
ガンホー・オンライン・エンターテイメント<3765>は10月15日、株主から臨時株主総会の招集請求を受けたと発表した。請求者は、JAPAN-UPの受託者であるINTERTRUST TRUSTEES (CAYMAN) LIMITEDと、株式会社ストラテジックキャピタル。議案は「特定の株主からの自己株式取得の件」で、既に予定されている株式譲渡について、取引スキームを変更することで会社に経済的利益を残すよう求めている。
今回の提案で注目されるのは、単に株主還元の拡大や余剰資金の活用を要求するのではなく、具体的な資本取引の方法を見直すことで、企業価値の向上を図ろうとしている点だ。
■株式取得の方法を変え、会社に利益を残す提案
ストラテジックキャピタルの説明によると、ガンホーは2026年8月、ソニー・ミュージックエンタテインメント(SME)との資本業務提携に関連し、孫泰蔵氏が代表社員を務めるSON Financial合同会社が保有するガンホー株式1,200万6,500株を、1株2,385円でSMEに譲渡する契約を締結した。譲渡の実行日は同年12月30日を予定している。
これに対し、ストラテジックキャピタルは、SON Financialが保有する株式をガンホーが自己株式として取得し、その後SMEに処分するスキームを提案している。
提案では、ガンホーが1株1,946円で株式を取得し、SMEに1株2,385円で処分するケースなどを想定。取得価格と処分価格の差額を会社に残すことで、最大約52億円の経済的利益を生み出せると試算している。
背景にあるのは、法人による株式譲渡に伴う税務上の取り扱いだ。ストラテジックキャピタルは、発行会社による自己株式取得では、一定の条件下で受取配当等の益金不算入制度が適用される可能性があると説明。会社を取引に介在させることで、売り手側の税負担を抑えながら、取引によって生じる経済的利益の一部をガンホーに帰属させられると主張している。
なお、約52億円という金額は提案者側の試算であり、実際に同額の利益が生まれることが確定したわけではない。税務上の取り扱いや取引費用、契約変更の可否なども含め、実現には検討が必要となる。

■株主還元要求から、取引スキームの改善へ
物言う株主による企業への要求というと、増配や自社株買いの拡大、余剰資金の活用など、資本政策の変更を求めるケースが広く知られている。これに対し、今回の提案は、既に予定されている株式譲渡を前提に、取引の組み立て方を変えることで会社に利益を残せるのではないか、という問題提起だ。
会社の保有資産や事業から生み出される利益だけでなく、資本取引の設計によっても企業価値を高められる可能性がある。ストラテジックキャピタルは、今回の取引について、現行の方法では会社に帰属させられるはずの経済的利益を十分に確保できないとみて、代替案を提示した格好だ。
もっとも、会社側の判断を経ずに提案が実行されるわけではない。今回の臨時株主総会の議案は自己株式取得に関するものであり、SMEへの自己株式の処分までを直接決議するものではない。実際に代替スキームを実行するには、関係者間の合意や必要な手続きが別途求められる。
ガンホーは今回の請求について、内容を慎重に検討したうえで対応方針を決定するとしている。臨時株主総会の開催や議案への対応を含め、今後の会社側の判断が焦点となる。
今回の案件は、物言う株主と経営陣の対立という側面を持つ一方、企業価値向上の手段が事業戦略や株主還元に限られないことを示す事例でもある。取引スキームの変更によって会社に利益を残せるのか。提案の実現可能性とともに、企業の資本取引をめぐるガバナンスのあり方が問われることになりそうだ。
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会社情報
- 会社名
- ガンホー・オンライン・エンターテイメント株式会社
- 設立
- 1998年7月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 坂井 一也
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高932億4200万円、営業利益50億5600万円、経常利益67億8000万円、最終利益14億700万円(2025年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3765