【決算レポート】グリー、第4四半期は『ヘブバン』好調維持し2四半期連続の売上200億円、営業利益30億円台突破 「長年やってきたゲームアプリが花開いた」(大矢CFO)

木村英彦 編集長
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グリー<3632>の2022年6月期 第4四半期(22年4月~22年6月)の連結決算は、売上高208億7500万円(前四半期比0.3%増)、営業利益38億4200万円(同2.6%増)、経常利益54億2700万円(同11.6%増)、最終利益35億1500万円(同5.6%増)と増収増益だった。2四半期連続で売上高200億円、営業利益30億円の大台と超えた。

・売上高:208億7500万円(同0.3%増)

・営業利益:38億4200万円(同2.6%増)
・経常利益:54億2700万円(同11.6%増)
・最終利益:35億1500万円(同5.6%増) 

 ゲームを展開する主力のインターネット・エンタメ事業が好調だった。8月4日に開催したテレカン形式の決算説明会で説明にあたった同社取締役の大矢俊樹CFO(最高財務責任者)は、「ゲームアプリを長年やってきたが、大きく花開いた」と振り返った。為替差益の計上で経常利益も伸びた。

同社では、『ヘブンバーンズレッド(ヘブバン)』がリリース後の反動もなく好調をキープしたことに加えて、『アナザーエデン』や『シノアリス』など周年イベントが好評だったとしている。費用面では、『ヘブバン』初期リリースに関連したプロモーションが落ち着いたことで、広告宣伝費が減少したことも利益を押し上げた。

ゲーム事業を統括する取締役の前田悠太氏は、「2022年6月期は、2017年以来のリリースラッシュだったが、当時に比べると開発・運営体制の充実度が全く違う。運用力や海外展開の力、プラットフォーム展開力が格段に上がった。これらが『ヘブバン』が好調を維持できている要因ではないかとみている」とコメントした。

2017年のリリースラッシュ時から学んできたことを聞かれれると、

・事前事後のマーケティング力:ファンの期待を超える盛り上げ
・ゲーム品質:エンジン戦略でかかげたシステムの成長、3Dグラフィックの品質向上
・リリース時のボリューム:熱量の高いユーザーに驚いてもらうためには相当量のコンテンツを事前に準備する

をあげた。ちなみに、2023年6月期については、新作のリリースは予定しておらず、2024年6月期に向けた仕込みの時期になるそうだ。

既存タイトルでは、オリジナルIP『アナザーエデン』に言及した。IPコラボや大型アップデートのほか、PC版のリリースで新しいユーザー層が獲得できたことなどが奏功し、同社の長期運営タイトルとして好調を維持している、とのこと。

第4四半期(2022年4~6月)で5周年を迎えた本作だが、『クロノクロス』コラボや5周年大型アップデート「彷徨える少女と久遠の渦」などを実施。セールスは非公開だが、App StoreとGoogle Playのセールスランキングでも上位に入る活躍を見せた。

また、メタバース「REALITY」は、グローバル展開のほか、アバターやライブ配信、コミュニケーション、ゲーム、ワールドと5つの体験の強化を進めており、順調に拡大した。ユーザー数は非公表だが、海外ユーザーが8割を超えており、「収支均衡レベル」まで成長しているそうだ。

 大矢氏は、「当社はもともとSNSで創業した会社だ。長く手掛けてきたアバターやゲームの知見やノウハウを生かして、新しい時代のコミュニケーションサービスを作りたい」とコメントした。

なお、今後2~3年で100億円の投資を行うと発表していたが、ここまで計画通りに進んでいると明かした。ただ、先行費用にすべて投じるわけではなく、設備など資産への投資も含めて100億円を計画しているとのこと。

このほか、インターネット・エンタメ事業は、ゲーム・アニメ事業に名称変更する。ゲームの組織を一本化し、前田氏が統括する。IP創出・育成の専門部署も作る考えだ。ゲームとアニメの相互連携を強化して有力IPを創出・育成し、利益率と収益性を長期的に高めていくという。


■第1四半期の見通しは営業利益10億円台の前半の水準 

続く2023年6月期の業績見通しは非開示だが、第1四半期の営業利益については10億円台の前半の水準で着地する見通しとした。第4四半期の営業利益が38億4000万円だったことからQonQでは大幅な減益となる。

新作タイトルや周年イベント実施した主力タイトルの反動減が出てくるほか、メタバース「REALITY」への開発・運用、新作ゲームの開発など先行投資を行っていく、としている。

すでに書いたように、同社では、2023年6月期については新作ゲームのリリースを予定しておらず、2024年6月期に向けた仕込みの時期と位置づけているという。このため、費用先行となる1年を想定しているそうだ。

グリー株式会社
http://www.gree.co.jp/

会社情報

会社名
グリー株式会社
設立
2004年12月
代表者
代表取締役会長兼社長 田中 良和
決算期
6月
直近業績
売上高613億900万円、営業利益59億8100万円、経常利益71億2300万円、最終利益46億3000万円(2024年6月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3632
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