【台湾編】コロナ後にアキハバラが再現された西門地下街。台湾DDM社がIPストリートを展開した理由 中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第140回
台北のアキハバラ化が止まらない―――2026年夏に感じた台北の胎動は、かつてないものだった。まずは台北の原宿とも言われる西門の地下街を新たに開拓し、日本IPとKPOPで収益化をし、この10年成長著しいDaydreamerStudioのBruce社長をインタビューした。同社が双葉社『クレヨンしんちゃん』を中心に日本IPとの取り組みがこの10年どう変化したか、なぜコロナ後に日本IPの台湾市場展開が強まったのかを取材した。また同時期に台北で展開されていたのはBandai Namco Asia Journeyというバンダイグループ主催のイベント、そしてJoJo Caravan、チェンソーマン展示会、ちいかわDAYSと雪崩のように日本IPの体験型イベントが続く。「台湾市場のイマ」について分析を深めたい
■台湾発のライセンシーDDM、「台北版アキハバラ」の西門で地下街運営を開始。
――:自己紹介からお願いいたします。
DDM(Daydreamer Studio:デイドリーマースタジオ)のBruce Chouと申します。現在60名ほどでオンライン/オフラインのファンエコノミービジネスをやっております。これまで提携したIPは50以上になっており、台湾においてはIPポップアップストアでトップ3の企業、テーマレストラン(テーマカフェ含む)では店舗数No.1の企業になっております。
日本支社としてDDMジャパンもありますが、私が社長をしており、取締役に大里雄二(元コナミで元コナミで、現CONTENT FORWARD取締役)がいて、担当者の林がおります。
――:今回は西門地下街の大規模リニューアルということで取材させていただきました。『クレヨンしんちゃん』ショップが始まった、ということで大人気ですね。
「Crayon Shinchan Cinema Parade」台湾初のフラッグシップストアが7/30、西門地下市にグランドオープンしました。これは弊社と双葉社、住友商事などもはいっての取り組みとなりました。この西門地下街は朝6時~深夜1時まで空いている地下街なのですが、これまでなかなか地上の人気に対してこの地下街はそこまで人気のストリートとなっておりませんでした。それで2026年1月にリニューアル開業するにあたって、この10~15区画(全長215m)を弊社が受託したんです。
――:西門地下街は実ははじめてきたんです。いつも台北地下街には寄っていたんですが。
はい、北門地下街は巨大ですよね。あちらは国営の台北鉄道の所有で、昔からあった「中華商場」が解体された(1992年)のでその地権者・地権店舗を地下空間に移転して2000年にはじまった台湾最大の地下街(全長825m、約200区画)で、いまではフィギュア・ゲーム・アニメなどのサブカルチャーになってますが、全部の店舗がバラバラで統一したテーマがあるわけではないんです。
逆にこの西門地下街は2002年からあるんですが、長らく休業していたり、閑散としていたなかで、こちらは台北市の公営鉄道としてのメトロ台湾が入札案件を公募して、それをDDM社で請け負いました。
――:すごかったです。西門って台湾版「秋葉原」「池袋」みたいなエンタメの街のイメージがあって、
そうですね、西門自体が昔は秋葉原と同じで電気街だったんですよ。それがアニメイト進出(2000年、00年代半ばに光華商場から西門の現在地に移転)や西門新宿、欧米のストリートファッション・スニーカーなどが進出して、今の活気ある姿になりました。それが今のIP系多数の状態になったのはコロナ以降です。2021年にDON DON DONKI(ドン・キホーテ)西門店ができたり、2023年にPOP MART西門店ができて、アニメ・マンガ・フィギュアの街、と様変わりしました。

▲西門の地上繁華街
――:西門地下街、たしかに「テーマ」がありますよね。大半は日本IPですが、K-POPがあったり、鏡張りのスペースでは
アニメストリートですが近未来性をいれてストリート全体も装飾しています。この10区画以上は基本弊社がすべて自由にデザインをしていて、テナントとして入っていただく部分もあるんですが、現在開いている10区画の半分はDDMが直接運営しています。弊社としも、この地下街まるまるを任されるというのは初めてのことで、かなりリスクをとってチャレンジしています。
Fanfans(IPのPOPUP SHOP)、ドリンク店Gaacha(テーマカフェ、IPコラボした飲料が飲める)、Fanme(K-POPショップ)、一楽(NARUTOにでてくるラーメン店、2019年から上海展開したものの台北フランチャイズ店)、しんちゃんシネマパレードなどは弊社で運営しており、Animate POP-UP Shopやウマ娘展示スペース、Luckyのガチャスペースなどはテナント、という形です。







――:最近は上海の南京東路にZ/Xビルが「オタクビル」となって初音ミクができたり 、韓国弘大(ホンデ)もストリート文化街が日本IPになったり> 、この5年で“○○の秋葉原"みたいな場所がアジア中にできてきました。ベンチマークしている場所はありますか?
そうですね、あえていうと上海の静安大悦城ですかね。
――:確かに。2023年Z/Xから始まり、2024~25年は大悦城や新世界城で『呪術廻戦』から日本IPコラボ大ブームでした。


▲2024年夏の上海・静安大悦城での日本IPコラボ(著者撮影)
■2016年創業のDDM社、Disney≒ライセンス市場という市場にワーナーIPで展開
――:Bruceさんはどうしてこの仕事を創業したのでしょうか?
台湾・映画学科USC(南カリフォルニア大学)のMarketing communication専門で留学しました。自分はコンシューマービジネスがしたかったので、それを卒業してから台湾にもどってP&Gで営業セクションで働いていたんです。その後転職した先が現在につづく転機になりました。野獣國(Beast Kingdom)に就職したのが2014年です。
――:おお、ウルトラマンをやっている野獣國(以後BK)ですね!?BK社自体が2010年に楊氏が立ち上げて、現在台湾内14店舗、13億台湾ドル(約65億円)で社員200名規模の大手企業です。近年は台湾外の売上も4割と絶好調です。
そうです、フィギュアがメインの商材ですが、当時はまだ20~30名の中小企業でした。その後IPOして、いまでは200名の業界最大手なんですけど、当時は若手の私もInternational Businessのセクションを任されて、それこそ米国でバンダイのDistributorだったBluefinのSteveが友人だったり、Sandiegoのコミコンにも出展したりしていました。日本のGood Smile Companyさんなんかともそこで関係ができましたね。
――:BK社にはどのくらいいたんですか?
実際に働いていたのは2年間だけですね。扱っていたのはMarvelなどの米国IPが中心で、正直台湾のDisneyは大成功していたんですが、むしろ日本のDisneyがうまくいっていないからと台湾に視察にくるほどに差がありました。マーベル商品に限っては日本の5倍も売れていたんですよ。
――:面白いですね、難航していたDisney Japanの日本市場よりも、台湾のBK社がやっていたDisney台湾市場展開のほうがうまくいっていたんですね。
日本でも売れていたのはFrozen(アナと雪の女王)くらいですかね。LINEツムツムなんかも大きなビジネスになっていましたが。ヨドバシカメラとか量販店でどう売ったらいいかなどそのときに日本市場についても考える機会をもらいましたね。
でもその2年でいろいろ考えました。基本的にライセンシーは1カテゴリーごとにしか勝負していなかったんですよ。最大手のBK社でも当時はその売上の95%がDisney、というほどに1社にかなり依存していた。ビジネス自体は一番進んでいた会社でその状況だったので、自分だったらもっといろいろやれるだろうと思って立ち上げたのがDDM社です。2016年のことです。
――:他のIPに比べて「台湾のキャラクター市場≒Disney」みたいな世界だったんですか?
そうですね。Disneyが10年以上は進んでいました。みなDisneyやSanrioからビジネスを始めて、あれから10年たって、最近になって『ポケモン』や『NARUTO』なども到達してきた、くらいに私は感じてます。私はそのBK×Disneyでやっていたことがそのまま他社・ほかのキャラクターでも実現できると信じてきましたし、彼らの非常にOrganizedされたライセンスの仕組みをいかに再現できるかに尽力してきました。
幸い台湾は消費意欲は旺盛で、チャネルをうまくつくれれば市場は伸びました。
――:この2016年たちあがりは、どんなIPをやっていたんですか?
DDMで最初に業績をけん引していたのはワーナーブラザーズIPです。彼らのほうからアプローチがあって、我々が手掛けるようになるとWB社もずいぶん驚いていました。PPG, 『トムとジェリー』『スポンジボブ』などもそれまでキッズ向けにしか展開していなかったんですよね。でも当時30歳だった自分はそれを好きだったし、ちゃんと届ければ売れると思いました。パパママショップだけじゃなく、一般流通チェーンにセレブリティやインフルエンサーも呼んで、話題をつくりながらヤングアダルト向けに商品を展開しました。

■創業3年で開始した日系アニメIP、『初音ミク』『ダンダダン』『推しの子』『ハイキュー!!』
――:Disneyでライセンスビジネスを覚え、WBで成功したDDMはいつから日系IPを手掛けるようになるのですか?
はい、最初の3年は欧米IPだけでしたが、2019年に最初にやったのは「初音ミク」です。北海道のクリプトンフューチャー社にいって、台湾のExclusiveのライセンシー権を預かりました。そこで成功をさせてからは日系IPの割合がどんどん増えていきます。『ハイキュー!』や『僕のヒーローアカデミア』『鬼滅の刃』『呪術廻戦』『エヴァンゲリオン』などです。

――:2019年に台湾市場における日本アニメIPはどういう状況でしたか?
日本アニメのビジネスはライセンス展開している会社が「皆無」でした。TVなど映像系の会社がライセンスをもらって、放送をしながら、ちょっとだけMD(マーチャンダイジング)も展開する、くらいのもの。なので2019年から弊社が日系IPをPOPUPだったり商品化だったりでとりはじめたときは競合も存在しない市場でしたね。
――:意外でした。2000年代から角川書店やアニメイトも入っていたし、日本IPが早くから浸透していたイメージでしたが、本当に最近なんですね。『ぴちぴちピッチ』(2002-05「なかよし」連載、アニメ化した講談社のメディアミックス作)が街中でスタンディーをみたのも驚きでした。
いやいや、台湾で大人気だったんですよ、『ピチピチ』。私は8歳のときでしたけど、アニメ覚えてますよ。講談社さんから依頼があり、彼らとリブランディングを仕掛けました。同様に展開していったのが『頭文字D』『進撃の巨人』『カードキャプターさくら』です。POPUPを出店して、露出を増やしていきました。
基本はオンラインとオフラインの両軸で売ることですね。プロモーションもマーケティングもできます。現在我々が扱っているのは40-50店舗ありますが、そこでオフラインをやることがオンライン上でのニュースを作るんです。もちろんウェブサイトつくったり、オンラインでの仕掛けもしっかり用意した上ですけど。そうやって商売がまわるサイクルを作らなきゃいけないのに、それまでってニュースも何も関係なしに、ただ作ったものを並べてるだけだったんです。


▲実際にアジアに50店舗近く展開する誠品生活(1989年台北設立の大型書店が商業施設化した)でも「ぴちぴちピッチ」コラボが実現していた
――:2019年以降の日本アニメの浸透はどうでしょうか?
その後の5-6年間で日本IPはすごく浸透しましたね。その一番は『鬼滅の刃』でしたが、そのあとは徐々にペースダウンしている気配はあります。あれ以来、次の大波はそんなにきていない認識です。それに「アニメ」だけではなく、ちいかわやサンリオなどMDキャラクターも上がり始めていますね。Cute Animeのトレンドもすこしずつ来ている気がします。
――:DDMとして今後こういう作品と提携できたら、日本IPの台湾市場の可能性が拡がると思うものは、ありますか?
『ポケモン』とか『ちいかわ』とかですかね。『ちいかわ』は中国アリババが展開していたり、商品化も今は日本と同じJuiceさんが展開しています。あと『名探偵コナン』も台湾Mighty Mediaがそのまま台湾でも展開していて、そういったところに弊社ももっと関われるといいなと思います。
■オンライン/オフラインあわせた事業。台湾で30億円規模のトップ企業に躍り出る。
――:DDMはずいぶん広い事業ポートフォリオがありますね。
うちはIPをただグッズ化して販売する、というライセンシーとは違い、基本的にはPOPUPショップやテーマカフェ、イベントにMD、コンサートまで手掛けて、とにかくニュースや人を送客できる環境づくりから行える事業体になっています。オンラインでもウェブサイトづくりやECもやりますし、IP全体でオフライン・オンラインあわせてトラフィックを生めるように事業展開をしています。
――:コンサートもやってるんですか!?
弊社の新ビジネスラインとしてトライしているのが、今回の地下街全体をプロデュースする「ストリート」と、K-POPの「コンサート」主催事業なんです。K-POPと5000名規模の大きなコンサートを主催してチケッティングを展開しており今はこちらが一番伸びていますね。ストリートはさきほど中山さんにみていただいたものですね。
――:ちょうど「クレヨンしんちゃんシネマパレード」は住友商事さんも出資に入っています。僕もブシロード時代に同僚だったんですが、土屋さんお知り合いなんですよね?
当時レッグスにいた土屋慎一さん(KADOKAWA→ブシロード→レッグスを経て、現在住友商事IPプロデュースユニット・ユニット長代理)の紹介でカフェビジネスの可能性に気づいたんですよ。彼らがコナンカフェのアジア展開事業をやったことで、これは台湾でも可能性があるな、と。ここらへんの事業は他の競合ではすぐにはコピーしにくいモデルなので、参入障壁を築く意味でもよかったなと思います。2024年ごろからほかの他社もカフェ事業をやりはじめましたね。



▲左手からDDM Bruce氏、双葉社 小野寺氏 、双葉社 宮澤氏 、住友商事 長澤氏 、台湾住友商事 長氏の5人がテープカットを行った

――:僕も以前台湾でマーケティング会社から、テーマカフェ事業CAPSULの埴渕さんにインタビューしました。彼らもまさに2023年からコマース・カフェ事業に進出しています。
CAPSULは『僕のヒーローアカデミア』のテーマカフェやってますよね。弊社としても先にやっていたんですが、そろそろ売上は厳しいかなと思って見送ったんですが彼らがやったら大成功だった。ちょっとそれは悔しいですね。
――:今、会社の規模はどのくらいですか?
現在こちらのオフィスには50名ほどでいて、もう1拠点あるので全体で60名くらいですかね。IPチームとデザイナーチームがあって、プロジェクトマネジャーがその2職種を束ねながらまわしていきます。
売上は昨年で1000~1200万ドル、今年は1800万ドルで60%成長見込みです。2016~18年のWBや、2019~年の日本アニメ事業、2020年代入ってからのPOPUP、テーマカフェとどんどん事業ラインを多様化させていきましたが、この3年が一番伸びていますね。

■クリエイティブ課題が多い日本アニメ。スポーツ/K-POPが躍進する台湾市場に食い込めるか
――:台湾でこの大きさは驚異的ですね。すでに日系IPの台湾市場展開で8年になるDDM社ですが、北米系・韓国系・中国系とくらべた日系の難しさはどういうところに感じますか?
スタイルガイドですね。DisneyにせよWBにせよ、大量のアニメバリエーションがあり、豊富なスタイルガイドからライセンシーは選択すればよく、商品化に対して新しさを追求することができる。ただ日本のアニメは「アニメ制作の片手間に商品化を行う」ため、数年前にもらった2枚の版権絵だけで数百種類のライセンス商品がそのまま棚に並んでいて、ファンが見向きをしなくなっていたりする。日本アニメはもっと商品展開にクリエイティブであるべき、というのは欧米と比べた時に痛感します。
弊社でも「ハイキュー!」のスローガンが入ったTシャツで1万枚売れて、それが1年間売れ続けていたり、呪術廻戦で『労働はクソということです』みたいなキーメッセージが入っただけのTシャツがすごく売れました。「カードキャプターさくら」はたった$2のトレーディングポストカードが、6万枚ですよ。こちらは20個のグラフィックがガチャ形式で何がでてくるかわからない、みたいな売り方も功を奏しました。
やっぱり広がるかどうかはグラフィックとしての多様性と幅なんですよね。クリエイティブ一つでユーザーの反応は全然違ってきます。
――:その辺は日系IPと違って韓国系のアーティスト主体のビジネスは違うんでしょうか?
K-POPはむしろ日本IPで版元とのやり方が理解できるようになってからの展開なので、やりやすかったですね。K-POPアーティストたちはライブや音楽事業だけじゃなく、そのまま日本アニメと同じようにMD事業も積極的に展開しています。こちらは(ヒットのサイクルは短い傾向もありますが)量産体制が出来ていて、バリュアブルな(価値ある)絵がどんどん出てくる。彼らも日本のキャラクターと同じMDビジネスにどんどん進出してきていますし、台湾のカフェ事業の絵は韓国本国から彼ら自身がバンバン絵を提案してきたりします。そのスピード感は日系と韓国系で、ずいぶん違うと感じます。
K-POPは2025年に力をいれたのですが、たった1年でもはや台湾のアルバム市場でマーケットシェアをNo.1になりましたね。

▲バタバタと社内を忙しそうに駆け回るDDM社K-POPビジネスの島。7名でまわしている。
――:ジャンルとしては北米IP→日本アニメIPですが、今成長しているのはK-POPのIPですか?
ジャンルとしてはK-POPと、あとはスポーツです。FIFAは2023年からExclusiveでの商品化権を展開していますし(台湾はサッカーはまだあまり人気ないのですが)、人気スポーツの野球ではWBSCプレミアム12(世界野球ソフトボール連盟)や今人気のWBCもやっています。WBC 2023の時は、ミズノがちょっとスポーツアパレルで関連商品を売っているくらいでロゴもライセンスもほとんど事業展開されていませんでした。だからWBC2026も含めてスポーツのライセンス事業はこれから台湾で伸びるところですよ。
北米IP、日本アニメIPときて、K-POP、スポーツ、あとは中国のゲームIPも人気になってきています。mihoYo社『原神』をはじめ、Bilibili社とも提携していますし、テンセント社の女性向けゲーム『光と夜の恋 Light and Night』のPOPUP/カフェ展開もしています。
――:ベンチマークとなる競合はありますか?
1つ1つのセクションごとには色々な競合がありますが、弊社ほどにビジネスが多様化している企業はそれほど多くありません。結局これらのビジネスって本質的に売っている価値は3つだけなんですよ。コレクション(MD)か体験(入場チケット)からコマーシャル(ライセンス、広告、KOL)。Diversifiedしたビジネスラインを使って、提携先の北米・日系・韓国系・中国系IPにこの3つでいかにファンダムにむけて市場をつくっていけるかが弊社のビジネスの肝になります。
どんどんエンタメ産業はヒューマンエンターテイメントになっていっています。ファンミーティングやコンサートなどオフラインで人と対面して広げていくビジネスになってきています。

――:他のエリア展開も考えていますか?
そうですね、台湾だけでなく、もっとアジア全域でやっていこうとは思っています。
タイには2024年に支社もつくって、現在テーマカフェを展開しています。日本も同様に2024年に支社をつくって今は業務委託もいれて2名サイズ、2026年に入って(僕自身今日中国から帰ってきましたが)中国にも支社をつくっています。やはり中国市場を視野にいれないわけにはいきません。ビックIPはビックな市場を求めますし、その点ではアジアで中国に比する市場はありませんから。
あとは弊社がハブとなって他IP・他国IPとのコラボ案件なども仕掛けたいなとおもいますね。Black pink×サンリオ、とか(BIGBANGの)G-Dragon×トイストーリーですとか。
――:今回つないでもらった取締役の大里さんはIP FORWARDグループでCONTENT FORWARD取締役でもあります。
大里さんには中国IPFグループに入社される前、3年ほど前から弊社のお手伝いをしていただいており、台湾市場向けに案件をご紹介いただいたり、提携関係にあります。まだ日本支社は大里さんと林の2名だけですが、ぜひIP FORWARD社経由でも弊社にダイレクトでももっと台湾市場やアジア全域市場に展開したいというご相談はいただきたいです。

■台湾市場に展開される日本IPは、2026年でも「まだはじまったばかり」
今回出張した2026年8月の台湾は、同時期である7月31日から8月9日まで統一時代百貨デパートでバンダイナムコが「Bandai Namco Asia Journey in Taiwan」を行っていた。その来場者数たるや8日間(台風の接近によって早めに切り上げられた)で4万人超、2F~4FのOpen Spaceを貸し切って、目玉は5メートル超のν(ニュー)ガンダム立像に、巨大なRX-78-2ガンダムバルーン。
この取り組みは同年4月に香港でも好評を博し、その台湾横展開ではあるが、重要なのは「現地の玩具流通・小売に販売しているIP元のバンダイが主体となってPRのイベントを行っていること」である。億円級のコストはくだらないだろうこうしたイベントで、一番得をするのはそこでスペースを使って催事販売に精を出す現地の代理店やライセンシーである。バンダイに直接売り上げが入るわけではない。それでも、こうした関係強化やブランディングとしての販促が重要、ということを中長期視野で展開するバンダイナムコはすでに「台湾のイベント主催者」としての顔つきももっている。
音楽ライブにしてもスポーツイベントにしても原画展やイマーシブシアターにしても、現地のプロモーターにそのままスキームごと委託してしまうことが日本のIP展開の通例であった。だがコロナ後明らかに潮目がかわり、底堅い需要に対してメーカーや版元が直接的に市場に働きかける動きがでてきた。それはこうしたバンダイナムコや双葉社×DDMの動きもそうであるし、ポケモン・任天堂・サンリオといった企業も同様である。




さらに驚くべきは台北の街中でみられる「日本動漫祭」である。大型書店の誠品生活に、新光三越に、華山1914。北門地下街に西門地下街、ありとあらゆるところでみられる日本アニメ・ゲーム・キャラクターのグッズのその数えきれない数とコラボ。「台北自体がアキハバラ化」しているとすら思えるこの夏の勢いはかつてないものだった。年1度は同市を訪れている筆者をしても、2026年というのはちょっと特別なものを感じた。

▲なんと台湾では米国玩具小売チェーン「トイザらス」が日系動漫典を展開している…

▲ちびまる子ちゃん×アヴァンギャルディのコラボ

▲香港・台湾で人気の「しょーちゃん」シリーズ

▲Bruce氏出身の野獣國、巨大な高密度フィギュアが並んでいる

▲SNKのKing of Fighters98とコラボする渋谷のストリートファッションXRAGE、アパレルにとってもIPコラボはこうした“日本IPストリート"に入り込むチャンスを拓く

▲台湾セブンイレブンはキャラクターパッケージ化しており、店舗全体が「Mofusand」化している


▲Museが華山1914で6/18~9/13にJinyi Creationプロデュースで展開していた無料入場の体験型物販イベント「動漫最高祭」、『進撃の巨人』『葬送のフリーレン』『鬼滅の刃』『ワンパンマン』の4つの展示。質は…あまり高くない。あくまで物販スペースのための無料展示。

▲誠品動漫祭(eslite ACG Festival)も8/1-9/30で展開、『ハイキュー!!』や『葬送のフリーレン』のまとめ買いセールを展開。地下道を歩けば必ず日本IPの店舗か動漫祭にあたる。「台北のアキハバラ化」もあながち言い過ぎではないだろう


▲新光三越が6/26-8/11で展開していたJojo Caravan

▲同じ新光三越で8/6-9/13に展開された『チェンソーマン レゼ編』台北ポップアップストア。同作は2025年に台湾で2.6億元(13億円)で日本映画として歴代6位(1位は鬼滅無限城で8.6億元)
ちょうどこれから『映画ちいかわ 人魚の島のひみつ』がはじまるということで西門の駅ナカでも広告が散見された。9月8日時点で1.5億元(7.5億円)とこれも歴代20位に入る記録である。今後日本のアニメ映画にとって台湾は「映画をただながすだけの市場」にはなりえないだろう。これまでみてきたようにDDMから誠品生活、新光三越、三井ららぽーとなど日本IPと積極的なリテーラーの存在もあり、まるで東京にいるかのようなコラボによる映像・ゲーム・商品・コラボカフェの展開先になってくることだろう。


▲日本以上の盛り上がりをみせていた華山1914のちいかわDAYS、7/4~9/27で映画にあわせてアジア諸都市を展開しており、8月香港、10月上海と展示される予定と聞く。
会社情報
- 会社名
- Re entertainment
- 設立
- 2021年7月
- 代表者
- 中山淳雄
- 直近業績
- エンタメ社会学者の中山淳雄氏が海外&事業家&研究者として追求してきた経験をもとに“エンターテイメントの再現性追求”を支援するコンサルティング事業を展開している。
- 上場区分
- 未上場