【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第56回 Fortniteメタバース計画始動:優勝はプログラムもできない若干16歳の高校生、「検索」ではわからない新世界の胎動

中山淳雄 エンタメ社会学者&Re entertainment社長
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フォートナイトといえば「100人でのMap上バトルロワイヤル」のイメージが強いが、実は2017年7月に始まったこの世界的ゲームでは、「マインクラフト」や「あつまれどうぶつの森」などのように2018年12月から「フォートナイトクリエイティブ」という自分で街づくり・ゲーム作りができるモードが追加されている。Noteにおいて2022年12月に開催された「オープンハウスPresents メタバースクリエイティブアワード featuring Fortnite」、今回グランプリに輝いたのは若干16歳の高校生であった。なぜ高校生Fortnite上でクリエイティブを行っているのか?今回はメタバースの事業ポテンシャルについて取材した。

  

   

■「普通の高校生」がプレステ4で150時間かけて作った街がメタバースコンテスト優勝

――:自己紹介からお願いいたします。

かふぇおれと申します。滋賀県の田舎町で高校生をしており、Fortniteは2年前の2020年からハマり始めて、ここ2年ほどFortniteでクリエイティブをしております。今回はグランプリ受賞ということで驚いております。

 

▲高校生ということで顔出し無しのかふぇおれさん

 

 

――:2006年生まれのかふぇおれさんは物心がついたときにはスマホがある、いわゆる「アルファ世代」と呼ばれる世代です。ゲーム経験としてはどんな感じでしょうか?

僕のゲーム経験でいうと小学校1年生(2013年)のときから3DSで妖怪ウォッチとかポケモンをやってきました。そうした中で今回のような「クリエイティブ」的なゲームに最初に触れたのは「マインクラフト」(2009年開始で日本では2014年ヒカキンの配信あたりからブームに)ですね。当時からオンラインの公開モードで作ってやってました。

――:フォートナイトはバトルロワイヤルからですか?

いえ、最初からクリエイティブモードで入りました。周りの友人をみていると、基本的にはバトルロワイヤルだけで、クリエイティブをやっているのは僕くらいしかいませんでした。操作が難しくて、ちょっと慣れるのに時間がかかるんですよね・・・

――:コンテストにはよく応募されているのですか?

今回が初めてです。もともと一人で色々創りこんでいたので、今回のものは2022年10月ごろに募集があって、12末の締切にまで間に合うならちょっとやってみようかな、と。時間としては1日3~4時間かけて、それを土日も含めて1-2カ月丸々費やしてやっているので合計時間としては150時間くらいかけて作ったものになります

――:相当時間かけてますね!!どうやってつくってるんですか?

ここまで手間をかけたものも初めてです。中学時代は陸上部に所属していて、あまり時間がないなかで、建物やビルが好きだったので、自分の感性にあうものをコツコツつくっていたんです。全部PS4だけで作ってます。

――:「高校生がメタバースコンテストで優勝!」というと、なんかすごい勉強できる天才児なのか、小学校からバリバリコーディングしてたような人がでてくるのかと思ってました笑

勉強は・・・普通だと思います笑。数学はまあそれなりにできるほうだと思いますし、どちらかといえば理系型ですけど、プログラミングができるわけじゃないです。PCも持ってませんし。フォートナイトのクリエイティブって知識はあまり関係なくて、どちらかというと絵をかいたりとか、芸術活動に近いところがあるかもしれません。

――:ほかに一緒に作っている友人はいるんですか?今回の受賞は親や友人も反応はよかったんでしょうか?

周囲はいませんね。周囲の友人でクリエイティブやっている人はいないんです。今回の受賞も「おおー、スゲーじゃん!」みたいに一緒に喜んではくれましたね。親も。勉強以外で一生懸命頑張ってることがあまり評価される機会がないので、嬉しかったですね。

――:よく1人でコツコツ作り続けられますね。これは多くの人に見せることがモチベーションなんですか?View数ですとか。

僕はあまり見ないんです。どのくらい遊ばれているかとかいいねとかコメントがどのくらいつくとかは、あまり追ってないですね。

――:確かにこうやってお話していると、普通に運動部にいる高校生という感じですよね。とはいえ、Twitter1840フォロワーというのは高校生にしたらかなり多いですよね?

2020年9月にTwitterを初めて、最初はホント200人くらいだったんですけど、一度「都庁をつくってみた」などいくつかクリエイティブをあげたときに11万いいねがついたことがあって、その時に一気に1000人くらい増えました。

――:都庁はなかなか複雑ですよね。こちらも時間かかってますよね?実際に建物見に行ったりして、研究して作るのですか?

都庁のときは50~100時間くらいかけたかと思います。滋賀県のかなり田舎のほうに住んでいるので、普段こういう高層ビルに触れることは無いんですよね。Googleマップでちょこちょこ見ながら、好きな建物を参考にしてそのまま作ります。建物が好きなので、、、直接観に行ってまで、というのはやってないです。

今回の作品も最初からこの大きさで作る、という設計があったわけじゃなくて、ノリでどんどん継ぎ足ししていく感じです。そのうちメモリが限界になるので、そこでいったん終了という感じです※。ホントはフォートナイトにはこのメモリー問題を解決してほしいんですが。

※フォートナイト・クリエイティブでは10万メモリーという制作の上限がある。壁1枚が4メモリーくらいの単位で、この10万メモリー×50部屋をつくるとそれ以上がセーブできなくなるため、(アップロードして残さない限り)自分のフォルダで削除して新しいものを作らざるを得ない。

――:まわりの「普通の高校生」というのも知りたいのですが、学校でどのくらいがどんなゲームをしていて、かふぇおれさんのこういう活動は皆にチヤホヤされたりするものでしょうか?

かなり田舎のほうにある学校で1学年300人くらいですかね。クラスでいうと基本的に皆ゲームはやってますが、一番多いのはAPEXですかね。半分くらいの人はやっていると思います。フォートナイトだと1-2割もいかないんじゃないかと思います。

PCや家庭用ゲームだとあまりチヤホヤされることはないんですが、8-9割がスマホもって日常的にゲームもしているから、モンストとかツムツムができるほうが周りに人が集まりやすいですよね。僕はかなりソロプレーヤーだと思います。

――:フォートナイトやっちゃうともうマイクラはやらないんですか?

いつもずっとプレイするというよりは、たまに、という感じですね。友人と一緒に久しぶりにサバイバルに入るか、くらいで。むしろゲームについてよく話すのはDiscord上の友人で、10人くらいいますかね。直接会ったことはないんですけど。

――:目標にしている人はいるんですか?

ABUSHさんですね。今回のコンテストには出られていないんですが。今回バースステーションを作った時も、広告の張り方とかアドバイスもらいました。

――:フォートナイトだと「フォートナイトで渋谷の街を再現した人」が有名になりましたよね。「沼にハマってきいてみた」にも出演されていて。

ヤノスさんですね。彼も高校生ですし、Discordでつながってます。

――:今回の優勝を経て、かふぇおれさんとしては今後どうなっていきたい、というのはありますか?

まだ高校生なのでなんとも、、、色々考えたいと思っています。あと、ノトフさん経由で、お仕事の依頼などはどんどんやってみたいですね。それこそ東京都からオファーいただければ、もっと完成度高く都庁つくったりしたいです。

 

 

■世界で3番目に遊ばれているトップゲーム、最もクリエイティブに特化した作品

――:今回のイベントを主催されたNeighbor社CEOのノトフさんにもインタビューしました。

ノトフ:ノトフと申します。今回のイベントは2022年10月に募集を開始して12月末に締め切りを設定しました。賞金などの運営費用は、協賛であいおい生命保険さんとオープンハウスさん2社が入って頂き、note上で参加したいクリエイターがそれぞれで締め切りまでにつくった作品を上げて、そこから審査していきました。合計で関口メンディー氏(EXILEパフォーマー)、濱村崇氏(ハル研究所出身のゲームディレクター)、髙藤直寿氏(柔道家)、徳力基彦氏(noteプロデューサー)の4人の審査員に評価・投票頂いたうえで、今回最優秀賞となったのが、かふぇおれさんの『マッチメイキングハブ:バースステーション』でした。

 

――:オープンハウスさんは元HIKKYのCOOだった角田さんがメタバース・エヴァンジェリストとして入社されているのでわかるのですが、なぜあいおい生命さんが協賛を??

ノトフ:確かに「なぜあおいおいさんが!?」という感じですよね。エンタメ企業ではないし直接的にメタバースと事業内容が結びつくわけではないイメージなんですが、メタバースに関しては予算を通してくれていて応援していただいてます。内容も「保険」について触れなくてもいい、とにかく面白いゲームをつくってくれ!ということで、メタバースの中にあいおいの看板広告を入れるくらいでかなり自由に支援いただいてます。

――:今回5名の方が受賞しましたが、どのくらい応募が集まったのでしょうか?

ノトフ:50作品くらいの応募がありました。1作品3~4人で作っているものも少なくないので、全体で言うと100人規模が参加した大会、となったのではないでしょうか? 実は日本全体でいうと、今回の「クリエイティブモード」はまだまだプレーヤーが少ないんです。そもそもかふぇおれさんのレベルで、遊んでもらえる作品を作って出せるクリエイター、でいうとそもそも日本中探しても100人くらいしかいないんじゃないかと思います。

――:なるほど、まだまだ日本でクリエイター育成中、という感じなんですね。フォートナイトはROBLOX(2億人)、マインクラフト(1.7億人)に次いで、月8300万人と世界トップ級に遊ばれているゲームです。クリエイティブモードのプレイ時間がどんどん増えているみたいな統計を見たことがあります。

ノトフ:公式発表ではすでにFortniteの8,300万人の月間ユーザーのプレイ時間でいうと、バトルロワイヤル:クリエイティブで50%:50%くらいになってきています。ただそうはいってもクリエイティブの中でも「バトルをシミュレーションするためのマップに入って練習する」という割合も結構大きいので、実態としてクリエイティブを主体に遊んでいるのは「全体のプレイヤーの2-3割くらいなんじゃないか」という感じがしています。

――:建物やゲームを作って他人に遊んでもらうって、どうぶつの森(2001~)、マイクラ(2009~)など昔からあったと記憶しており、フォートナイト(2017~)もクリエイティブモードが入ったのは2018年からと比較的新しいです。なぜ他の作品ではなく、皆さんフォートナイトを選ぶのでしょうか?

ノトフ:圧倒的に使い勝手が違います。あつ森は世界観の広がりや自由度は限定的ですし、ROBLOXはプレイ人口は多いけどプラットフォームも開発環境も古いんですよ。マイクラもコミュニティを重要視するのでNFTを入れたり、メタバース化していくことには否定的。そうした中で、最も技術先行で、メタバース化を一番積極的に推進しているのがフォートナイトなんです。

やっぱり絶対的に違うのはフォートナイトのEPICは「技術の会社」なんですよね。ミドルウェアのUnrealをもっているという強みがあって、最近も3D系の制作会社を買収したり、オープンソースのBlenderにも出資しています。

――:確かに1991年のゲーム開発会社に端を発するEPICは1998年からUnreal Engineといって皆が使えるゲーム開発エンジンをつくり、「ゲームを作る人を作る」ということをずっとやってきた会社です。2012年にはTencentも出資し、2020年にはSonyも$2.5億ドル出資しました。昔モバイルでも『Infinity Blade』という眉目秀麗なソードアクションを出して、有料ゲームで5千万DLもされました。私も「Unreal使うとこんなすごいもんできるんだ!!」と驚きました。しかし、かふぇおれさんがプログラミングができないのに、この壮大な建物を作ったといってたのが驚きました。

民主化しましたよね。ROBLOXも自由度は高いんですけど、フォートナイトって完全にノーコードで作れるんですよ。3DつくるのにBlenderもMAYAもいりません。なんだったらモバイルでアプリででも作れてしまうし、Switchでも作れてしまう。テレビ朝日でもメタバース特集やってたときに、本当になんでもない主婦が創りこんでいて皆が圧倒されるという番組もありました。遊んでるうちに凝り性な人は、どんどん「創ること」にはまっちゃうんですよ。

――:これ、プログラムスキルは関係なくなるんですかね?

今集まっている人をみていると、システム脳とデザイナー脳の2つの方向性があるなと感じます。システム脳の人は従来のような理系の人で年齢もやや高め、でも彼らはグラフィックはそんなに得意ではない。でもだんだん作っているうちに、デザイン部分が弱いな、ということでデザイナー脳の人を入れるようになっていったりしている。

そもそもデザインセンスがある人が、絵を描くかのようにどんどんゲームの中でもクリエイティブができるという点で、フォートナイトがゲーム作りの門戸を開いたのは大きいと思ってますし、同時にプログラマがデザイナーと組んで凄いものを作ったり、インディーな世界でもチームで作りやすくなっていることは確かです。

 

■けんすうと作ったメタバース上のロケスタ君ゲームが世界で100万回再生の大ヒット

――:ノトフさんはなぜこのメタバース事業をはじめたんですか?

もともとは地下アイドルのためのイベント事業で起業をしていたんです。そしたらコロナで全て飛んでしまって、世界で挑戦できる新しいものというのを考えていた時にフォートナイトに出会ったんです。僕自身もいままでで1000時間くらいはプレイしているヘビーユーザーでしたし。Neighborは創業が2022年5月ですが、その1年ほど前から「メタバース上の制作代理店」として動いていたんですよ。

――:かなり黎明期ですよね。2020年なんて、それこそ8月にAppleストアの手数料に異議申し立てを行い、訴えたEpicがフォートナイトをAppleから取り下げられ、かなり大事件になりました。でも2021年なんかはちょうどタイミングもよかったんじゃないですか?

いや、実は2021年はダメダメだったんです。最初はフォートナイト上での企業PR案件を企画して、代理店と声かけあって営業しまくったんです。でもなしのつぶてでした。まだ誰もメタバースどころかフォートナイトも知らなくて・・・

市況が一変したのは「メタ」のお陰です。Facebook社が21年10月に社名をメタに変えて、メタバースへのコミットを発表した瞬間、反応が180度ガラリとかわったんです。もうこの22年5月の会社設立時期には、もう毎日4-5回のミーティング枠が全部埋まってしまうほどの大盛況でした。

――:おおーなるほど!突然テレビも新聞も「メタバース!メタバース!!」の大合唱でしたよね。2020-21年は早すぎて、21年末から急激に展開されたんですね。

もともと企業と一緒にやろう、ということ自体もグレーだったんですよ。EPICが企業スポンサードを認めたのが2022年秋だったので、我々としてはその1年前からこれがいいのかわるいのか不透明ななかで動いていたんです。

そうした中で単なるエージェンシーとして案件をまわすだけじゃなく、自社もリスクをとって開発していこうと思って、クリエイターを集め始めたんです。今回の取り組みも、(まだ日本には100人程度しかいない)クリエイター発掘と育成を目的にしています。こうした事業転換は、実は「けんすうさん」のお陰なんです。

――:あ、IT起業家のけんすうさん(古川健介氏)ですか?

はい、中山さんも一緒にテレビ出演されてましたよね(『ホンマでっかTV』で文化人枠として共演)笑。2022年にけんすうさんがメタバースについてつぶやいていたので、直接DMで送ったんですよ。そしたらちょっとミーティングしましょうかとなって、こちらの構想などを説明したところ、「だったら、僕の作品、つくってみます?」とトントン拍子でお仕事いただきました。初めてお話して、20分くらいの間にです。

それで2022年7月にけんすうさんのアイコンでもあるロケスタ君を使ってロケットゲームをフォートナイト上でリリースしたんです。最初2-3か月たったところでも実は20万回再生くらいで、「かなりヒットしたな!」という感じでした。ただ驚いたのは3か月たったところでフォートナイトのトップページフィーチャーされたんです(AppleやGoogleのストアでもあるが、プラットフォーマーがお勧めのゲームなどをページトップに持ってくる)。そしたらあっというまに100万回再生までいきました。これYouTubeとかでいうと1000万回再生された、くらいのフォートナイト内でも大きなインパクトでした。

 

▲古川氏のアイコン「ロケスタ君」が人工知能が暴走して世界を破壊!ロケスタと戦うボス戦マップがフォートナイトのグローバルトップページをジャックした

――:100万再生!8300万人がプレイしてるとはいえ、それはすごい「視聴率」ですね。なるほど、それでメタバース事業がどんどんドライブするわけですね?100万人はどんな方々が入ったんですか?

いえ、まだフォートナイトの仕様上、100万人の属性までは見れないんです。海外が多いことは確かですが。

ただあれだけ先端技術に詳しいけんすうさんでも、当時フォートナイトの現状はそこまで詳しくはなかったんです。いろんな人と話してきましたが、VCも含めていわゆる「日本の上流」にいる人はほとんど今ここで起こっていることを理解していないと思います。そこをNeighborが橋渡しできればと思ってます。

――:じゃあ、競合もあまりいない状況なんですか?

はい、メタバース上で建築物つくります、という個人は増えてきましたけど、これを専業として会社でやっているというのは私は知らないです。まだ我々しかいない、と思ってます。

――:このロケスタ君の成功例をもって色んなオファーがきているんじゃないですか?

はい、けんすうさんつながりでかなり有名な方々が興味もっていただいてます。まだ未発表ですが、ホリエモン(堀江貴文氏)が関わっているロケット企業インターステラテクノロジズ社から発注を受けて、それをかふぇおれ君に依頼して一緒につくっていこうと思っているところです。

 

■メタバースの空気は「検索」では捉えられない。新世代クリエイターたちがみている「新しい世界」

――:今後メタバースはどのようになっていくのでしょうか?フォートナイトやROBLOXなどゲーム発の空間とはちょっと色合い違いますが、SandboxやDecentralandなどいわゆるメタバース空間発のものはどう思いますか?

僕はあちらのサービスは来ない、と思ってます。そもそもゲームをするために、クリエイティブをするために人が集まっているうちに、空間になっていって、結果的にメタバースになる。「ここがメタバースですよ」というハコから入る空間は今後も流行らない、と思いますね。

――:ではゲーム空間が延長してメタバースになっていくと思っているわけですね。

はい、その上で、弊社としてはフォートナイトが一番そこに近いと思っています。技術の会社という点もそうですが、そもそもTim Sweeney(Epic Games CEO)が2016年からメタバースについて言及しているんですよね。彼自身、クリエイターが自由に作る空間でどんどんデジタルを拡張させたいと言っていて、まさにこのゲーム発でそれが実現してきているように思います。

――:「メタバース」という言葉自体は、現在の日本だと一時的な流行でおわっていくよねとみられているようにも思います。

それってやっぱり「検索」で皆が追っているからだと思うんですよ。Twitter、YouTube、Tiktokで「検索している」うちはそういう情報ばっかりになっていく。でも若い子とDiscordで話してると、全然雰囲気違うんですよ。それはどこの履歴にも残らないし、Googleの検索にもひっかからない。まちのカフェで雑談しているのと同じ。でもその内容や勢いを肌で感じていると、メタバースへの志向性も全然違うんだなと思います。

弊社ではそういった「空気感」を大人にも発見してもらえるように、あえてPR Timesでプレスリリースを打ちます。「検索できる世界」に爪痕残しておかないと、ひっかからないですから。

――:それは非常に面白いお話ですね!たしかに、ネットはすべてを網羅する、的な勘違いがありますが、実はGAFAの検索網のなかを我々は世界と勘違いしてますよね。実はそこに残っていない「死角」からゲームチェンジャーが現れる、ということは歴史を振り返ってもよく理解できる話です。

はい、Neighborとしてもそういうゲームチェンジャーを集めようとして、新しい世代のクリエイターたちをDiscord経由でピックアップしていくようにしています。

――:今回のコンテストもその取り組みの一つということですよね。Neiborさんが現在つながっているフォートナイトのクリエイターはどのくらいの人数なんですか?

現状は20名くらいですかね。男性9割の業界で女性は少ないですが、年齢は意外にバラバラです。かふぇおれさんのような高校生もいますが、30代の方とか、専業主婦の方もいます。ゲーム開発の専門家もいれば、実は全然素人、という人もいます。まずはそういう優れたクリエイターを集めて、活躍の場をどんどん広げていく段階だと思ってます。

――:ロケスタ君のようなフォートナイトゲームをつくっていくのにいくらくらい必要なんでしょうか?またそれはどのくらい売上なり視聴効果を見込めるものでしょうか?

いまは500万円単位くらいでお金を頂いて作ることが多いです。ただ100万再生というのはさすがに出来すぎな結果です。その後つくったものは数万人が参加した、で終わるものもあります。

そして、これは最初にお客様に言うことでありますが、まだブランディングのためのものという要素のほうが大きいです。メタバースでそのゲームをプレイしたら保険に入るようになるとか商品が売れるようになるといったところまではいけていないです。まずは先ほどのような新しい世代に対して企業や商品をブランディングするための実験的な装置として建物をつくったりゲームをつくったりといった段階に過ぎない、黎明期ではあると思ってます。

――:フォートナイトは今後、どうなっていくと思いますか?またそれ以外のメタバース自体の展望の可能性をノトフさんはどうとらえられてますか?

2023年3月のGDC(Game Developers Conference)でフォートナイトの新機能「Fortnite Creative」が発表されました。この発表でフォートナイトクリエイティブの自由度が全く別物になりました。Unreal Engineと近いものになり、これまで以上の綺麗なグラフィックスが作れるようになりコードも書けるようになりました。今後はゲーム制作のプロの参入も増えていくと思います!NEIGHBORとしては「フォートナイトのことを知ってること」の強みを活かして、Unreal Engineのプロたちとも手を取り、日本発の新しいメタバース体験を生み出したいとワクワクしてます!日本一丸となってグローバルで挑戦します!

 

▲Neighbor社代表のノトフ氏

会社情報

会社名
Re entertainment
設立
2021年7月
代表者
中山淳雄
直近業績
エンタメ社会学者の中山淳雄氏が海外&事業家&研究者として追求してきた経験をもとに“エンターテイメントの再現性追求”を支援するコンサルティング事業を展開している。
上場区分
未上場
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