アニメ『薬屋のひとりごと』が大ヒット、製作会社や放送局、出版など関連企業に大きな波及効果【23年10-12月決算まとめ】

2023年10月から放送が始まったテレビアニメ『薬屋のひとりごと』が大ヒットしている。国内の動画配信サービスでは、『葬送のフリーレン』と並ぶ人気作品となっているが、国内だけでなく、海外でも人気となっているようだ。そして、その人気はアニメだけにとどまらず、小説やコミックの販売にもポジティブな影響を与えている(今後ゲームコラボも増えてくると思われる)。直近の第3四半期決算で見えてきた状況を簡単にまとめておこう。

本作は、中世の東洋を舞台に「毒見役」の少女が、宮中で起こる様々な難事件を次々に解決する、後宮謎解きエンタテインメント作品。小説投稿サイトでの連載から始まり、ライトノベルが発行され、その後は『月刊ビッグガンガン』と『月刊サンデーGX』でコミカライズされていた。アニメ制作は、TOHO animation STUDIOとOLMが担当している。

まず、アニメについて見ていくと、日本テレビHD<9404>が第3四半期のアニメ事業の業績でコメントしている。同社によると、収入は前年同期比で86.8％増の50億4500万円、収支が同59.4％増の21億8900万円と大きく伸びた。新作アニメの本数が増えたことに加え、旧作の配信や海外のセールスも好調だったとした。『葬送のフリーレン』とともに本作が配信プラットフォームの上位を獲得するなど注目を集めたという。

東宝<9602>については決算期が異なるため、これからの発表となりそうだ。直近で発表した第3四半期(2023年3月～11月)のアニメ事業をみていくと、営業収入が同34.4％増の244億7900万円と大幅に伸びた。けん引役となったのは配信収入。『呪術廻戦』が大きく伸びたことに加えて、『SPY×FAMILY』『僕のヒーローアカデミア』が好調だった、としている。配信収入は78％伸びて108億8300万円と大台に乗せた。『葬送のフリーレン』とともに今後の収益貢献が期待される。

続いてコミックについて見ていくと、スクウェア・エニックスがコミカライズを行っている。スクウェア・エニックス・ホールディングス<9684>は、第3四半期の出版事業の業績について、売上高が同29.2％増の82億5200万円、営業利益が同47.7％増の34億0800万円と大幅増益を達成した。9月中間期は減収減益だったが、一転して増収増益となった。同社では、『薬屋のひとりごと』の大ヒットにより、紙媒体とデジタル販売が前年を上回った、としている。

最後に、小説については、IMAGICA GROUP<6879>のグループ会社であるイマジカインフォスのヒーロー文庫より発行されている。出版事業単体ではなく、映像コンテンツ事業として開示されており、第3四半期決算は、売上高は196億3000万円(同10.7%増)、営業利益は5億4000万円(同89.0%増)と大幅増益だった。ライトノベル『薬屋のひとりごと』など、書籍販売が好調だったとコメントしている。ちなみにアニメ制作を行うOLMは、IMAGICA GROUPのグループ会社だ。

©日向夏・イマジカインフォス／「薬屋のひとりごと」製作委員会