【決算まとめ①】ゲーム関連企業の2023年7~9月期はQonQで増収増益が優勢に アカツキがV字形回復を達成 カプコンは1Qの『スト6』発売の反動減に CAのゲーム事業も好転
主要モバイルゲーム企業の2023年7~9月期の決算を振り返りたい。この期間は、5月8日から新型コロナウイルス感染症が「5類感染症」に移行し、いわゆる「アフターコロナ」とも言うべき「正常化」の流れが四半期にわたって続いた時期となる。
ただ、色々なものの「正常化」は、娯楽の多様化にもつながっており、巣ごもり需用などの恩恵も受けていたゲーム関連企業の業績には、必ずしもプラスの影響を与えるわけではないということが確認できた四半期とも言えるだろう。
さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では7~9月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>などの決算は5~7月期の数字を使用している。
なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。また、表中では各企業の四半期推移(QonQ)での増収率・減収率で各企業を並べている。
■アカツキがQonQではV字形回復に 新作のヒット続くCAのゲーム事業も好転
四半期推移(QonQ)での業績好転が最も目立ったのは、アカツキ<3932>だ。第2四半期累計業績では減収減益ではあるものの、世界同時キャンペーンが大きく盛り上がった『ドラゴンボールZ ドッカンバトル』の寄与などにより、QonQではV字形の業績回復を達成した。なお、この第2四半期期間中には『レスレリアーナのアトリエ ~忘れられた錬金術と極夜の解放者~』(配信はコーエーテクモゲームス)が9月23日にリリースとなっており、次の第3四半期にはフル寄与してくることが期待される。
サイバーエージェントのゲーム事業もこの四半期で大幅な増収・営業黒字転換を達成した。そのけん引役となったのは、2023年9月にリリースした新作『FINAL FANTASY VII EVER CRISIS』(配信はスクウェア・エニックス、開発はアプリボット)で、国内・海外ともに想定以上の滑り出しになったという。なお、次の四半期には、この『FF7EC』がフル寄与することに加え、サムザップが11月21日にリリースした『呪術廻戦 ファントムパレード』も好発進となっており、好調が続くことが予想される。
一方、売上の落ち込みが目立ったのはケイブ<3760>だ。でらゲーの連結子会社化の影響で、第1四半期決算は前年同期比では売上高9.3倍となっているものの、でらげーが開発・運営を担当する『モンスターストライク』の季節要因による落ち込みがQonQでは大きく目立つ形になっている。なお、ケイブは6~8月が第1四半期決算となるが、でらげーの業績は4~6月が連結対象となっており、今後はMIXI<2121>の前四半期期間の業績が、ケイブの業績の1つの予想材料となってきそうだ。
■カプコンは『スト6』発売の反動減で落ち込む 全体に増収増益が優勢に
この四半期決算では、37社中の21社が増収、16社が減収となり、増収だった企業が多かった。また、営業利益については、20社が増益(赤字幅の縮小を含む)、17社が減益とこちらも増益の企業が多数派だった。
大手ゲーム企業ではカプコン<9697>のQonQでの落ち込みが目立っている。これは大型新作『ストリートファイター6』を6月2日にリリースした第1四半期(4~6月)の業績が膨らんでいたことが要因で、累計業績として見れば大きな懸念点にはならないだろう。
また、ガンホー<3765>の第3四半期(7~9月)業績は、子会社のGravityとその連結子会社が配信している『Ragnarok』関連タイトル、なかでも第2四半期の業績に大きく貢献した『Ragnarok Origin』の反動減により、QonQで2ケタ超の減収減益となった。『Ragnarok Origin』は中国配信の準備も進められており、今後も同社の大きな業績変動要因となってきそうだ。
なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、KLab<3656>、ネクソン<3659>、enish<3667>、コロプラ<3668>、ドリコム<3793>、カヤック<3904>、アカツキ<3932>、アピリッツ<4174>、coly<4175>、サイバーエージェント<4751>、ギークス<7060>、バンダイナムコHD<7832>、マーベラス<7844>、スクエニHD<9684>、コナミグループ<9766>
増収減益…MIXI<2121>、コーエーテクモHD<3635>、Aiming<3911>、ワンダープラネット<4199>、セガサミーHD<6460>
減収増益…エイチーム<3662>、オルトプラス<3672>、マイネット<3928>、イマジニア<4644>
減収減益…グリー<3632>、ボルテージ<3639>、モブキャストHD<3664>、アエリア<3758>、ケイブ<3760>、ガンホー<3765>、gumi<3903>、モバイルファクトリー<3912>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、東京通信グループ<7359>、ブシロード<7803>、カプコン<9697>
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751
会社情報
- 会社名
- 株式会社カプコン
- 設立
- 1983年6月
- 代表者
- 代表取締役会長 最高経営責任者(CEO) 辻本 憲三/代表取締役社長 最高執行責任者(COO) 辻本 春弘/代表取締役 副社長執行役員 兼 最高人事責任者(CHO) 宮崎 智史
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高1524億1000万円、営業利益570億8100万円、経常利益594億2200万円、最終利益433億7400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9697
会社情報
- 会社名
- 株式会社アカツキ
- 設立
- 2010年6月
- 代表者
- 代表取締役CEO 香田 哲朗
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高239億7200万円、営業利益26億7600万円、経常利益28億3400万円、最終利益12億8800万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3932