
東宝<9602>は、2026年2月期決算説明資料において、アニメ事業の拡大戦略を改めて明らかにした。中核ブランド「TOHO animation」とグループ内スタジオの強化を軸に、作品数の積み上げと有力原作の確保を進め、将来的には年間30クール規模の供給体制構築を目指す。
■人気IPを軸に安定と拡張を両立
「TOHO animation」では、2026年以降も有力シリーズの続編と新作が並ぶ。『薬屋のひとりごと』第3期や劇場版、『葬送のフリーレン』第3期、『ハイキュー!!』劇場版といったヒットIPの継続に加え、『無職転生』や『Dr. STONE』など人気シリーズの新展開も控える。さらに、『怪獣8号』完結編や「ゴジラ」新作アニメなど、自社IP・大型IPの展開も進行中だ。
既存IPによる収益の安定化と、新規タイトルによる拡張。この両輪でポートフォリオを構築している点が特徴といえる。
【TOHO animation 作品】
・アニメ「BEASTARS FINAL SEASON」Part2:2026年3月配信予定
・アニメ「Dr. STONE SCIENCE FUTURE」第3クール:2026年4月放送予定
・アニメ「お隣の天使様にいつの間にか駄目人間にされていた件」2期:2026年4月放送予定
・アニメ「スノウボールアース」:2026年4月放送予定
・アニメ「ドロヘドロ」Season2:2026年4月配信予定
・アニメ「僕のヒーローアカデミア」 No.170+1「More」:2026年5月2日放送予定
・アニメ「無職転生Ⅲ 〜異世界行ったら本気だす〜」:2026年7月放送予定
・アニメ「ふつつかな悪女ではございますが〜雛宮蝶鼠とりかえ伝〜」:2026年7月放送予定
・アニメ「薬屋のひとりごと」第3期:2026年10月および2027年4月放送予定
・ミニチュアアニメ「ポップパップポルターズ」:2026年秋放送予定
・劇場版「薬屋のひとりごと」:2026年12月公開予定
・劇場版「ハイキュー!! VS 小さな巨人」:2027年公開予定
・アニメ「葬送のフリーレン」第3期【黄金郷編】:2027年10月放送決定
・スペシャルアニメ「ハイキュー!! バケモノたちの行くところ」:テレビ放送予定
・アニメ「狼と香辛料」2期:制作決定
・「ゴジラ」新作アニメシリーズ:制作決定
・アニメ「怪獣8号」完結編:制作決定
【サイエンスSARU 作品】
・アニメ「天幕のジャードゥーガル」:2026年7月放送予定
・アニメ「攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL」:2026年7月放送予定
・アニメ「ダンダダン」第3期:2027年放送予定
■サイエンスSARU、大型IPで存在感拡大
制作面では、サイエンスSARUの役割も拡大している。『攻殻機動隊 THE GHOST IN THE SHELL』や『ダンダダン』第3期といった注目作に加え、新規作品にも取り組むなど、ラインナップは多様化。これまでの作家性重視のスタジオから、大型IPにも対応する制作中核へと進化しつつある。
■信用力が支える「原作獲得力」
こうしたラインナップ拡充の背景にあるのが、東宝の原作獲得力だ。映画・アニメ双方でヒットを積み重ねてきた実績に加え、製作・配給・宣伝までを一体で担える体制は、出版社や原作者にとって大きな魅力となる。
実際、『葬送のフリーレン』や『薬屋のひとりごと』のように、アニメ化によって作品価値を大きく高めた事例も生まれており、「東宝に任せればヒットにつながる」という信頼が蓄積されている。
この信用力が、有力原作の早期確保と継続的なIP供給を可能にしている。
■年30クール体制へ、量産フェーズに移行
東宝は今後、アニメ制作を本格的な量産フェーズへと移行させる。TOHO animationでは、シリーズ継続と新規タイトルの積み上げにより、2029年2月期には年間約20クール規模に到達する見込み。さらに2032年までに年間30クール体制の構築を目指す。
これは単なる本数拡大ではなく、IPビジネスとしての収益基盤を厚くする狙いがある。シリーズ化による長期収益、配信・海外展開、商品化など、多面的なマネタイズを前提とした戦略だ。
■制作体制の内製化と外部連携を同時強化
量産体制を支えるため、制作基盤の強化も進めている。TOHO animation STUDIOやサイエンスSARUといった自社スタジオ機能の強化に加え、オレンジへの出資など外部スタジオとの連携も深化。企画・製作・宣伝まで含めた一体運用によって、供給能力と品質の両立を図る。
■アニメ事業は“次の柱"へ
東宝のアニメ戦略は、ヒットIP依存から脱却し、継続的にIPを創出・育成する体制への転換といえる。原作獲得力、制作体制、そしてグローバル展開力。この3つを背景に、アニメ事業は映画に次ぐ収益源から、より中核的な事業へと進化しつつある。今後は、拡大する供給量の中でいかにヒットを生み出し続けるか。その再現性が、次の成長を左右することになりそうだ。
会社情報
- 会社名
- 東宝株式会社
- 設立
- 1932年8月
- 代表者
- 取締役会長 島谷 能成 / 取締役社長 松岡 宏泰
- 決算期
- 2月
- 直近業績
- 営業収入3606億6300万円、営業利益678億8900万円、経常利益701億4000万円、最終利益517億6900万円(2026年2月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 9602




