トーセ、中期のコンテンツ市場の展望と戦略、課題をアップデート…コンテンツの多様化や技術の進化、グローバル市場の成長への対応がキーワードに

トーセ<4728>は、10月16日、2025年8月期の決算説明資料を公表し、中期的な市場展望と変化、そして同社の戦略、課題のアップデートを行った。コンテンツ市場の見方が簡潔な文章で整理されており、参考になったので取り上げておく。

 

【コンテンツの多様な展開とユーザーの変化】
コンテンツはプラットフォームを超えて展開され、人気のゲームシリーズがアニメ化・映画化されたり、SNS発信のキャラクターを題材としたゲームが制作されたりしている。また、価値観も多様化し、レトロな題材も注目を集めている。これにより、ユーザーの裾野は広がり、コンテンツとの接触機会は多様化している一方、一つのプラットフォームに割かれる時間は減少している。ユーザーが嗜好する題材を追求したコンテンツが求められ、戦略の重要性が増している。

【急速な技術進化】
技術はハード・ソフト両面で急速に進化しており、スマートフォンの普及がEC拡大に影響したように、今後のテクノロジーの進化は新たなコンテンツやサービスの創出につながると考えられる。AIの活用などにより業務の自動化・短縮化が進めば、よりクリエイティブな業務や成長施策に時間を費やせるようになるだろう。これは社会の余暇時間の増加にもつながり、同社の製品・サービスの市場拡大に貢献する。

【グローバル市場の成長と日本の強み】
ゲームのグローバル市場は、ここ数年ゆるやかではあるものの、コロナ禍で急拡大した高水準な市場規模を維持している。Nintendo Switch 2や、ソニー・インタラクティブエンタテインメントやマイクロソフトからも発売が予定されている次世代機の普及により、さらなる盛り上がりが期待できる。

コンテンツのマルチメディア化、クロスプラットフォーム化はグローバルで進んでおり、ゲーム以外のデジタルエンタテインメント市場の拡大は多角的に、そして勢いを増して進むと予想される。日本は世界的に人気の高いIPを多数生み出し、圧倒的に高いコンテンツ品質という強みを持っている。

2025年6月に経済産業省が発表した「エンタメ・クリエイティブ産業戦略」では、日本のコンテンツ輸出額20兆円を目指して100のアクションプランが策定されており、同社もグローバル市場を対象とするビジネスにますます挑戦していく方針である。

 

中期的な経営課題として「ビジネス拡大と収益性の向上」「リソース(人的資本・開発技術)の強化」を掲げている。

【ゲーム領域】
高性能プラットフォーム向けタイトルやリメイク作品の開発を主軸とし、優れた企画提案と堅実なコンテンツ開発⼒を強みとして、国内外のクライアントからより多くの受託機会を獲得する体制を構築する。

【非ゲーム領域】
教育やエンタテインメント領域で、社会課題や市場ニーズを踏まえた独自企画による新規ビジネス創出を目指す。

【開発技術の継続的な高度化と生産性の最大化】
開発スタッフの研究機会を拡充し、AIを含む先端技術やハイエンド開発の知見を継続的に取り込む。すべての部門でAI活用とDX推進により業務を効率化し、クリエイティブ業務や成長施策への時間を拡大する。各職種の高度育成に注力し、開発プロセス全体の競争力を高める。

【人的資本の拡充と組織の最適化】
社内教育の充実とキャリア採用の強化によって、開発人材の質を一段と高める。職場環境の改善、キャリア形成への支援、報酬・評価制度のアップデートなど、多面的な施策を推進し、従業員エンゲージメントの向上を図る。建て替えを進めている長岡京新オフィスビルを活用し、クリエイティブな開発を促進する職場環境を構築し、柔軟で活力ある組織体制へ転換する。

 

株式会社トーセ
http://www.tose.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社トーセ
設立
1979年11月
代表者
代表取締役会長 齋藤 茂/代表取締役社長 渡辺 康人
決算期
8月
直近業績
売上高66億3600万円、営業利益6億8900万円、経常利益6億7700万円、最終利益2億5000万円(2025年8月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4728
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