【決算レポート】BOI、第3四半期(4~6月)は『メメントモリ』の貢献で売上高が前年同期比6.7倍に拡大 「作る力」と「広く届ける力」の強化・体制構築に先行投資を実施
バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>の2023年9月期の第3四半期(4~6月)の連結決算は、『メメントモリ』のヒットによる影響が続き、前年同期比では売上高が6.7倍に拡大した。
売上高40億300万円(前年同期比570.5%増)
営業利益3億7700万円(前年同期2億8000万円の赤字)
経常利益3億8100万円(同2億8300万円の赤字)
最終利益2億5200万円(同1億9300万円の赤字)
■QonQでは利益の減少が目立つ
前回2023年9月期の第2四半期(1~3月)の連結決算を振り返ってみると、『メメントモリ』のワールドワイドでのヒットが奏功し、売上高は前年同期比で8.2倍に拡大。各利益項目も10億円超の黒字に転換していた。
第3四半期は、売上高についてはやや初動の勢いが衰えてはいるものの、『メメントモリ』のヒットの恩恵を引き続けていると言えるだろう。その一方、利益面については先行投資負担も相まって、前四半期比(QonQ)で大幅な減益となった。
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■『メメントモリ』の第3四半期売上高は同社全体の92%に該当
『メメントモリ』の第3四半期期間の売上高は36億円となった。これは同社全体の第3四半期期間の売上高の92%に該当するなど、依然としてその収益インパクトは大きなものになっている。
なお、期中は「ハーフアニバーサリーキャンペーン」を開催しており、第4四半期はその反動減が出てくることがやや懸念される。
■「恋庭」は漸減傾向続く メタバース化でのばん回に期待
続いて「恋庭」を見てみると、2022年9月期の第4四半期から漸減傾向が続く形となっている。これは『メメントモリ』に経営資源を集中した影響によるところが大きいとも言える。今後メタバース化を進めることで、再び収益拡大局面入りすることができるのかどうか注目される。
■「作る力」と「広く届ける力」の強化・体制構築へ先行投資を実施
続いて前述の先行投資について掘り下げてみたい。同社は既存タイトルの拡大と、新作の世界的ヒットに繋げるための先行投資を進めており、「作る力」と「広く届ける力」の強化・体制構築に取り組んでいる。
「作る力」については、開発体制のより一層の強化を図っており、この第3四半期は5億円超を投資し、即時費用処理しているという。これが最もこの四半期の利益率低下につながっている要因と言えるだろう。
一方、「広く届ける力」については、8月1日に株式会社刀と契約締結し、マーケティングノウハウの移植への取り組みを開始した。こうした取り組みを通じて、『メメントモリ』については全世界3000万ダウンロードを目標に、グローバルIP価値を高めていくことを目指すとしている。
■新規開発のパイプラインに大きな変化はなし
新規開発のパイプラインは、前四半期と比べて大きな変化がないもよう。あえて違いを挙げるとすると、「恋庭」のメタバース化・海外版が1つにまとまったような表記となり、「試作中」となっていることだろうか。
前四半期は海外版が「本開発中」、メタバース化が「企画中」となっていたため、進行ステータスとしてはメタバース化部分でやや進んでいると見ることもできそうだ。
■通期業績予想は引き続き非開示
2023年9月通期の連結業績予想については引き続き非開示。現時点で適正かつ合理的な業績予想の算定が困難であるため、としている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
- 設立
- 2006年1月
- 代表者
- 代表取締役社長 樋口 智裕
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高213億3300万円、営業利益49億円、経常利益49億2000万円、最終利益32億9300万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 4393