カバー、公正取引委員会から下請法違反の勧告を受けてコメント…事業急拡大に対応した体制構築や社内研修が不十分だったことが背景

カバー<5253>は、この日(10月25日)、公正取引委員会から下請法に基づく勧告及び指導を受けた件に関して、「お取引先様をはじめ関係者の皆様には大変ご心配とご迷惑をおかけしますことを心より深くお詫び申し上げます」とのコメントを発表した(関連記事)。

同社によると、勧告については、2022年4月~2024年2月までの期間における取引の中で、同社と取引先とのLive2Dモデル及び3D モデルの作成などを委託していたという。

具体的には、クリエイティブを発注するにあたり、仕様書や指示書で正しい言語化による発注が行われなかった結果、修正を依頼する回数が多くなったという。結果として完成までの期間が長期にわたることになった。

また、一部の取引については、検収後、漏れなく速やかに支払うべきであったところ、支払処理が漏れていたケースもあったという。

同社では、その背景として、事業が急拡大し取引件数が増大したのに対し、取引先とのやり取りに抜け漏れや遅延が生じてしまっていたこと、社内体制の構築や社内研修が不十分であったことが原因と説明している。

現在においては、従業員の採用をはじめ、取引フローの見直しを進めるとともに、社内研修における社内周知等、社内体制の刷新を進め、各所で改善が進んでいるとのこと。

なお、勧告等の対象となる取引の取引先には遅延損害金(遅延利息)に相当する金額をすでに支払ったが、引き続き対応を進め、今後発表するべき事項が生じた場合には速やかに発表するとのこと。

同社は、2024年11月にはフリーランス新法の施行も控えており、同社としてはクリエイターや取引先との取引を円滑かつ安心して進められるよう体制を整えていく考え。

今後も、役員及び従業員に対する社内研修を実施するなど、各法令の遵守とともに社内体制の強化とモニタリング等の未然の対策を整備し、引き続きコンプライアンスの強化と再発防止に向け、改善を図りたい、としている。

 



▲カバーの年次の業績推移はこちら。2022年3月期から2024年3月期まで売上高が2.2倍、経常利益が2.9倍と急拡大していた。この間に外部の制作会社やクリエイターとの取引件数が急激に増えたことも想像に難くない。人員を増やしても体制整備は簡単ではなく遅れがちだ。こうしたことは仕方ないことでは済まないし、決して免罪符にはならないものだが、この間の事情については理解できた、という人は少なくないのではないか。