JPモルガン証券、「インターネットSNSセクター 初期の輝かしい時代の終焉」と題するレポートを発行

 JPモルガン証券は、11月25日付けで、「インターネットSNSセクター 初期の輝かしい時代の終焉-ディー・エヌ・エー、グリー、ミクシィ」と題するレポートを発行しました。56ページにもわたる大作です。同証券は、まず、ディー・エヌ・エー<2432>を投資判断「Underweight」・目標株価2200円、グリー<3632>を投資判断「Neutral」・目標株価1000円、ミクシィ<2121>を「Neutral」・目標株価42万5000円でカバレッジを開始したとし、インターネット業界の中でもSNSセクターの見通しは厳しいが、今後の広告収入の回復を受けて業績の伸びが期待できる企業を選別すべきであるとコメントしています(目標株価の達成予想期間は2011年11月まで)。

 同証券は、過去2年間、日本国内では、携帯ソーシャルゲームが急速に普及し、高成長を遂げてきたが、製品サイクル「初期の栄光時代」でのヒット作品は、単に需給バランスの不均衡によるものだった可能性があると指摘しています。市場では、多数の企業がひしめき合い、ヒット作をめぐる激しい競争が繰り広げられているうえ、ゲーム開発コストや販促費も増しており、利益率の低下が予想される。SNSへのユーザー参加率の伸びも期待できず、他のコンテンツ事業と同じく、今後は利益率が低下していく製品サイクルをたどるとみているようです。

 また、国内SNS各社の優先課題になっている海外進出についても、悲観的な見方です。スマートフォンは、ソーシャルゲームの新たな配信チャネルであり、ビジネスチャンスとなりうるものの、海外市場にはすでに多くの企業が参入しているため、厳しい競争が懸念される、とのこと。海外のSNSコミュニティの大半は、現実のソーシャルグラフを対象にしているため、コミュニティ基盤を構築するには時間と手間がかかり、乗り換えコストも高く、バーチャルコミュニティへの参加は、日本ほど多くはならない可能性がある。よって、ユーザーの課金額も限られたものとなり、大きな収益は期待できず、海外市場での成長には限界がある、とみているようです。

 そのほか、SNSやソーシャルゲームの基本事項の解説のほか、SNS各社の解説・分析などが行われており、これも非常に読み応えのある内容になっています。ちなみに、JPモルガン証券では、SNS市場(広告とソーシャルゲーム)の市場規模は、2010年が前年比185%増の約2000億円となり、続く2011年はユーザー数とARPUの成長性が頭打ちとなることにより、前年比15%増にとどまると予想しているようです。個別企業のレポートの概要は別エントリーで。