【インタビュー】拡大を続けるAimingのクリエイター集団「Team CARAVAN」…発足から2年で見せる成長の軌跡と熊本を拠点に目指す新たな野望

2021年より事業部制を導入し、人員拡大させているAiming<3911>の第二事業部。

通称「Team CARAVAN(チーム・キャラバン)」と呼ばれる同スタジオは、スマートフォンで本格的なRPGが楽しめる『CARAVAN STORIES』(以下、『キャラスト』)や『剣と魔法のログレス いにしえの女神』、『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン』(以下、『カゲマス』)等のタイトルを開発・運営している。

Aiming第二事業部は熊本県熊本市にTeamCARAVAN熊本ベースを新設。2023年4月24日熊本県熊本市と立地協定を締結した。なお稼働開始時期は2023年6月を予定している。

2022年1月に実施した、Team CARAVANを取り仕切る髙屋敷哲氏のインタビューから約1年半が経ち、同スタジオはどのように拡大しているのか?

今回、同スタジオのキーマンにインタビューを行い、Team CARAVAN発足から今日までにアップデートされた事、そして新たな展開となる熊本サテライトオフィス「Team CARAVAN熊本ベース」に関する話を聞いた。

◆発足から2年…拡大し続けるTeam CARAVAN

▼Aiming第二事業部メンバー紹介▼

副事業部長/プロデューサー 竹内正彦氏
企画職出身で副事業部長を務める。直近では『カゲマス』のプロデューサーを務め、現在は新作の開発に移行。

副事業部長 久保貴美氏
デザイナー、アート全般の管理運用マネージャーを務める。Aimingでは『幻塔戦記 グリフォン~新章~』や『キャラスト』のアートディレクターを担当していた。

エンジニア部部長/シニアマネージャー 吉田正広氏(Team CARAVAN熊本ベース代表)
エンジニア人事・採用を統括しつつ、『カゲマス』ではサーバーエンジニアのリードを務める。

アート部部長/シニアマネージャー 板井諒輔氏(Team CARAVAN熊本ベース副代表)
『カゲマス』『CARAVAN STORIES』ではエフェクト及びチームの取りまとめを担当。「Team CARAVAN熊本ベース」の副代表を務める。


▲(写真左から)板井氏、吉田氏、竹内氏、久保氏

――:発足から2年が経ちましたが、改めてTeam CARAVANについてお聞かせください。

久保:10年前にハイエンドなスマートフォンアプリ、アートの表現に特にこだわりを持った作品を制作するチームとして立ち上げ、当時としてはスペックやサーバーに対して挑戦的な内容の『幻塔戦記 グリフォン』をリリースしました。

その後、テレビ画面に映しても装飾のないスマホゲームを作るというコンセプトのもと『キャラスト』の開発に着手し、当時のスマホのハード性能の限界を攻めたゲームを世に送り出しました。

2年前に事業部制となって第二事業部(Team CARAVAN)が組織されて『カゲマス』をリリースしました。

竹内:発足から2年が経ちますが、その中で『カゲマス』がTeam CARAVANとしての最初のチャレンジでした。それが成功につながり収益性も増した中で、チームとして「やれたらいいね」から「実現できた」というフェーズに移行した、という所がここまでの状況です。

久保:現在Team CARAVANは、事業開発部、開発支援部、研究開発部、企画部、エンジニア部、アート部、運営部の7つの部で構成されています。

職業別の組織体で運用をしていますが、プロジェクト別の組織も持つ二軸体制を構築しています。ゲーム開発はプロジェクト性の側面が強いので、常に横のつながりを意識した組織体制になっています。

竹内:発足時からバージョンアップしている点として、年間100名を目標に積極的に採用する中で、急激にメンバーが増えてチームも拡大しています。東京と台湾と合わせて500人程度、外部の協力会社も含めるとさらに+100人という規模感でプロジェクトラインを動かすまでに成長できました。

――:新たなフェーズに移り、組織体制も細分化されて人員も増えるなど、規模感も大きくなってきていると。

竹内:フェーズ移行に伴い、Team CARAVANのブランディングにも力を入れていきたいと考えています。

『カゲマス』も『ダンジョンに出会いを求めるのは間違っているだろうか バトル・クロニクル』(以下、『ダンクロ』)も、Team CARAVANのロゴが付いていることでユーザーが「すごいクオリティーだ」と思ってもらえるゲームを世の中に打ち出していきたいです。

――:ブランディング強化以外で目指している事はありますか?

竹内:我々は「世界中で楽しまれる、本当に面白いゲームを作る」という理念を掲げていて、この理念には色々な意味が込められています。

「世界中で楽しまれる」と言っても、世界には様々な言語があり、ハードもモバイルや家庭用ゲーム機、PCがあり、それらに対応しなければならない。当然モバイル文法で作られた課金ゲームもあれば、そうではない形もある。

その中でクリエイターにもユーザーにも「これはすごい、本当に面白い」と言われるゲームの形を模索して形にする事を戦略的に進めていく組織を目指す。Team CARAVANの第2フェーズとして、今はその理念達成の為に一歩ずつ歩みを進めています。

人気IPを利用したゲーム作りはとてもやりがいあるものですが、世界中の皆様に楽しんでもらえるオリジナルゲーム作りの準備を進めていまして、これの成功が当面の大きなゴールになると考えています。

オリジナルの世界観やキャラクターを構築したり、面白いゲームを作る為の色々なノウハウが必要なので、開発技術の底上げや集客のノウハウ、ファンを作る事の大切さなどをきちんと磨き上げていきます。

――:それを実現させる為には間違いなく開発規模が必要ですね。先程この2年間で人員が増加したとのお話がありましたが、どのような経歴、マインドを持った方が集まっているのでしょうか?

竹内:職種によって異なる部分もありますが、Aimingは風通しの良い会社、自由な社風というものを外部向けに打ち出しているので、そこに共感して面接に来てくださった方は多いです。

弊社は元々は社長とマネージャーの第2階層までしかないフラットな組織でしたので、経営層と現場との距離感が近く、縦構造の少ない何でも話し合える自由な社風。本来なら上層部の人間しか知らない情報やノウハウも、定期的に行う事業部会で共有しています。

――:距離感の近さや社内情報の全体共有は他社ではなかなか難しい部分もある中で、風通しの良さは求職者にとって魅力的ですね。

竹内:新規の企画や事業の立ち上げ時には公募を行いますが、本来企画職しか参加できないという会社もある中で、弊社では全職種を対象に募集をかけて皆でディスカッションやプレゼンをしながらコンセプトをまとめています。

ですから新しく入ったメンバーからは「自分の立場でも色々な情報を知る事ができるのでゲーム理解を深められる」「企画の立ち上げの時から話が聞けるという距離感は他の会社にはない」と感動されます。

新規プロジェクトに関われるチャンスがあって、自分のやりたいプロジェクトがあればアプローチできる。そういう意味でも風通しは本当に良いと思いますし、求職者、特に中途採用の方には好評です。

久保:もちろん規模が大きくなり、今はある程度のピラミッド構造ではありますが、根底にある考え方は事業部体制になる以前までのAimingの社風から来ているのかなと思います。

竹内:最近のニーズとして、『カゲマス』や『ダンクロ』に関わりたいという求職理由も増えています。

すごい勢いで事業拡大をする中で、当然新たなリーダー、マネージャーを立てる必要があるので、ポストがどんどん出来ています。ですので、頑張った人はどんどん偉くなっていくというお話は面接時にはしています。

――:チャンスを与える機会をなかなか作れないキャリアパスの問題を抱える会社もある中で、御社は上手く挑戦する場を設けているわけですね。

久保:Team CARAVANはスピード感のある開発も特徴でして、『カゲマス』は1年半、『キャラスト』も2年で完成させています。計画性を持って初期段階でしっかり基礎を構築して、できるだけ後戻りしないように制作、量産に入る事でスピード感を出しています。

スピード感を出すことで、色々なタイトルに関われるというのはスタッフそれぞれのキャリアにも繋がると思っています。

竹内:手を挙げたらどのプロジェクトにも参加できるという制度を敷いているので、複数のプロジェクトに同時参加もできます。もちろんメンバーの信頼や実績にもよりますが、人によっては1年で3つのプロジェクトをリリースするということも可能です。

久保:透明性のある組織なので早い段階から新規プロジェクトの情報が全体に共有されますので、プロジェクトの立ち上げ時から関われるチャンスは多いです。

――:ゲーム作りにおいて全員がフラットに話し合う文化や風通しの良い環境作りなど、それを500人規模の組織で実現させているのはすごいですね。

竹内:事業部会はクォーターベースで1回開いていますが、全プロジェクトの今までの計画や新規企画なども数字周りと合わせて共有するという事を一日がかりで行っています。

若手が大勢の前で発表したり手を挙げて発言するという経験は、他社ではあまりない貴重な経験だと思いますし、最初は緊張していたメンバーも上手に話せるようになっていく姿を見て日々成長を感じています。

そういった事業部会や、スタッフが楽しく仕事ができる環境は我々が作っていくべきだし、そうする事で管理者やリーダーが育つと確信しています。スタッフが業界に入った時に思い描く「こういう事をやりたかった」という自己実現の願望が叶えられる組織でありたいと思っています。

――:事業部会以外に社内で行っている事は?

竹内:多くのメンバーがリーダーになれるように社員教育の制度やコーチングも始めています。

話すのが苦手というメンバーに向けたプレゼン講習では臨時講師をお招きして、プレゼンに対する理解を深めてもらって少しずつ自信に繋げていってもらったり、管理レイヤーのマネージャー向けの研修も行っています。

久保:アートチームでは定期的にデッサン会を開いています。こちらは違う職種、絵の経験がないメンバーでも参加自由です。モデルには海外の方や声優の方など、様々な方をお呼びするのが、少し特徴的かもしれません。

そういった勉強会は、規模が膨み別プロジェクトや別フロアでの会話が難しくなることもある中で、交流のキッカケにもなるので、メンバーにも好評です。

◆Team CARAVANの次なる一手は熊本サテライトオフィス

――:この2年で組織がされている中で、その一環として熊本にサテライトオフィスが誕生するとのことですが、その経緯とか背景をお聞かせください。

吉田:事業を拡大する上で東京だけでは限界があるという中で、地方に展開していこうという事になりました。どこが良いか考えた時、熊本は比較的人口が多く人材の確保も期待できて、競合他社が少なく将来性があると思ったのが選択のポイントになりました。名称は「Team CARAVAN 熊本ベース」としました。

板井:やはり東京で場所を探すとなると競争率が高いんです。

――:その他に熊本に拠点を持つことのメリットは?

板井:熊本の人たちは地元愛が強くて、就職して仕事を探す時に地元に残る人たちが多いんです。その人たちの中にはゲームを作りたいと思っている人もいるだろうという所で、人材を育てる事も含めて熊本を拠点にゲームを作れる人たちを集めて一緒に作っていこうと考えました。

吉田:最終的には熊本ベースだけで1本ゲームを作れる様になる事を目指しています。その為にまずは教育から始めて、組織を徐々に拡大し、目標実現に向かって推し進めていきます。

板井:オフィスも熊本城の近い場所にあるので、いずれは「ゲームの城」と言われるような形に持っていけると良いなと思っています。そういった段階的な計画や青写真を持って計画を進めています。

――:熊本ベース立ち上げ時は、東京オフィスとの連携を取りながら進めていく形になるのでしょうか?

吉田:そうですね。東京にいるコアスタッフが熊本に出張して地元で採用した人たちにノウハウを伝えたり、反対に熊本で採用された人が東京に研修、出張してゲームづくりやTeamCARAVANの制作文化を学んでもらう機会を作っていくようになります。

――:最初は何名くらいが熊本に行かれるんですか?

吉田:最初は私と、他に1,2名くらいでしょうか。年単位での計画がありまして、地元採用で人員を確保して教育していく事が1年目の計画。人員としてまずデバッカーと、アドベンチャーシーンのセリフなどを書くスクリプターを雇って組織作りをしていきます。それをやりながら開発や運営の教育を行っていきます。

2年目の計画としては、東京で既に運営しているタイトルを熊本で引き取ってやっていけるようにする事。そこで開発のノウハウを学んで、新たにリーダーとなる人材が育っていくというイメージです。

その後、熊本でいちから開発を始めて、リリース、運営まで出来るようになる所に持っていく事を3年目のフェーズとして描いています。

――:実際に熊本ベースが稼働するのはいつ頃になるのでしょうか?

板井:内装工事次第ですが6月頃を考えています。熊本城に隣接した場所で、熊本のゲーム開発の中心になれるようなスペースにしていきたいと考えています。

――:採用について、熊本出身者だけといったこだわりは?

板井:特にありません。熊本以外の出身者でも採用していきたいです。

吉田:そうですね。また、業界未経験者でも採用しようと考えています。

板井:先程、熊本は地元愛が強いとお話しましたが、東京で働いている熊本出身者が地元に帰るキッカケにもなると思います。

吉田:熊本で雇ったメンバーが力をつけて東京に進出するパターンもあると思うので、そういう意味で人材交流の機会が増えていけば良いなと思います。

板井:各々が色々なチャンスを掴んでいき、より良いゲームを作っていく。熊本ベースでゲームを作る事ができるようになったら、東京のライバルとして切磋琢磨しながらより良いゲームを一緒に作っていくようになると面白いですね。

――:未経験者も採用するとの事ですが、どのようなマインドを持った人に集まってほしいですか?

板井:やる気がある人、自発的な人、真面目な人に来ていただきたいです。やりたい事、こういうゲームを作りたいという思いを自ら提案してもらいたいと思っています

また、熊本ベースはまだ立ち上げたばかりなので、拡大していきながら組織を築いていく所も含めて色々な事が発生すると思います。

順当にただお仕事を進めていくだけではない大変な部分も出てくるかもしれませんが、それも含めて楽しんで働いていける気持ちの方とぜひ一緒に仕事したいです。

吉田:細かいスキルの話もありますが、まずそういうマインドを持って一緒に動いていければという感じです。もちろん経験者についても、先程お話した地元に戻って働きたい方も含めて、知見がある方とも一緒にやっていけたら良いと思っています。

◆Team CARAVANは良いゲームを作る為に集まったチーム

――:最後に改めてTeam CARAVAN、そして熊本ベースのアピールをお願いします。

板井:Team CARAVANの特徴の1つであるスピード感を持ってゲームを作っていきながら、人数規模も増やして熊本ベースを立ち上げていきたいと思います。挑戦的に攻めていく機運みたいなものは今後も発生してくると思うので、
 その時「何のために頑張っているか?より良いゲームを作る為だ!」という志を持った方に門戸を叩いていただきたいです。

久保:ゲーム業界を目指したいけど、地元にそういった業種の企業がなくて県外に出ていってしまう方も多いですが、我々が進出することで地元の方々がゲーム業界を目指す時に大きな選択肢の1つになってくれたらと思っているので、ぜひ来ていただければと思います。

吉田:熊本発のゲームを作る事で地元にも貢献できれば良いなと思っていますので、未経験の方も気軽に来てください。

竹内:我々の理念を達成する為に色々な事をやっています。今回のテーマである熊本に拠点を作る事もその1つです。Team CARAVANはゲーム業界で働く事の素晴らしさを体現できるように、みんなで頑張っている組織なので、今回お話しした物事に共感を覚えていただけるような方とは、どんな形であれまずはお会いできたらうれしいです。

次回予告

次回のTeamCARAVAN企画は、インタビュー中でも語られていたオリジナルゲームの開発についてお届けする予定なので、お楽しみに!

株式会社Aiming
http://aiming-inc.com/
自分たちの面白いをカタチに変える
自分たちの面白いをカタチに変える

会社情報

会社名
株式会社Aiming
設立
2011年5月
代表者
代表取締役社長 椎葉 忠志
決算期
12月
直近業績
売上高181億9900万円、営業損益13億900万円の赤字、経常損益11億円の赤字、最終損益22億2700万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
3911
企業データを見る