【決算レポート】カプコン、第3四半期は過去最高業績 主力シリーズの新作・リピートがデジタル販売で拡大 アミューズメント施設も「順調に回復」(野村CFO)

木村英彦 編集長
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カプコン<9697>の第3四半期累計(21年4~12月)の連結決算は、売上高881億6300万円(前年同期比35.9%増)、営業利益350億9600万円(同43.9%増)、経常利益361億4800万円(同50.1%増)、最終利益267億0800万円(同52.4%増)となり、大幅な増収増益を達成した。いずれも過去最高業績である。

売上・利益の多くを稼ぐゲーム事業が好調だった。『バイオハザード』や『モンスターハンター』シリーズの大型新作の投入やリピートタイトルの売上がデジタル販売を中心に伸びた。新型コロナの影響で苦戦したアミューズメント施設も回復した。

 
■デジタルコンテンツ事業は主力シリーズ好調
セグメント別に見ると、主力のデジタルコンテンツ事業は、売上高704億5300万円(同43.9%増)、営業利益358億9400万円(同44.8%増)とお大幅増収増益を達成した。第3四半期においては、新作タイトルの発売はなかったため、リピート販売に注力したという。

『バイオハザード ヴィレッジ』と『モンスターハンターストーリーズ2~破滅の翼~』が好調に推移したほか、2017年発売の『バイオハザード7レジデント イービル』も累計販売本数1000万本を突破するなどリピートタイトルの販売拡大が業績に貢献した。

これにより、年間計画販売本数3200万本に対して、第3四半期累計における総販売本数は2580万本を達成し(前年同期は1980万本)、特に採算性の高いデジタル販売が続伸したことにより、収益を押し上げた。

このほか、モバイルコンテンツにおいては、同社主力IPを用いたライセンス収益が利益に貢献した。ライセンス収益は、中国市場へのライセンスアウトがメインで、業績への影響は軽微になるという。中国でのゲーム規制については、現時点では大きな影響はないと見ているそうだ。

 
■アミューズメント施設事業
売上高は89億9200万円(同28.1%増)、営業利益は4億1900万円(同383.4%増)となった。「新型コロナの影響を引き続き免れることができていないが、順調に回復している」(CFO野村謙吉氏)。

昨年9月の緊急事態宣言の解除による来店客数の回復に加え、既存店の効率的な店舗運営と新業態での出店効果および最新のキャラクターグッズなどの導入により収益拡大を図り、増収増益となった。

第3四半期累計において、昨年6月に「プラサカプコン ミッテン府中店」および昨年7月に「MIRAINO イオンモール白山店」(石川県)の2店舗をオープンするとともに、昨年5月に1店舗を閉鎖したので、施設数は42店舗となっている。


■アミューズメント機器事業
売上高は49億3700万円(同26.4%減)、営業利益は19億3200万円(同20.5%減)となった。厳しい市場環境の中、新機種『モンスターハンター:ワールド 黄金狩猟』を昨年12月に発売した。また、前期に投入した『バイオハザード7レジデント イービル』は、市場での長期稼働を受け、リピート販売に努めた。

 
■その他事業
売上高は37億8100万円(同74.2%増)、営業利益は15億4900万円(同79.8%増)となった。「ライセンスビジネスが順調に拡大した。カプコン作品と各社とのコラボレーションが順調に拡大した」ことが主な要因だ。一方、eスポーツについては引き続き先行投資を行った。大会数の拡大を進めており、配信媒体における再生数も着実に伸びているとした。

 
■2022年3月通期の見通し
続く2022年3月通期の業績については、売上高1000億円(前期比4.9%増)、営業利益420億円(同21.4%増)、経常利益420億円(同20.5%増)、最終利益300億円(同20.4%増)を見込む。従来予想からは変更はない。

 

株式会社カプコン
http://www.capcom.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社カプコン
設立
1983年6月
代表者
代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
決算期
3月
直近業績
売上高1259億3000万円、営業利益508億1200万円、経常利益513億6900万円、最終利益367億3700万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9697
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