ソーシャルゲームで世界を牽引するヒットコンテンツメーカーCygamesの強さとは

日本発、世界でヒットを飛ばすCygemesを代表する『神撃のバハムート』は、国内ユーザー数300万人を突破。英語版『Rage of Bahamut』は2012年4月にGoogle Playで全米1位、6月にはApp Storeでもアプリ売上ランキング全米1位を記録した。 設立した2011年の5月から、わずか1年での出来事である。以後も韓国版をリリースし、総ユーザー数は世界で2,000万人以上を超え、今も増え続けている。

そんなヒットコンテンツを生み出すCygamesの強さの根幹を担う人材や社内環境についてインタビューを行った。今回の記事では、第一部で取締役の木村氏に会社の全体像を、第二部ではデータサイエンティストの香川氏とプランナーの石川氏に現場のリアルな話を語っていただいた。

 

 

 

≪第一部≫ ヒットコンテンツを生み出す企業基盤に迫る

 

取締役/木村 唯人氏/東京大学大学院出身

 

 

───:従業員数はすでに750名になりますが、みなさんに共通しているもの、または会社として貫いているものはありますか?

企業理念にも掲げている「最高のコンテンツを作ろう」という思いですね。最高という表現は抽象的かもしれませんが、とにかくユーザーに楽しんでいただくことを第一に考えています。このとにかく「いいものをつくろう」という思いは全社的に浸透しており、言わばゲームづくりはメンバーたちのライフワークのようなもの。

イラストレーターであれば、いい画を描く。エンジニアであれば、技術を追求する。といったように、それぞれが自分の分野で最高の仕事をして、それを組み合わせることで相乗効果を生み出しています。またテキストのズレをはじめとした細かい部分にも常に改善を図っているのですが、これは誰が指図するでもなく、個々が自主的に行っているものなんです。

───:コンテンツのクオリティを上げていく秘訣などはあるのですか?

幅広いデスクや、疲れが溜まりにくい椅子、デュアルディスプレイ等、開発に必要な設備はすべて最高のものを揃えていて、ソフトウェア、イラストレーターだとペンタブといったように、要望を出せばそれが実現化される環境です。Cygamesはバックオフィスの体制を整えていて、たとえば「こういった開発キットが欲しい」というオーダーがあればすぐに対応していますし、PCトラブルがあったときもサポート部隊が迅速に駆け付けるようにしています。

 

 

───:クリエイティブワークに集中できるわけですね。

余計な雑務に割く時間は、極力削るようにしています。私を含めた役員たちがクリエイター出身なので、「どうすれば現場が働きやすくなるのか」という理解は深いのかもしれません。あとはなるべく多くのコンテンツに触れることを推奨していて、ミッションステートメントの1つにも「みんなでたくさんゲームをやる」という言葉があります。実際、仕様書を作成しながら、別のモニターでオンラインゲームをプレイして研究しているメンバーもいますよ。

───:躍進の理由もそういった環境面にあるのでしょうか?

『神撃のバハムート』に関しては、タイミングも大きかったと思います。カードゲームがマーケットに浸透し、アニメっぽいゲームが多く見られる中で、『神撃のバハムート』のような本格RPGで明確に差別化を図ることができました。そのときにユーザーが求めているものを出せたというか。Cygamesの役員たちはコンシューマーの時代からゲーム業界に関わっており、その歴史の流れを踏まえると、ソーシャルゲームであっても本格RPGはヒットするのではないかという読みはありました。イラスト1つにしても、コンシューマーレベルの絵をつくるくらいの意気込みで取り組みました。

───:御社は第2新卒をターゲットにした業界未経験者採用を行っており、経験はなくても良いとのことですが、採用に際して重視されていることはなんですか?

Cygamesでは、経験やスキルも大事ですが、大前提としてゲームが好きなことや、面白いゲームをつくりたいという情熱があるかどうかが大事だと考えています。Cygamesのコンテンツが多く方々に楽しんで遊んでいただいているのは、働いているみんなが情熱を持ってゲームづくりに取り組んでいるからだと思っています。業界未経験の方でも、ゲームが大好きで、ユーザーを楽しませたい!という情熱溢れる方であれば、ぜひチャレンジしていただきたいですね。

───:木村さんはどういう経緯でゲーム業界に入られたのですか?

実は私自身も第二新卒採用でゲーム業界に入ったんです。私が新卒で入社した会社は、別業界の商社で、2年間営業の仕事をしていました。営業の仕事は順調ではありましたが、昔からゲームが大好きだったので、ゲーム業界で働きたいと思い、転職を決意しました。未経験での挑戦でしたが、ゲームに対する情熱は誰にも負けないと思っていました。ゲーム業界に入った当初は、もちろん分からないことやうまくいかないこともありましたが、弊社代表の渡邊の指導の元、さまざまな経験を積み、今ではCygamesの取締役、そして神撃のバハムートのプロデューサーとして、1000万人のユーザーを楽しませるコンテンツづくりを担当するまでになりました。Cygamesには渡邊をはじめとした、ゲームづくりのプロフェッショナルがたくさん集まっているので、分からないことがあればすぐに周りが教えてくれます。私がそうだったように、始めはスキルや経験がなくても「最高のコンテンツをつくりたい!」という情熱があれば、メンバーのサポートを得ながら活躍の場は開いていくと思います。

 

 

───:これからの業界はどうなっていくと見ていますか?

ユーザーの目は間違いなく肥えています。たとえばゲームのコンセプト自体が面白くても、UIで使いにくい部分があれば、「じゃあ他のゲームで遊ぼう」ということにもなり兼ねない。ですから、全ての要素が平均点以上をクリアしなければ、ユーザーに受け入れられないフェーズに来ていると思います。ブラウザゲームはもちろん、ネイティブアプリの開発レベルもより上がっていくでしょうね。

───:御社の展開はどのように考えていらっしゃるのでしょう?

ネイティブアプリへの参入は視野に入れていますが、だからと言って、ブラウザゲームの比率を減らすわけではありません。この2つはユーザー層がそこまで重なっていないと見ており、当面は両立させていくことを考えています。コンシューマーゲームやPCゲームのタイトルを開発する可能性もありますよ。正直、半年後のことはまだ分かりませんね。

───:今後の動きが楽しみです。

どういったプラットフォームであれ、『神撃のバハムート』のようにマーケットに新しい潮流を生み出せるものでありたいですね。冒頭にも申し上げましたが、最高のコンテンツを作ること。そして、その情熱をいかにして持ち続けるか。これが、全てだと思っています。

 

 

≪第二部≫ ヒットコンテンツを生み出す現場に迫る

●Part.1 データサイエンティスト/香川/東京大学出身

───:あまりお目にかからない職種名ですね。

そうですね。簡単にご説明すると、アプリに紐付くありとあらゆるデータの分析を行い、言葉ではアウトプットされないユーザーの要望を読み解き、企画に活かしていくという仕事です。社長直々の要望で1年程前に新たに部署が立ち上がり、発足当初から関わっています。

───:どういったデータを分析するのですか?

本当にさまざまです。DAU(デイリーアクティブユーザー)はもちろん、ログインやログアウトをした時間、バトルを行った時間、カードを強化したタイミングなど、挙げていけばキリがありませんね。

───:もともと分析はお好きなのでしょうか?

前職では営業やコンテンツの企画業務を行っていたので、分析業務はCygamesに入ってから初めて取り組みました。ただ、昔から何か問題に直面したときには、知的好奇心がくすぐられて、自分で解かないと気がすまないタイプだったので、どうにかしてこれを解いてやろうという、この志向性は、数字で課題を紐解いていくこの仕事に活きているかもしれませんね。「このアプリはこのアクションがはまるんだ」という最適解を見つけたときは最高に気持ちいいですよ。

 

 

───:実際の現場ではどういった課題が生まれるのですか?

さまざまですよ。「どうすればユーザーがイベントに参加してくれるのか」とか、「ログインしてプレイせずに終わってしまうユーザーをいかにして遊んでいただけるようにするのか」とか。部署の立ち上げ時に比べて、社内からのオーダーは劇的に増えていますね。それだけ各方面から求められているのは、うれしいことです。

───:なぜそこまでニーズが上がっているのでしょう?

カスタマーサポートに届くユーザーからのご意見も非常に重要視しておりますが、ユーザーの感情は直接プレイにも表れ、それは数字へと行き着きます。数字を分析することは、カスタマーサポートとは別の立場から、ユーザーの声なき声を汲み取ることとも言えるんです。たとえば長期に渡って遊んでいただけるよう「このアクションを起こしているユーザーは長期に渡ってプレイしている」ということが分かれば、そこへの興味を引くことでより多くのユーザーに遊んでいただくことができる。結果として、企画やプロモーションの精度も上がっていきます。

───:ユーザーにとっても、よりそのゲームの面白さを堪能できると。

一口にユーザー数と言っても、遊び方や、プレイ頻度は人それぞれです。絡まり合う要因を紐解き、しっかりと遊んでいただいているユーザーたちを可視化し、何を楽しんでいただいているのかを考えていく。単に登録者数という指標で見るのではなく、アプリを本当に楽しんでいただけるユーザーたちを1人でも多く増やしていきたいんです。

 

 

───:ドライな仕事かと思いきや、非常に温かい印象を受けました。

自分ではユーザーに感動を届ける仕事だと認識しています。そのために右脳と左脳を日々フル回転させていますよ。

───:まだ25歳にも関わらず、リーダーも務めていらっしゃるんですね。

この歳では考えられないくらいの裁量権をもらっていると思います。年齢に関わらずポジションを任せてもらえるのは、ベンチャーならではかもしれませんね。ただCygamesにはメンバー同士で競い合うという社風よりも、チーム意識がすごく強い。映画やアニメ、本など、とにかくみんなエンターテイメントが大好きなんです。コンテンツ好きが集まり、チーム一丸となってものづくりに取り組んでいけるのも、楽しみの1つですね。

 

●Part.2 プランナー/石川/東京工業大学大学院出身

 

 

───:入社1年目ということですが、入社動機を教えていただけますか?

昔から、絵を描いたり本を書いたりするのが好きで、ものをつくる仕事に関わりたいなと思っていました。Cygamesの存在を知ったときは、純粋に絵がすごくキレイだなと感じたのを覚えています。それが興味を持ったきっかけですね。

───:もともとゲームはお好きなのですか?

好きですね。入社してからはさらにプレイ時間が増えています。Cygamesには「面白いゲームをつくれる人は、その分だけゲームをプレイしている」という考え方があって。ですからジャンルを問わず、いろいろなゲームをやり込んでいます。法則とまでは言いませんけど、ヒットしているタイトルからは見えてくるものはありますね。

───:プランナーとしての視点でプレイしているのですか?

入社してからはその視点を意識するようになりました。モーションや文字の浮かび上がり方など、自分が関わっているタイトルの参考にしようと思うことも少なくありません。

───:現在はすでに実務に携わっていらっしゃるのですね。

入社研修が終わった後、新規プロジェクトへの配属となりました。世界観の構築やキャラクターの設定、バトルの仕組みなど、いろいろなフェーズを任せてもらっています。

 

 

───:いきなりですか!?

いきなりです。ゲーム全体に影響を与える重要なポジションで、肝の部分と言っても過言ではありません。まわりにいるのも、優秀な人たちばかり。負けないように必死で食らいついています。

───:吸収できることも多そうですね。

いろいろなタイプのプランナーが在籍しているので、刺激は多いですね。さらに社内にはコミュニケーションツールもあって、そこではあらゆる職種の人たちが自由に発言しています。たとえば「こんな状況のときはどう対応したらいい?」というトピックに対して、他のプロジェクトの人がアドバイスをすることもしばしば。そういったやり取りを見ているだけで勉強になります。

───:プランナーとして心がけていることはありますか?

ユーザーが本当に求めているものをつくることですね。ついつい自分がいいと思ったものをつくりがちになりますが、そうならないように客観的な視点から見てみたり、他の人から意見をもらったりしています。あとは、まわりが何をやっているのかをしっかりと把握すること。社内ツールを使ってのやり取りだけでなく、デザイナーやプログラマと直接顔を合わせる機会をなるべく多く設けるようにしています。

 

 

───:分かりました。では最後にCygamesで働く魅力を教えてください。

一緒に働くメンバーのレベルが高いことですね。某有名タイトルのアートディレクターを務めた国内トップクラスのイラストレーターや、コンシューマー業界で経験を積んだエンジニアやプランナー等、Cygamesには非常に優秀な人材が揃っているので、日々刺激を受けながら仕事をしています。あとは2000万人のユーザーがついていることも大きなモチベーションです。自分がプランニングしたものも、たくさんの人たちにプレイしてもらえるようなゲームにしたいですね。今から、リリースが待ち遠しいです。

───:ありがとうございました。

 

 

 

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株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
https://dena.com/jp/

会社情報

会社名
株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
設立
1999年3月
代表者
代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
決算期
3月
直近業績
売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
2432
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