ユークス、アクアプラスIPの多面的な展開を推進 新作「白への道標」未達も「WHITE ALBUM2」収益は好調 新規IPの共同開発や海外展開にも意欲

ユークス<4334>は、2027年1月期中間決算説明資料において、2025年に子会社化したアクアプラスのIP事業について、ゲームの新作開発に加え、既存IPの移植、イベント・グッズ、海外展開などを組み合わせ、収益基盤の拡大を進めていることを明らかにした。

同社の自社開発事業は中間期に売上高6億4500万円を計上し、年間予算に対する進捗率は51.1%。IP収益比率は24.9%となった。前年同期からの全社売上高の増加792百万円のうち、645百万円はアクアプラスの連結による自社開発売上の新規寄与となっている。

一方、アクアプラス関連では、新作ゲームと既存IPの展開で明暗が分かれた。『うたわれるもの 白への道標』は計画を下回ったものの、『WHITE ALBUM2』15周年関連イベントやグッズ販売は好調に推移した。

 

 

■「白への道標」は計画未達、一方で「WHITE ALBUM2」は好調

新作ゲームでは、『うたわれるもの 白への道標』が計画未達となった。

同作の発売・プロモーションに伴って広告宣伝費が発生したほか、自社開発ゲームの販売に伴う原価も増加し、営業利益の押し下げ要因となった。ただし、ユークスは今回の資料で、販売未達の具体的な要因については説明していない。

一方で、既存IPでは『WHITE ALBUM2』15周年関連イベントが好調に推移し、関連グッズ販売も堅調だった。これを受けて、ユークスは「既存IPの展開には一定の手応え」があったと評価している。

新作ゲームの販売結果だけを見ると計画未達という課題が残った格好だが、アクアプラスIP全体では、ゲーム以外のイベントやグッズを含めた収益化に手応えを感じているという。

 

■『ロストフラグ』終了、新たな収益源の育成へ

アクアプラスの既存タイトルでは、『うたわれるもの ロストフラグ』が2026年2月にサービス終了している。ユークスは、今後はこれに代わる収益源の育成が重要になるとしており、新作ゲームの開発とともに既存IPの活用を強化する方針だ。

現在は『ジャスミン』と『project kizuna』の開発を鋭意進めているほか、ユークスとアクアプラスによる新規IPゲームの共同企画にも取り組んでいる。

また、既存IPについてはSwitch 2やSteamなどへの移植展開を推進。資料には『うたわれるもの 白への道標』『モノクロームメビウス 刻ノ代贖』のSwitch 2向け移植案件も掲載されている。

単にアクアプラスの既存タイトルを引き継ぐだけではなく、ユークスの開発力とアクアプラスのIPを組み合わせ、新たなゲームを生み出す段階へ進もうとしている点は注目される。

 

■アクアプラスIP、国内にもまだ開拓余地か

アクアプラス作品は、誰もが知るマス市場型のIPというより、特定ジャンル・作品を支持するコアなファン層を抱えていることが特徴といえる。今回、『WHITE ALBUM2』の15周年イベントやグッズ販売が好調だったことは、こうしたファン基盤をゲームの新作販売以外でも収益につなげられる可能性を示す事例となった。

ここからは編集部の見方となるが、アクアプラスIPには国内でもまだ開拓の余地があるのではないか。

すでに長い歴史を持つ作品についても、周年イベントやグッズ、現行機への移植などを組み合わせることで、過去のファンとの接点を再構築できる。さらにSwitch 2やSteamといった現在のゲームプラットフォームに作品を展開することで、過去作を知らないユーザーとの接点を作ることも可能だ。

もちろん、それぞれのIPがどの程度の市場性を持つかは作品ごとに異なるため、一律に大きな成長が期待できるわけではない。ただ、今回の『WHITE ALBUM2』のイベント・グッズの実績を見る限り、「コアファンがいるIPを、ゲーム一本ではなく複数の形で楽しんでもらう」余地はまだ残されているように見える。

ユークスにとっては、こうした国内でのIP活用を積み重ねることも、アクアプラスを子会社化した意義を高める一つの方法になりそうだ。

 

■中国語圏・英語圏では認知度向上を課題に

一方、海外については、まだ伸びしろが大きいとユークスは見ている。

同社は、海外におけるアクアプラス作品について「認知度はまだ十分とはいえない」と認識しており、今後は中国語圏・英語圏を中心に認知拡大施策を強化し、海外売上の拡大につなげる方針だ。

国内でイベントやグッズ、移植などによって既存IPの収益化を進める一方、海外ではまずIPそのものを知ってもらうところから取り組む構図となる。

 

■特定タイトルに依存しないIP収益基盤の構築へ

今回の決算説明資料から見えるのは、ユークスがアクアプラスを単純に「ゲーム開発会社」として取り込んだのではなく、IPを複数の出口から収益化するための基盤として活用しようとしている姿勢だ。

新作ゲームでは計画未達という課題が出た一方、既存IPではイベント・グッズが好調。さらに、新作開発、既存タイトルの移植、ユークスとの共同企画、海外展開と複数の施策を並行して進めている。

ユークス自身も今後について、「新作開発、既存IPの多面展開、イベント・グッズ、海外展開を組み合わせる」ことで、特定タイトルに依存しない安定したIP収益基盤を構築する方針を示している。

2027年1月期は、ユークスにとって「受託安定化とIP比率向上の基盤構築期」と位置付けられている。アクアプラスの連結によって自社開発売上が大きく増加する一方、今後は『白への道標』のような単発の新作の成否だけでなく、既存IPをどれだけ長く、多面的に収益化できるかが重要になりそうだ。

アクアプラスについては、新作ゲームの販売実績だけではなく、コアファンを抱えるIP群をユークスがどのように再活性化し、新作、移植、イベント、グッズ、そして海外展開へつなげていくのか。今後の展開が注目される。

 

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株式会社ユークス
https://www.yukes.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ユークス
設立
1993年2月
代表者
代表取締役社長 谷口 行規
決算期
1月
直近業績
売上高42億8800万円、営業利益1億8100万円、経常利益1億8400万円、最終利益1億7600万円(2026年1月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4334
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