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【CEDEC 2019】サービス終了危機だった『天華百剣 -斬-』がCMを使わずDAUを増やした起死回生のSNSプロモーション術をDeNAプロデューサーが明かす!

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9月4日~6日にかけて、パシフィコ横浜で行われたCEDEC 2019。その最終日のセッションの中から、「サービス終了寸前だったタイトルが、CMを使わずにDAUを増やして九死に一生を得たSNSプロモーション術」の模様をお届けする。

KADOKAWAとディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>が提供するゲームアプリ『天華百剣 -斬-』を題材にした本セッションでは、本作プロデューサーを務めるDeNAのナカムラ ケンタロウ氏が登壇。

ゲームリリース1周年のタイミングを機にプロモーション戦略の柱の1つに「SNSでの盛り上がり」を設定し、サービス終了の危機を脱することができた『天華百剣 -斬-』の事例と共に、SNSでの情報の伝播を戦略的に盛り込んだコミュニケーションの手法を紹介していった。


▲『天華百剣 -斬-』プロデューサーのナカムラ ケンタロウ氏。

最初に「プランナーとしてTwitterのプロモーション効果を意識しながらゲームについてあれこれ考えることが重要」と結論から入ったナカムラ氏。

プランナーはその視点で、またマーケティング系の人にはプランナーと連携するとプロモーション効果を高めることができる、という視点で話を聞いてほしいと挨拶した。

そして、本セッションのテーマである、サービス終了に追い込まれた『天華百剣 -斬-』の概要を簡単に紹介した。


▲本作は刀剣を擬人化した女の子が戦うベルトスクロールアクション。KADOKAWAとの協業でゲームのほかコミカライズ、ノベライズ、音楽など各種メディア展開も実施中。

まず、『天華百剣 -斬-』がサービス終了寸前まで追い込まれた歴史について触れたナカムラ氏。2017年4月~2018年3月の年間のアクティブユーザー数をイメージした折れ線グラフを紹介。

2017年4月20日にリリースされた本作は、2017年5月までは順調…と思われたが、「色々とちょっとした事件もあり」(ナカムラ)そこから急転直下でユーザー数が減ってしまったと当時の状況を説明した。

ナカムラ氏は2017年11月に『天華百剣 -斬-』チームにディレクターとして参加。そしてリリース1周年を迎えるタイミングの2018年1月半ばに、プロデューサー交代の打診を受け就任。

しかし直後の2018年2月、3月に本作は超低迷期を迎えたという。



超低迷期の最中、プロデューサー引継ぎ時にナカムラ氏は先代プロデューサーから「2018年8月末の状況でサービス終了か継続か会社がジャッジする」という衝撃の事実を告げられたそうだ。

リリース1周年は迎えられた『天華百剣 -斬-』だが、1年半は迎えられないかもしれない…。

ナカムラ氏自身、途中からチームに合流したタイトルだったが、実はリリース時からいちプレイヤーとして遊んでいたそうで、『天華百剣 -斬-』への思い入れは強かった。

「絶対に終わらせたくない」「そのためにはどすればいい!?」とずっと考えていた。それが自身のプロデューサーとしての第一歩だった、とナカムラ氏は当時を振り返った。



そんなナカムラ氏が、『天華百剣 -斬-』を絶対にサービス終了させない為に何を考えていったのか?

「必ず最大以上の成果を出して、絶対にサービスを終わらせない! その為に何でもやってやろう」という強い気持ちのみで四苦八苦していったというナカムラ氏が着目したのが、" Twitterのプロモーション効果"。

ゲームを終わらせない為には、多くの人に『天華百剣 -斬-』の事を知ってもらい、実際にゲームを遊んでもらわなければならない、と考えたのだ。

多くの人に知ってもらう方法としてCMや交通広告等あるが、『天華百剣 -斬-』で使える予算は限られていた。従って、新規タイトルが作れる程の金額が必要になる大々的なCM展開や、CM程ではないがやはりある程度の額がいる中吊り広告や電車ラッピング等の交通広告は現実的ではなかった。

予算を使ったプロモーションが難しい中でナカムラ氏は、「自分達が届けたいと思っている層にピンポイントで効率良く届けたい」と考え、一番ベターなツールとしてTwitterに着目した。

Twitterは匿名性が高く、1人で複数アカウントを使うことができる。「実はそれがゲームやアニメのいわゆるオタク系コンテンツとの相性がすごく良いのではないかと思いました」とナカムラ氏。

また「これはTwitterの特徴ですが、ゲームファンはゲーム専用アカウントを作って、好きなゲームの情報をつぶやく人を中心にフォローする。またキャラゲー好きな人ならキャラゲー好きを中心にフォローするなど、趣味趣向が似た人同士でつながっていることが多い」(ナカムラ)と、同じ趣味趣向を持つ人達に情報が伝播しやすいという点を挙げ、そこは最大限に利用すべく様々な事を考えていったそうだ。



Twitterでのプロモーションで良く聞く言葉として「バズる」があるが、「しかし、バズることを目指したわけではありません」とナカムラ氏。「バズる」ことは一時的なプロモーション効果は高いものの、一定期間が過ぎるとすぐに収束してしまい中長期的な効果はあまりないという。



『天華百剣 -斬-』が目指したのは「バズる」ことではなく、同時多発的に『天華百剣 -斬-』の様々な情報がツイートされ続ける、何かしらの新しい情報が次々ツイートされ続けている、という状態だった。

その状態を目指した理由については、「同時多発的に本作の様々な情報がツイートされ続けることで、3つの法則が発動されるから」とナカムラ氏は語る。その3つの法則がこちら。



①は、知っている人、身近な人(=繋がっている人)が注目する情報は、何故か自分も気になってしまうという法則。

②の自分が気になっている情報は「最近、○○をよく見る気がする」法則。例えば、緑色の車を買いたいと思っていたが、世の中に意外と緑色の車が多いから別の色にしたいという考えに変わったとする。

この思考について「世の中で緑色の車はそこまで一般的な色ではないと思うのですが、緑の車が欲しいと思っているから自然とその色の車に注目して、いっぱいあるなと錯覚してしまうから」とナカムラ氏。

無意識で注目している情報は目に付きやすい、記憶に残りやすいというこの法則によって生まれる状態をTwitterで作りたいと考えた。

そして①と②の合わせ技が③。自分の周りで最近よく見かけるコンテンツは、もしかするとすごく流行っている、いまアツいコンテンツなのではと思ってしまうという、3つ目の法則となる。



「今このゲームがアツい、という空気、状態を作り出せれば、Twitterのプロモーション効果を最大限出せるんじゃないか」とナカムラ氏。

Twitter上で同時多発的に『天華百剣 -斬-』の情報がツイートされ続ける状況を作るためには、プランナーとしてできることが何かを考える必要があるとし、Twitterのプロモーション効果を高める方法を紹介した。

ナカムラ氏はまず前提条件として、"プレイヤー・運営間のコミュニケーション"についての認識を変える、という事を挙げた。

プレイヤー・運営間のコミュニケーションとは、ゲーム内のお知らせ、公式Twitter、生放送、アンケートや人気投票、プロデューサーレター、リアルイベントなど様々だが、プレイヤー・運営間で何かしらのインタラクティブな要素があれば、それらは全て広義に「コミュニケーション」と捉えていいのでは? ナカムラ氏はそう考えた。

ゲーム側からプレイヤーへの直接的な発信が多い。一方プレイヤーからの発信はTwitterのつぶやき、5ちゃんねるの書き込み、Youtubeやミラティブでプレイ動画を配信することが挙げられる。また、相互のやりとりに関して、例えばCS対応、リアルイベントでの直接的会話、アンケートなどがある。

プレイヤーからの発信についてナカムラ氏は、「運営に対して発信している意識はないと思うが、運営がそれをエゴサーチで受信することでコミュニケーションが成立することがあるかなと思う」とのこと。

「ここから更に付け加えて欲しい認識があります」とナカムラ氏が触れたのが間接的なコミュニケーション。

「ゲーム内に実装している全ての物事は、プレイヤーに対して何かしらの情報だったり、運営スタンス、メッセージを発信していることになっている。それを同じくエゴサで受信することでコミュニケーションが成立する」と考えているとした。


▲ゲームに実装している全てのものは、プレイヤーに対する広義なコミュニケーションであると意識することが重要。そうすればTwitterのプロモーション効果をより高めることが可能になるという。

ここからは、Twitterのプロモーション効果を高める3つの方法、その具体例が紹介された。

1つ目は、ゲームの「人格」を意識すること。ゲームの人格とは例えば、Twitter上でその作品の事を運営も含めて、「『天華百剣 -斬-』くんは~」「『天華百剣 -斬-』ちゃんが~」と敬称を付けて呼ぶこと。

実際、DeNAのタイトル『メギド72』がTwitter等で「メギド先輩」と呼ばれているそうだ。「これって実は運営も含めたゲーム全体に人格みたいなものがあるかのように意識的、無意識的かはさておき感じられていることなんじゃないか」とナカムラ氏は推察する。


▲元々は広告業界にいたナカムラ氏曰く、「クライアントの人格を考え、その人格に適したクリエイティブを提案すること、企業に人格があるという考え方は広告業界では当たり前の話」。

人ではないものにも人格はある、というコミュニケーションも大事であり、「だから人格を意識する」とナカムラ氏。プレイヤーが感じている人格を意識して、運営としてゲームがより良い人格を持っている状態を目指したいと思ったそうだ。

『天華百剣 -斬-』が目指したその状態。それは、運営はプレイヤーの立場に立った言葉で語り掛けて、可能な限り情報を開示していきたいということ。そしてプレイヤーの意見を聞いて可能な限り取り入れていきたいということだ。

その具体的な施策がプロデューサーレターとエイプリルフール施策。

プロデューサーレターでは、プロデューサー変更のお知らせや、1周年イベントのシナリオがフルボイスではなかったことに対する制作上の都合を丁寧に説明するなど、「プレイヤーと運営でコミュニケーションをとりながら一緒に進んで行こうという空気を出したかった」とその意図を話した。



そしてエイプリルフール施策。これは当時、プレイヤーからすごく嫌われていた金棒を持った敵キャラがいて、主に5ちゃんねるの中でスラング的に「金棒先輩」という愛称で呼ばれていたそうだ。

その言葉をは、ゲーム内のシナリオで「金棒先輩」という言葉を使用し、その敵キャラが持っている金棒がすごく伸ばすというシナリオを作った。さらにセリフで某人気ゲームのパロディをネタとして入れ込んだという。



​プレイヤーの間で使われているネットスラングを、エイプリルフールということで積極的に入れ込んだその狙いについて、「運営はちゃんと5ちゃんねるやTwitterを見ているんだよ、ということをゲームの実装で証明した」と語ったナカムラ氏。

そうすることで意識的ではなく、無意識的にプレイヤー自身が何かしらをツイートしたり、書き込んだ内容を運営がちゃんと見ているという図式を作り上げたのだ。

これはエゴサで運営がプレイヤーの声を受信していること、その声を積極的に取り入れるというスタンスの表明に加え、プレイヤーがSNSで発信することの価値、意味を高めた。その結果が「Twitterのツイート活性化にも繋がった」(ナカムラ)というわけだ。



Twitterのプロモーション効果を高める方法その2は、端的に言うとゲーム内のネタを仕込みまくることだ。

どういう事かと言うと、ツイート数が増えなければTwitterは盛り上がらない。そのツイート数を増やす為の手段として、ナカムラ氏は「ゲーム内にスクショを撮りたくなるようなポイントを増やすこと」だと思っている。そして先に紹介した"ゲームの「人格」を意識すること"と合わせることでツイート数が増えると言う図式が出来上がる。

具体的なスクショを撮りたくなるようなポイントとは、"エモいポイント"と"ツッコミポイント"だ。


▲1周年シナリオのエンディングで、登場キャラ全員が出迎えてプレイヤー名を呼ぶ演出でスクショを撮りたくなるポイントを用意。これでスクショを撮る人が増え、その内何割かがツイートしてくれる。シナリオの内容・演出、キャラ同士の組み合わせ、史実をなぞるような演出やオマージュなどもエモいポイントになるという。


▲前出の「金棒先輩」を例にツッコミポイントを解説。普段敵として登場し、しゃべることもなかったキャラが田舎のヤンキー口調で会話したり、普段持っている金棒の長さが三倍になっていたりと、ツッコミたくなるポイントを作る。プレイヤーもスクショを撮ってTwitterで「金棒めっちゃ長くて草」とつぶやきツッコミが成立。

この2つのポイントを増やすことでスクショを撮る機会が増え、『天華百剣 -斬-』の話題がTwitterで流れる率も高まるという。

ツッコミ要素を仕込めるポイントはシナリオ、演出はもちろん、イベントタイトル、各種バナー、アイテムデザイン、アイテム名とその説明文など、細かい所まで色々とある。

ナカムラ氏は「このようなポイントは無限に作れるので、シナリオチームや開発会社に協力してもらい、可能な限りスクショポイントを作っていくと良いです」と述べた。



そして、Twitterのプロモーション効果を高める方法の3つ目。それは、"ゲーム外の施策とゲーム内の施策を連動させる"こと。

この方法の事例として、ナカムラ氏は過去に実施した『天華百剣 -斬-』コラボカフェを紹介。この時、メニューや特典の他に、オリジナルの箸袋や紙ナプキンを作成。実際に店舗を訪れた人達が「こんな細かい所までこだわってオリジナルグッズを作っていてすごい」、「店内でボイスドラマが流れている」など、ゲーム外の施策としてプレイヤーがツイートしたくなるネタを数多く仕込んだそうだ。



それに加えてゲーム内の連動として、コラボカフェ実施店舗の内装をそのまま再現したゲーム内で使える背景を作成、配布した。

これにより、ゲーム内でその背景と自分のお気に入りキャラを設定してスクショに撮り、ツイートするプレイヤーが多く見られたほか、コラボカフェを訪れた人が実際の店舗の内装とゲーム内の背景を比較して「一緒で感動した!」というツイートも。


▲ゲーム内で好きなキャラとコラボ背景を設定したスマホをテーブルに置き、タップして会話しながら実際にご飯を食べていたプレイヤーがいたそう。ナカムラ氏は「まるでそのキャラとコラボカフェで一緒にご飯を食べている気分になれる、という使われかたは想定していなかった」と感動したとのこと。

このような副次的な使われ方もあり、ゲーム内と連動させることで色々な方法からツイートされていくという。

また、コラボカフェが終わったタイミングで店内で流れていたボイスドラマをゲーム内に実装した際、「コラボカフェのボイスドラマがゲームで聞けるようになったよ」とつぶやいてもらえたり、「次はこのキャラでボイスドラマを作ってほしい」など、コラボカフェから派生したツイートも見受けられ、「連動させればさせるほど、ツイート数を増やすことが可能になります」とナカムラ氏は語った。




今回紹介された、"プレイヤー・運営間のコミュニケーション"についての認識を変えるという前提条件からの、Twitterのプロモーション効果を高める3つの方法。

これにより、同時多発的に『天華百剣 -斬-』の様々な情報がツイートされ続けることで「ゲームを知らない人、知っているけどプレイはしていない人に対して、こんなに流行っている、熱いコンテンツなんだと興味を持ってもらい"今このゲームがアツい"という空気を作ることができた」とナカムラ氏は言う。


▲Twitterのプロモーション効果を加速してもらえたケースとして、1周年のタイミングでイラストレーター、キャスト陣、シナリオライターを始めとする関係者や、プレイヤー、ファンから多くのお祝いツイートがあった。「本当に多くの皆様がイラストを添えてお祝いツイートをしてくれました。それが効果を本当に加速させ、爆発的に人が増える事に繋がって本当に感謝しています」とナカムラ氏。

こうして、サービス終了寸前だった『天華百剣 -斬-』は、2018年4月の1周年の追い風でユーザー数が増加。翌5月にコラボイベント、6月にコラボカフェを実施し、ジャッジのタイミングだった8月に無事タイトル継続が決定した。



▲そして今年3月に実施した劇場版アニメ「魔法少女リリカルなのは Detonation」コラボでもユーザー数が増え、2周年へと繋がった。

「超順風満帆とは言わないまでも、何とか続けられています。今年10月よりショートアニメのテレビ放送が開始されます。そして2020年以降に向けた準備も始まり、継続的にタイトルを続けていける基盤が固まりつつあるのかなと思っています」と本セッションについてまとめたナカムラ氏。

そして最後に、次のようなメッセージを送った。

「オリジナルのIPのゲームは、本当に続けるのがすごく難しくて、何かあればすぐにサービスが終了してしまう世界かなと思っています。そんな中で、運営を任されている立場としては、ずっと続けていくという責任があると感じています。せっかく皆様が『天華百剣 -斬-』のキャラクターを愛してくださっている。それを皆様から奪わないということが、運営に課せられた責任だと考えます。

ですから、本当に出来る限りギリギリまで諦めず、理想的には永遠にタイトルを続けていきたいです。その為に今日紹介した事は一部ですが、他にも色々な事を駆使しながら可能な限りIPを広げて、展開を盛り上げて、皆様に喜んでいただける機会をもっと増やしていきたいと思っています」(ナカムラ)



 
 
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代表者 守安 功
決算期 3月
直近業績 売上収益1393億円、営業利益275億円、最終利益229億円(2018年3月期)
上場区分 東証一部
証券コード 2432

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会社名 株式会社KADOKAWA
URL http://www.kadokawa.co.jp/
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決算期 3月
直近業績 売上高2086億0500万円、営業利益27億0700万円、経常利益42億0500万円、最終損益40億8500万円の赤字(2019年3月期)
上場区分 東証1部
証券コード 9468

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