(同116.9%増)と大幅増益を達成した。

 9月中間期では減収・営業減益となっていたが、MMORPG『ファイナルファンタジーXIV(FF14)』がけん引し、一気に増収増益に転じた。前年に損失計上したアミューズメント関連事業も黒字に転換し、利益を押し上げた。

また、最終利益の伸びが大きくなっているが、前年同期に計上された新型コロナによる臨時休業等による損失22億円が今期は計上されなかったため。

 
■ゲーム事業はMMOが業績拡大をけん引
主力のデジタルエンタテインメント事業の業績は、売上高が2116億6200万円(同4.0%増)となり、営業利益が494億2500万円(同17.1%増)とグループ全体の収益拡大に大きく貢献したが、そのなかで好調だったのはMMOだった。その売上高は、同63.3%増の482億円を記録した。

『FF14』が月額課金会員数の大幅に増加したことに加え、拡張パッケージが寄与した。『FF14』は、サービス開始から8年を経過したが、いまもなお伸びている。スマホゲームでは考えられないことだ。拡張パッケージについては、『FF14』は12月、『ドラゴンクエストX オンライン』は11月に発売。第3四半期(21年10~12月)は、前四半期に続いて過去最高の売上を記録した。

スマートデバイス・PCブラウザゲームの売上高は、横ばいの978億円だった。収益認識に関する会計基準の適用によって、収益の表示方法の変更があったことから増収となったという。既存タイトルが弱含んだとしており、全体としては厳しい内容だったという。

またHDゲームは、同14.6%減の655億円だった。『OUTRIDERS』、『NieR Replicant ver.1.22474487139...』、『Marvel's Guardians of the Galaxy』を発売したが、『FINAL FANTASY VII REMAKE』、『Marvel's Avengers(アベンジャーズ)』を発売した前年には及ばなかった。

 
■前年苦しんだアミューズメントも復調
売上高は331億5500万円(同36.4%増)となり、営業利益は13億3700万円(前年同期は営業損失11億1600万円)となった。前年同期において、政府の緊急事態宣言発出を受け、新型コロナウイルス感染症の拡大防止対策として、国内の店舗を臨時休業とした影響が大きかったことから、増収、黒字転換となった。

アミューズメント事業の四半期別の売上高と営業利益の推移を見ると、2020年4~6月に大きく落ち込んだが、徐々に回復し、直近の四半期をみると、売上、利益ともに新型コロナ前の水準に戻ったことが確認できる。

 
■出版事業
売上高は210億6500万円(同4.6%増)となり、営業利益は89億0600万円(同0.4%増)となった。同社では、電子書籍等のデジタル媒体での販売が増加したほか、紙媒体での販売も堅調に推移した、としている。

累計では増収増益を維持したものの、四半期別の推移を見ると、21年10~12月は売上高が同10.2%減の69億1700万円、営業利益が同16.4%減の29億3300万円と2ケタの減収減益。前年同期比での減収減益は2四半期連続となる。

 
■ライツ・プロパティ等事業
売上高は104億6500万円(同49.4%増)となり、営業利益は31億6900万円(同69.8%増)となった。自社コンテンツの新規キャラクターグッズの販売等が好調に推移したことから、増収増益となった。

 
■2022年3月通期の見通し
続く2022年3月通期の業績については、売上高3400億円(前期比2.2%増)、営業利益500億円(同5.9%増)、経常利益500億円(同変わらず)、最終利益350億円(同29.9%増)を見込む。同時に、以下のように業績予想の上方修正をも行った。

・売上高:3400億円(前回予想3400億円)
・営業利益:500億円(同400億円)
・経常利益:500億円(同400億円)
・最終利益:350億円(同240億円)

『FFXIV』の課金会員数の大幅増に加えて、拡張パッケージの販売好調が主な要因。さらにライツ・プロパティ等事業における自社コンテンツの新規キャラクター販売が当初の想定を上回ったことや、期初想定の為替レートに対して円安が進んでいることも一因。

株式会社スクウェア・エニックス
https://www.jp.square-enix.com/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス
設立
2008年10月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高2428億2400万円、営業利益275億4800万円、経常利益389億4300万円、最終利益280億9600万円(2023年3月期)
企業データを見る
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
https://www.hd.square-enix.com/jpn/

会社情報

会社名
株式会社スクウェア・エニックス・ホールディングス
設立
1975年9月
代表者
代表取締役社長 桐生 隆司
決算期
3月
直近業績
売上高3432億6700万円、営業利益443億3100万円、経常利益547億0900万円、最終利益492億6400万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9684
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