
gumi<3903>は、2026年4月期第2四半期累計(中間期)の決算説明動画を公開した。モバイルオンラインゲームで不採算タイトルの早期撤退、一部タイトルの他社への運営移管、子会社エイリムの離脱などで売上を大きく減らしていたものの、第2四半期(25年8~10月)だけで見ると急激に売上が回復している。第1四半期の売上高は前年同期比で52.4%減と半分以下に落ち込んだが、第2四半期は同5%減となる水準まで戻した。
売上急回復の要因は、新作モバイルオンラインゲーム『ジョジョの奇妙な冒険 オラオラオーバードライブ』(以下、オラドラ)のヒットがあげられる。気になるのは利益面だが、積極的な広告投資を行ったことから営業赤字となったものの、同社はこれを「将来成長に向けた戦略的な先行投資」と位置付けている。
【25年8~10月の業績】
・売上高:24億9600万円
・営業損失:2億3500万円
・経常利益:2億6700万円
・最終利益:1億0300万円

■新作タイトルが売上を大きく押し上げる
『オラドラ』のインパクトは絶大だ。第2四半期(25年8~10月)の売上高は24億9600万円となり、第1四半期から84%の大幅増収を達成した。成長を牽引したのは、2025年にリリースされた『オラドラ』で、すでに累計150万ダウンロードを突破している。
一方、営業損失は2億3500万円となった。ヒットタイトルの誕生で黒字化と思われたが、やや意外な着地となった。これは『オラドラ』の立ち上げにあたり、4億3500万円の広告宣伝費を戦略的に投下したことが主因としている。
同社によれば、これらの費用を除けば実質的には2億円規模の営業黒字水準であり、短期的な収益性よりも中長期の成長を重視した判断だという。

■第3四半期以降は収穫フェーズへ
第3四半期以降は、『オラドラ』の収益が四半期を通して計上される見通しで、広告宣伝費も安定化することから、利益面での大幅な改善を見込んでいる。
さらに、経常利益と最終利益は、ブロックチェーン事業における暗号資産の評価益も寄与し、5四半期連続で黒字となる見通しだ。
ゲーム事業に加え、ブロックチェーン事業を含む事業ポートフォリオの多角化が収益の下支えとなっている点も特徴だ。

■中期計画は順調に進捗
中期計画の進捗についても、順調な滑り出しを見せている。第2四半期終了時点での税引前利益は14億7000万円となり、通期目標である25億円~40億円に対して進捗率は約48%に達した。ここでも暗号資産の時価上昇による評価益が大きく貢献している。
■有力IP×自社エンジンでヒットの再現性を高める
ゲーム事業においては、今後の成長戦略として「グローバルで認知度の高い有力IP」と「自社ゲームエンジン」を掛け合わせる新たな事業モデルへの転換を進めている。『オラドラ』はその第一弾であり、ヒットにより戦略の有効性を示した形だ。
同社は今後、『オラドラ』で得た安定収益を原資に、2026年以降も毎年1~2本の成長タイトルを継続的に投入し、単発ヒットに依存しない持続可能な収益モデルの構築を目指す。
■攻めの資金調達でブロックチェーン事業を強化
第26回 新株予約権の発行による資金調達については、調達資金のほぼ全額をブロックチェーン等の成長領域に集中投下する方針を示した。資金使途は、XRP取得に伴う借入金の返済、ビットコインやXRPの追加取得によるアセットマネジメント事業の強化、そして暗号資産ファンドやAI領域への戦略投資の3点だ。


■XRPエコシステムへの本格参画
具体的な取り組みとして、2025年8月には25億円規模のXRP取得を決定し、段階的な取得を進めている。また、SBIグループとの連携を深め、プロ投資家向けXRPインフラを手掛けるEverth XRPトレジャリーへの出資も実施した。
これにより、大規模なXRP運用体制の整備、XRPエコシステム中核への参画、さらには将来的な投資リターンの獲得を狙う。
■暗号資産残高は300億円規模に拡大
第2四半期末時点での暗号資産残高は、前四半期比で約23億円増加。ファンドを含むグループ全体では約300億円規模にまで拡大しており、前年同期比では177%増と大きく成長している。今後もBTCやXRPを戦略的に取得し、収益基盤の強化を図る方針だ。


■ガバナンス対応として社外取締役が辞任
このほか、社外取締役の岡崎氏が2025年12月12日付で辞任することも発表となった。岡崎氏が代表を務める会社と、モバイルオンラインゲーム開発を行うオルトプラスとの資本業務提携に伴い、将来的な利益相反リスクを回避するための判断としている。

■安定収益基盤を足掛かりに企業価値向上へ
gumiは、『オラドラ』などモバイルゲームによって確立した安定的な収益基盤を強化しつつ、ブロックチェーンおよびAIといった成長領域への投資を加速させることで、中期計画の達成と企業価値の向上を目指す考えだ。