ブシロード、24年6月期は売上高5％減、営業益73％減に　苦戦のデジタルコンテンツユニットを再編　5月開示の業績予想からは上ブレ着地

• ブシロード<7803>は、8月13日、2024年6月期の連結決算を発表、ライブエンタメユニットやMDユニットは過去最高売上を達成したものの、市況の影響を受けて赤字縮小のために体制変更に注力したデジタルコンテンツユニットの影響が大きく、減収減益となった。

  なお、5月14日に開示した業績予想に対しては、バンドリ！プロジェクトの新バンド「MyGO!!!!!」や「Ave Mujica」が国内外において人気を博したことで、ライブイベントやレコード事業、ライブグッズが好調に推移し、想定を上回る着地となった。

  売上高462億6200万円（前々期比5.2％減）
  営業利益8億8200万円（同73.9％減）
  経常利益18億9800万円（同57.9％減）
  最終利益8億400万円（同60.8％減）

  各セグメントごとの状況は以下のとおり。

• ◆エンターテイメント事業

• 売上高396億7900万円（前々期比5.1％減）、セグメント利益4億3800万円（同85.6％減）
  
  

• ①TCG（トレーディングカードゲーム）ユニット
  「カードファイト!! ヴァンガード」では新シリーズの展開を開始し、新規層を取り込むことに注力した。「ヴァイスシュヴァルツ」では2024年1月に新たに簡体字版をリリースし、英語版に続いて多言語での展開を開始した。「Shadowverse EVOLVE」は軟調に推移した。2024年4月に新TCG「プロ野球カードゲーム ドリームオーダー」を発売開始した。

  ②デジタルコンテンツユニット
  市況の影響を受け、赤字縮小のために体制変更に注力した。モバイルゲームでは5タイトルをクローズ・1タイトルを運営移管し、運営をコンパクト化した。コンソールゲームでは6タイトルをリリースした。なお、2025年6月期より「デジタルコンテンツユニット」としていたユニットの名称を「コンテンツユニット」に変更する。

  ③BI（Bushiroad International）ユニット
  「カードファイト!! ヴァンガード」英語版は日本語版と同じく新シリーズの展開開始で順調に推移した。モバイルゲームは、国内に合わせて2タイトルをクローズし運営を縮小した。「2023 Bushiroad Expo Asia」として4地域（クアラルンプール、バンコク、シンガポール、イルサン）、「Bushiroad EXPO 2024」として3地域（台北、インド、インドネシア）を開催した。

  ④ライブエンタメユニット
  「バンドリ！プロジェクト」の新バンド「MyGO!!!!!」や「Ave Mujica」が国内外で人気を博し、好調に推移した。その結果、ライブエンタメユニットの売上は過去最高を更新した。

  ⑤MD（マーチャンダイジング）ユニット
  2023年8月にグローバルブレイクの柱となるフィギュアブランド「PalVerse（パルバース）」を始動し、開発体制の整備・権利取得が順調に進行するとともに、中国の推し活ブームに乗り、海外販路の開拓に成功した。また、バンドリ！プロジェクトの新バンド「MyGO!!!!!」と「Ave Mujica」が人気を集め、ライブグッズの収益が順調に推移した。その結果、MDユニットの売上は過去最高を更新した。

  ⑥アドユニット
  シロードムーブでは、代理店事業・自社及び他社の大型イベントを複数担当し、堅調に推移した。アニメ制作委員会への出資・参画を積極的に行い、TCGやグッズの商品化権、声優・音響などの役務を獲得している。ゲームビズでは、インフルエンサーマーケティングを行うWEBプラットフォーム「インフルエンジン」の運営を開始した。

• ◆スポーツ事業

• 売上高65億8300万円（同5.6％減）、セグメント利益4億4300万円（同31.2％増）
  
  

• 「新日本プロレス」「スターダム」ともに堅調に推移した。また、スポーツユニットの運営体制を強化するために、新日本プロレスリングおよびブシロードファイト（2024年6月28日にスターダムに商号変更）の両社の社長が交代となり、スポーツユニットにおける事業の重複業務を削減し、事業効率の向上を図るため、2024年6月28日付で連結子会社であるブシロードファイトの全株式を連結子会社である新日本プロレスリングに譲渡した。

• ■2025年6月期は増収増益の見込み

• 2025年6月期通期の連結業績見通しは、以下のとおりで増収増益を見込んでいる。

  TCGユニットを中心に増収となる見込みであるほか、モバイルゲームの運営のコンパクト化が前期でおよそ完了し、前期開発したコンソールゲームの発売も進むことから、コンテンツユニットの赤字が縮小し、前年比で増益となる見込みとしている。

  売上高490億円（前期比5.9％増）
  営業利益20億円（同126.6％増）
  経常利益20億円（同5.4％増）
  最終利益10億円（同24.2％増）

※過去12四半期分の四半期業績推移のグラフを追加しました。