東宝<9602>は、1月14日、2025年2月期 第3四半期累計の連結決算を発表し、営業収入2341億6900万円(前年同期比15.3%増)、営業利益528億0100万円(同26.9%増)、経常利益515億5200万円(同16.7%増)、最終利益341億4100万円(同20.2%増)と増収増益だった。各段階で歴代最高を更新したという。
・営業収入:2341億6900万円(同15.3%増)
・営業利益:528億0100万円(同26.9%増)
・経常利益:515億5200万円(同16.7%増)
・最終利益:341億4100万円(同20.2%増)
映画営業事業において、興行収入150億円を超えた『名探偵コナン 100万ドルの五稜星』や『キングダム 大将軍の帰還』『ラストマイル』『変な家』等が大ヒットしたほか、『ゴジラ-1.0』の国内外における配信権収入等が業績に寄与した。
映像事業において、『僕のヒーローアカデミア』 『呪術廻戦』 『ハイキュー!!』等のTOHO animation作品が、劇場公開、動画配信、商品化権、パッケージ販売等の多面的展開により好調に推移した結果、大幅な増収増益となった。
■映画事業
映画事業全体では、営業収入は1582億4000万円(前年同期比16.1%増)、営業利益は413億5700万円(同39.3%増)となった。
映画営業事業では、東宝において、共同製作や配給した作品のうち、「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」が大ヒット、「キングダム 大将軍の帰還」「ラストマイル」「変な家」「映画ドラえもん のび太の地球交響楽」「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」「映画クレヨンしんちゃん オラたちの恐竜日記」「室井慎次 敗れざる者」「室井慎次 生き続ける者」「スオミの話をしよう」がヒットした。
また、東宝東和において配給した「怪盗グルーのミニオン超変身」もヒットした。前の期中に公開した「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」も高稼働となった。その他、「ゴジラ-1.0」の国内外における配信権収入やテレビ放映権収入が業績に寄与した。これらの結果、映画営業事業の営業収入は447億2300万円(前年同期比34.7%増)、営業利益は187億3700万円(同60.6%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、映画館への配給が271億2400万円(前年同期比6.3%増)、劇場用映画の国内配信が27億7700万円(同190.4%増)となった。
映画興行事業では、TOHOシネマズ等において、上記配給作品の他、「インサイド・ヘッド2」等の話題作を上映した。第3四半期累計における映画館入場者数は2800万人と前年同期比7.3%の減少となった。これらの結果、映画興行事業の営業収入は560億5700万円(前年同期比4.9%減)、営業利益は75億6900万円(同16.7%減)となった。なお、第3四半期累計中の劇場の異動はない。当企業集団の経営するスクリーン数は全国で722スクリーン(共同経営56スクリーンを含む)となっている。
映像事業では、東宝において、「僕のヒーローアカデミア」「呪術廻戦」「ハイキュー!!」「葬送のフリーレン」「SPY×FAMILY」「怪獣8号」「薬屋のひとりごと」等、製作出資したTOHO animation作品の国内外の配信・商品化権収入に加え、各種配分金収入が業績に大きく貢献した。パッケージ事業では「ゴジラ-1.0」が好調なセールスとなった他、TOHO animation作品の「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「葬送のフリーレン」「ウマ娘 プリティーダービー」等の販売が伸長した。出版・商品事業では、劇場用パンフレット、キャラクターグッズにおいて「劇場版ハイキュー !! ゴミ捨て場の決戦」「名探偵コナン 100万ドルの五稜星」「僕のヒーローアカデミア THE MOVIE ユアネクスト」をはじめとする同社配給作品の販売が好調に推移した。
また、「ハイキュー!!」をはじめとするTOHO animation作品や生誕70周年を迎えた「ゴジラ」を中心とする東宝怪獣キャラクターのキャラクターグッズ販売が大きく伸長し営業収入に寄与した。東宝ステラでは、ECサイトでの販売が好調に推移した。TOHOスタジオでは、制作及びスタジオ事業の一体運営を図り、堅調に稼働した。東宝映像美術及び東宝舞台では、原価管理に努めながら、映画やTV・ライブイベント等での舞台製作・美術製作やテーマパークにおける展示物の製作業務、メンテナンス業務等を受注した。これらの結果、映像事業の営業収入は574億5900万円(前年同期比30.3%増)、営業利益は150億5100万円(同68.6%増)となった。なお、上記営業収入の主な内訳として、アニメコンテンツの利用が244億8200万円(前年同期比28.9%増)、パッケージの販売が54億2200万円(同11.2%増)、映像作品等に係る美術製作が69億4800万円(同5.4%増)となった。
■演劇事業
営業収入は162億4700万円(前年同期比12.0%増)、営業利益は25億3400万円(同12.3%増)となった。
演劇事業では、東宝の帝国劇場で、「舞台『千と千尋の神隠し』」「Endless SHOCK(Endless SHOCK/ Endless SHOCK Eternal)」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」「モーツァルト!」「DREAM BOYS」「Endless SHOCK」を上演し全席完売となった。シアタークリエでは「ファンレター」が満席となった他、「骨と軽蔑」「町田くんの世界」「CROSS ROAD~悪魔のヴァイオリニスト パガニーニ~」「ナビレラ -それでも蝶は舞う-」「ライムライト」「VOICARION XVIII~Mr.Prisoner~」「tick, tick...BOOM!」等を上演した。また、「舞台『千と千尋の神隠し』」「モーツァルト!」「ムーラン・ルージュ!ザ・ミュージカル」等の社外公演を展開し、「舞台『千と千尋の神隠し』」はロンドン・コロシアムでのロングラン公演も大盛況となった。その他、初演から24年を経て大千穐楽を迎えた「Endless SHOCK」のライブビューイングを全国の映画館で実施し、好評を博した。東宝芸能では、所属俳優がCM出演等で堅調に推移した。
■不動産事業
不動産事業全体では、営業収入は586億6000万円(前年同期比14.1%増)、営業利益は132億8100万円(同2.5%減)となった。
不動産賃貸事業では、前の期末に東京楽天地を連結子会社としており、第3四半期累計より経営成績に含んでいる。賃貸用不動産の空室率は、第3四半期末において0.9%となった。再開発物件や新規に取得した物件の寄与があったが、大規模修繕費など一時的な費用の増加もあったことから、不動産賃貸事業の営業収入は283億4500万円(前年同期比29.3%増)、営業利益は87億5800万円(同0.9%減)となった。なお、2024年9月に「住之江建物」(複合商業施設「アクロスプラザ住之江」)が竣工した。
道路事業では、公共投資が底堅く推移したが、慢性的な建設技能者の不足や建設業界にも適用した「働き方改革関連法」への対応が喫緊の課題となる等、依然として予断を許さない状況が続いた。このような状況の中、スバル興業と同社の連結子会社は、一般競争入札における総合評価落札方式への対応強化を図り各種工事の受注に努めたが、採算性の高い工事の減少があった。その結果、道路事業の営業収入は218億3400万円(前年同期比0.9%増)、営業利益は35億3800万円(同10.3%減)となった。なお、営業収入の主な内訳は、道路の維持管理・清掃等201億4300万円(前年同期比2.4%増)であり、またその他の収益6億8700万円(同8.7%増)が含まれている。
不動産保守・管理事業では、東宝ビル管理及び東宝ファシリティーズにおいて、原材料価格の高騰や人手不足が継続する中、新規受注や品質向上に取り組むとともに請負金額の改定や業務の効率化等に努めた。その結果、営業収入は84億8000万円(前年同期比8.2%増)、営業利益は9億8500万円(同18.1%増)となった。
■その他事業
東宝共榮企業の「東宝調布スポーツパーク」やTOHOリテールの劇場売店等において、積極的な営業活動に努めた。その結果、その他事業の営業収入は10億2000万円(前年同期比9.1%増)、営業利益は1億7600万円(同8.1%減)となった。
■2025年2月期の業績見通し
2025年2月期の業績は、営業収入2970億円(前期比4.8%増)、営業利益620億円(同4.6%増)、経常利益600億円(同4.8%減)、最終利益400億円(同11.7%減)、EPS234.76円を見込む。株価収益率は25.8倍となる。
・営業収入:2970億円(同4.8%増)
・営業利益:620億円(同4.6%増)
・経常利益:600億円(同4.8%減)
・最終利益:400億円(同11.7%減)
・EPS:234.76円
計画に対する進捗率は、営業収入78.8%、営業利益85.2%、経常利益85.9%、最終利益85.4%となっている。
・営業収入:78.8%
・営業利益:85.2%
・経常利益:85.9%
・最終利益:85.4%
会社情報
- 会社名
- 東宝株式会社
- 設立
- 1932年8月
- 代表者
- 代表取締役社長 社長執行役員 島谷 能成
- 決算期
- 2月
- 直近業績
- 営業収入2833億4700万円、営業利益592億5100万円、経常利益630億2400万円、最終利益452億8300万円(2024年2月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9602