ネイティブゲームアプリを年内に6タイトルをリリースすることを明らかにしたgloops。これまでブラウザゲームが主流だったが、「ネイティブシフト」を一気に進めることを明らかにした。そして、10月28日、この第1弾タイトルにあたる『SKYLOCK - 神々と運命の五つ子 -』をリリースした。今回、gloops社長の池田秀行氏にインタビューを行い、ネイティブシフトの背景や開発体制変更の難しさ、そして戦略などについて話を聞いた。
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gloops、ネイティブゲーム市場に本格参入…『スカイロック』など年内に6タイトルをリリースする計画
■ネイティブアプリへの取組は2年前から 予想以上に時間がかかった
―――:先般、ネイティブアプリを6タイトルをリリースすることを明らかにしました。いままでブラウザゲームをやってきて、ネイティブアプリを転換した経緯を教えて下さい。
市場の変化の流れでは必然かと思います。他社に比べて非常に後れを取ったと思っています。2年近く開発に取り組んでいましたが、カジュアルゲームを作ったり、スクラップアンドビルドを繰り返したりするなど、試行錯誤に時間を費やしたこともあり、予想以上にネイティブへのシフトに時間がかかってしまったというのが本音です。
また、ブラウザゲームが主流の頃は、当社は、マーケットの立ち上がりの頃から参入していたこともあり、ゲームを出してスピード感を持って改善していくやり方が効果的でした。しかし、ネイティブゲームではリリース時点から非常に作りこんだ状態でないと勝負できません。
それでは作りこんでから出せばと思うかもしれませんが、開発の体制や開発に必要とされる技術要素、プロセスが全く異なりますし、開発チームの人数、開発期間、予算なども当然、大きくなります。当社も御多分にもれず、プロジェクトマネジメントには苦労しました(笑)
―――:開発スタッフの構成は変わりましたか?
現在、ブラウザとネイティブでは5:5ですね。2年ほど前から徐々に増やしはじめ、本格的に人員を増やしたのは、この1年ほどになるでしょうか。過去を振り返ると、ブラウザゲームの規模が大きかった分、スピーディに動きづらかったという反省があります。
―――:開発手法はどう変わったのでしょうか?
開発プロセスに関しては、例えば、プロトタイピングベースから開発するようになっています。ブラウザゲームだとできることは限られていましたが、ネイティブアプリではとりあえず動いているモノがないと、UXが見えてこない部分がどうしてもあります。
―――:ネイティブアプリ本格参戦の第1弾として『スカイロック』を選択した理由を教えて下さい。
最も自信を持っているタイトルが『スカイロック』であったということが一番の理由です。これを皮切りにネイティブアプリ事業の垂直立ち上げを行い、後続のタイトルにいい影響を与えたいと考えています。先日の大々的な発表会はもちろん、テレビCMを行うなどプロモーションにも相当力を入れており、当社としてもチャンレンジしています。
■年内リリースするタイトルを紹介
―――:ところで、6タイトル出すとのことでしたが、各タイトルを紹介していただけないですか?
発表会では予想以上に発表しませんでしたね(笑) 可能な範囲で話しますと、当社では今回、「磨く」と「創る」の2つのコンセプトに基づいて開発しています。
まず、「磨く」はgloopsの得意領域の延長線上ともいえるタイトルで、そのひとつが今回リリースする『スカイロック』となります。「トイズドライブ」は現在、ブシロードさんと共同で開発しているタイトルですし、「NEW TYPE REALTIME BATTLE」は『大連携!!オーディンバトル』や『大戦乱!!三国志バトル』のようなゲームをイメージしてもらえると良いかと思います。gloopsの得意領域をいかにネイティブアプリとして磨いて出すか、という点に注目してほしいですね。
「創る」に関しては、ブラウザゲームでは実現できないゲームタイトルの開発を目指しています。いずれもこれまでのテイストとは大きく異なっています。『Full 3D ACTION BATTLE』は、3Dの2頭身くらいのキャラクターがワラワラとやってくる敵を簡単操作で一気にやっつける爽快アクションゲームです。
『Active Summon Battle』は、パズル×何かというモデルですが、パズルを駆使して敵と戦っていく内容です。まだマーケットには出ていない組み合わせで、ゲーム内容や世界観がややコアユーザー向けになるかもしれません。
『Project SHIFT』は10月22日にティザーサイトをオープンしました。従来のゲームの見方を“シフト”させ、ユーザーに新たな体験を提供するタイトルを目指しています。物事の視点を変えるがキーコンセプトですが、こちらに関しては、今後情報を公開していきますのでご期待ください。
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■ブラウザゲームはマルチプラットフォーム展開
―――:ネイティブへのシフトにあたって、ネクソングループ内での位置づけやグループとの協業にはなにか変化はあるのでしょうか。
ネクソンもモバイルゲームを独自で開発するなど、お互いが独自に事業を展開してきましたが、世界共通のプラットフォームがあって世界展開が容易にできる以上、今後は協力関係を強化していく方向になるでしょう。ネクソンは、世界的に事業展開を行っていますので協業しない手はありません。開発費やプロモーション費用の高騰もありますし、ネクソンと共同でゲーム開発を行っていますし、国内でヒットしたゲームの世界展開なども行うことになるでしょう。
―――:ところでブラウザゲームについてはどういった取り組みをされるのでしょうか。
マルチプラットフォーム展開を行い、これまでアプローチできなかったユーザー様にゲームを提供していきたいと考えています。先日、『スカイロック』を「GREE」の事前登録を開始しましたし、「Ameba」でも『ToLOVEる–とらぶる- ダークネス -Idol Revolution-』を配信します。ただ、ディー・エヌ・エーさんとの関係は引き続き良好ですので、「Mobage」中心であることには変わりません。新作に関しては、会社としてはあくまでネイティブアプリがメインになりますが、ブラウザゲームの新作も開発しています。
■ネイティブゲーム市場はますます体力勝負に
―――:市場環境に関してどうみていますか?
開発費やマーケティングコストが高騰するなど体力勝負になりつつあり、今後、ますます厳しい市場になっていくと見ています。これは他のディベロッパーも感じているところかと思います。長く遊んでもらえるゲームと、すぐに終了していまうタイトルの二極化がますます進んでいくでしょう。
非常に厳しい市場ですので、本数を絞って自信のあるタイトルだけを出していかないことには勝負するのは難しいのではないでしょうか。しっかり作って出すということは変わりませんので、熱量を込めてゲームを開発して出すという原点に立ち返るところも必要でしょう。
―――:そういう中で、関心を持っている分野はありますか? ちょっと気が早いですが、来年以降、年間何本くらい出したいという考えはあるんでしょうか?
まず、関心を持っているゲームですが、本当にざっくりとした言い方になりますが、社名にもあるように、ゲームを通じてコミュニケーションが楽しめるようなサービスに関心があります。例えば、ネイティブアプリでは、ユーザー同士がリアルタイムで一緒に楽しむゲームがトレンドとなりつつありますが、これもひとつとなりますね。
開発本数に関しては、何本出したいということは申し上げづらいです。今後、1本1本しっかりと作って出すという流れがより強まるからです。そうなると、例えば、ゲームの内容を途中で変更したり、作りこみに時間がかかったりして、開発期間が予定よりも伸びる、ということが頻発するでしょう。開発時期を守ったためにつまらないゲームができてしまった、では意味がありません。とりあえず出して改善していくというやり方が通用するほど甘い環境ではありません。これは当社だけでなく、他社さんも同じ状況かと思います。
―――:ネイティブへのシフトにあたって社員の意識付けに関して何か気をつけたことはありますか?
ネイティブアプリだから特に何かをしたことはないんですが、社員には常日頃から変化に飛び込んで楽しんでほしいと伝えています。gloopsもかつてモバイルのブラウザゲームの市場が立ち上がるなか、変化に飛び込んでいったわけですが、その過程でトライ&エラーや爆速PDCAなど多くのことを学んできました。
より多くのユーザー様にゲームを届けることが会社としてのミッションですから、それが最適ということであれば、ネイティブアプリに参入するのは必然です。新しい分野に飛び込んで、成功や失敗を含めて様々な経験を積んでほしいですね。
―――:会社としての目標を教えていただけますか?
当たり前ですが、なるべく多くのタイトルをランキング上位に入れたいですね。
当社は「みんなの手に新しい遊びを」をコーポレートスローガンに掲げていますように、新しい遊びを生み出していくことをミッションとしています。世の中にインパクトを与えられるようなプロダクトを生み出し、gloopsのロゴにあるような、より多くの笑顔を生み出していきたいですね。それはもちろん日本だけでなく、世界中にユーザー様に届けられたらと考えています。
―――:ありがとうございました。
©矢吹健太朗・長谷見沙貴/集英社・とらぶるダークネス制作委員会 © gloops, Inc.
(c)Exys (c) gloops, Inc.
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gloops、ネイティブゲーム市場に本格参入…『スカイロック』など年内に6タイトルをリリースする計画
■ネイティブアプリへの取組は2年前から 予想以上に時間がかかった
―――:先般、ネイティブアプリを6タイトルをリリースすることを明らかにしました。いままでブラウザゲームをやってきて、ネイティブアプリを転換した経緯を教えて下さい。
市場の変化の流れでは必然かと思います。他社に比べて非常に後れを取ったと思っています。2年近く開発に取り組んでいましたが、カジュアルゲームを作ったり、スクラップアンドビルドを繰り返したりするなど、試行錯誤に時間を費やしたこともあり、予想以上にネイティブへのシフトに時間がかかってしまったというのが本音です。
また、ブラウザゲームが主流の頃は、当社は、マーケットの立ち上がりの頃から参入していたこともあり、ゲームを出してスピード感を持って改善していくやり方が効果的でした。しかし、ネイティブゲームではリリース時点から非常に作りこんだ状態でないと勝負できません。
それでは作りこんでから出せばと思うかもしれませんが、開発の体制や開発に必要とされる技術要素、プロセスが全く異なりますし、開発チームの人数、開発期間、予算なども当然、大きくなります。当社も御多分にもれず、プロジェクトマネジメントには苦労しました(笑)
―――:開発スタッフの構成は変わりましたか?
現在、ブラウザとネイティブでは5:5ですね。2年ほど前から徐々に増やしはじめ、本格的に人員を増やしたのは、この1年ほどになるでしょうか。過去を振り返ると、ブラウザゲームの規模が大きかった分、スピーディに動きづらかったという反省があります。
―――:開発手法はどう変わったのでしょうか?
開発プロセスに関しては、例えば、プロトタイピングベースから開発するようになっています。ブラウザゲームだとできることは限られていましたが、ネイティブアプリではとりあえず動いているモノがないと、UXが見えてこない部分がどうしてもあります。
―――:ネイティブアプリ本格参戦の第1弾として『スカイロック』を選択した理由を教えて下さい。
最も自信を持っているタイトルが『スカイロック』であったということが一番の理由です。これを皮切りにネイティブアプリ事業の垂直立ち上げを行い、後続のタイトルにいい影響を与えたいと考えています。先日の大々的な発表会はもちろん、テレビCMを行うなどプロモーションにも相当力を入れており、当社としてもチャンレンジしています。
■年内リリースするタイトルを紹介
―――:ところで、6タイトル出すとのことでしたが、各タイトルを紹介していただけないですか?
発表会では予想以上に発表しませんでしたね(笑) 可能な範囲で話しますと、当社では今回、「磨く」と「創る」の2つのコンセプトに基づいて開発しています。
まず、「磨く」はgloopsの得意領域の延長線上ともいえるタイトルで、そのひとつが今回リリースする『スカイロック』となります。「トイズドライブ」は現在、ブシロードさんと共同で開発しているタイトルですし、「NEW TYPE REALTIME BATTLE」は『大連携!!オーディンバトル』や『大戦乱!!三国志バトル』のようなゲームをイメージしてもらえると良いかと思います。gloopsの得意領域をいかにネイティブアプリとして磨いて出すか、という点に注目してほしいですね。
「創る」に関しては、ブラウザゲームでは実現できないゲームタイトルの開発を目指しています。いずれもこれまでのテイストとは大きく異なっています。『Full 3D ACTION BATTLE』は、3Dの2頭身くらいのキャラクターがワラワラとやってくる敵を簡単操作で一気にやっつける爽快アクションゲームです。
『Active Summon Battle』は、パズル×何かというモデルですが、パズルを駆使して敵と戦っていく内容です。まだマーケットには出ていない組み合わせで、ゲーム内容や世界観がややコアユーザー向けになるかもしれません。
『Project SHIFT』は10月22日にティザーサイトをオープンしました。従来のゲームの見方を“シフト”させ、ユーザーに新たな体験を提供するタイトルを目指しています。物事の視点を変えるがキーコンセプトですが、こちらに関しては、今後情報を公開していきますのでご期待ください。
【関連記事】
gloops、謎の新作ゲーム『Project:Shift』の特設サイトを開設。『大戦乱!!三国志バトル』兼同作ディレクターのインタビュー動画も掲載
■ブラウザゲームはマルチプラットフォーム展開
―――:ネイティブへのシフトにあたって、ネクソングループ内での位置づけやグループとの協業にはなにか変化はあるのでしょうか。
ネクソンもモバイルゲームを独自で開発するなど、お互いが独自に事業を展開してきましたが、世界共通のプラットフォームがあって世界展開が容易にできる以上、今後は協力関係を強化していく方向になるでしょう。ネクソンは、世界的に事業展開を行っていますので協業しない手はありません。開発費やプロモーション費用の高騰もありますし、ネクソンと共同でゲーム開発を行っていますし、国内でヒットしたゲームの世界展開なども行うことになるでしょう。
―――:ところでブラウザゲームについてはどういった取り組みをされるのでしょうか。
マルチプラットフォーム展開を行い、これまでアプローチできなかったユーザー様にゲームを提供していきたいと考えています。先日、『スカイロック』を「GREE」の事前登録を開始しましたし、「Ameba」でも『ToLOVEる–とらぶる- ダークネス -Idol Revolution-』を配信します。ただ、ディー・エヌ・エーさんとの関係は引き続き良好ですので、「Mobage」中心であることには変わりません。新作に関しては、会社としてはあくまでネイティブアプリがメインになりますが、ブラウザゲームの新作も開発しています。
■ネイティブゲーム市場はますます体力勝負に
―――:市場環境に関してどうみていますか?
開発費やマーケティングコストが高騰するなど体力勝負になりつつあり、今後、ますます厳しい市場になっていくと見ています。これは他のディベロッパーも感じているところかと思います。長く遊んでもらえるゲームと、すぐに終了していまうタイトルの二極化がますます進んでいくでしょう。
非常に厳しい市場ですので、本数を絞って自信のあるタイトルだけを出していかないことには勝負するのは難しいのではないでしょうか。しっかり作って出すということは変わりませんので、熱量を込めてゲームを開発して出すという原点に立ち返るところも必要でしょう。
―――:そういう中で、関心を持っている分野はありますか? ちょっと気が早いですが、来年以降、年間何本くらい出したいという考えはあるんでしょうか?
まず、関心を持っているゲームですが、本当にざっくりとした言い方になりますが、社名にもあるように、ゲームを通じてコミュニケーションが楽しめるようなサービスに関心があります。例えば、ネイティブアプリでは、ユーザー同士がリアルタイムで一緒に楽しむゲームがトレンドとなりつつありますが、これもひとつとなりますね。
開発本数に関しては、何本出したいということは申し上げづらいです。今後、1本1本しっかりと作って出すという流れがより強まるからです。そうなると、例えば、ゲームの内容を途中で変更したり、作りこみに時間がかかったりして、開発期間が予定よりも伸びる、ということが頻発するでしょう。開発時期を守ったためにつまらないゲームができてしまった、では意味がありません。とりあえず出して改善していくというやり方が通用するほど甘い環境ではありません。これは当社だけでなく、他社さんも同じ状況かと思います。
―――:ネイティブへのシフトにあたって社員の意識付けに関して何か気をつけたことはありますか?
ネイティブアプリだから特に何かをしたことはないんですが、社員には常日頃から変化に飛び込んで楽しんでほしいと伝えています。gloopsもかつてモバイルのブラウザゲームの市場が立ち上がるなか、変化に飛び込んでいったわけですが、その過程でトライ&エラーや爆速PDCAなど多くのことを学んできました。
より多くのユーザー様にゲームを届けることが会社としてのミッションですから、それが最適ということであれば、ネイティブアプリに参入するのは必然です。新しい分野に飛び込んで、成功や失敗を含めて様々な経験を積んでほしいですね。
―――:会社としての目標を教えていただけますか?
当たり前ですが、なるべく多くのタイトルをランキング上位に入れたいですね。
当社は「みんなの手に新しい遊びを」をコーポレートスローガンに掲げていますように、新しい遊びを生み出していくことをミッションとしています。世の中にインパクトを与えられるようなプロダクトを生み出し、gloopsのロゴにあるような、より多くの笑顔を生み出していきたいですね。それはもちろん日本だけでなく、世界中にユーザー様に届けられたらと考えています。
―――:ありがとうございました。
(編集部 木村英彦)
©矢吹健太朗・長谷見沙貴/集英社・とらぶるダークネス制作委員会 © gloops, Inc.
(c)Exys (c) gloops, Inc.
会社情報
- 会社名
- 株式会社gloops
- 設立
- 2005年8月
- 代表者
- 李 仁
- 決算期
- 12月
- 上場区分
- 非上場