【インタビュー】DMMのデザイン制作の魅力は複数デバイス対応やR18など他社にできないゲーム開発に取り組めること…月平均残業20時間・挑戦を支援する社風も特長

DMM.comラボのゲーム事業開発本部の坂本学本部長にDMMとしてのゲーム事業の展開についてインタビューを行ったが、今回は、デザイン制作にフォーカスを当てたい。PCブラウザゲームからモバイルのブラウザゲーム、ネイティブアプリまで幅広く手がけるDMMならではの特長はどういった点にあり、そして、何が魅力なのか。今回、ゲーム事業開発本部でゲームデザイン部マネージャーである畠山諭氏にインタビューを行い、DMMにおけるデザイン制作について聞いた。


―――:まず、担当されているお仕事をご紹介いただけますか?

現在、デザイン部でマネージャーを担当しています。当社のゲーム事業部では、内製でゲームを作っている部署があり、デザイン部は、ソーシャルゲームのグラフィックやUI、イラスト、演出の制作を担当しています。前職は、ソーシャルゲームの会社では、何本かソーシャルゲームの開発に携わった後、マネジメント業務にシフトしました。ソーシャルゲーム業界に入る前は、家電のUIやユーザービリティ系の調査会社にいました。

―――:以前、坂本様にお話をお聞きした際、DMMのゲーム事業の部署は設立して間もないこともあり、ルールに関しては整備途上とのことでした。デザイン部門はいかがでしょうか?

同じような状況です。オンラインゲーム事業部が3年前にできたのですが、最初は外注を使っていました。しっかりした部署として機能したのはここ最近のことです。もととも在籍していたWEBデザイナーが集まってゲームを何本か出し、調子が良くなってきて、徐々に外部から人を集めて部署化し、イラストもデザインも内製で作るようになりました。大手ソーシャルゲーム会社やコンシューマーゲームの会社で、看板タイトルを担っていたイラストレーターやデザイナーも増えています。

坂本が申し上げたようにプロジェクトごとにルールを作っていますが、プロジェクトごとにルールがあまりに違うと問題ですので、デザイン部としてのガイドラインをつくっています。あとはそれをベースにして、各プロジェクトでやりやすい方法を決めてもらっています。

メンバーのほとんどがここ1年以内に入社し、様々なバックグラウンドを持っています。ルール設定にあたっても、これまでいた会社でのやり方が提案されますね。提案の内容は、例えば、外部のイラスト制作会社への発注の仕方や、管理の仕方、スプレッドシートの使い方などです。各社の良いやり方を吸収してもらい、そこからDMMなりのやり方を模索している状況です。


―――:畠山さんご自身も提案はされたのですか?

はい。私自身も前職で良かったこと、悪かったことなど様々なことを経験しました。そこで良かったことをDMMでもやったほうがいいと思い、実際に提案しています。私の場合、マネージャーですから、組織を動かすような提案が多いです。そういった提案のなかには、すぐに結果が出ないものもあり、短期ではなく、長い目でみてもらっています。こちらの意見を聞いてもらい、試すための時間と場所をいただいています。自分としてもこれまでできなかったことができていると思います。


 
■PCゲームのデザインの楽しさは表現・演出の自由度の高さ

―――:御社で内製で作っているのはPCがメインとのことですが、モバイルゲームとの違いはどういった点にあるのでしょうか?

当社は、スマートフォン向けでも何本か作っていますが、PC向けソーシャルゲームが中心です。R18のゲームも手がけています。PCゲームの特徴は、スマートフォンなどに比べて画面のサイズが大きいことです。画面を広く使って、そのなかで格好のいいデザインをいかに作っていくかが重要です。デザイナーとしてはそこが腕の見せどころであり、面白いところです。スマートフォンだと情報量を抑える必要がありますが、PCだと情報を多めに盛り込んでも、お客様からしっかりと見てもらえます。またPCでは通常、有線の回線を使っていますので、容量をそれほど気にせずにリッチな表現や演出を行うことができます。

―――:最近ですと、スマホとPCを同時にリリースするケースも増えていますよね。

はい。その場合は、同じサーバーを使うものがメインですので、端末ごとに表示する情報が極端に違ったり、どちらかの端末に特化すぎたりしないように気をつけています。UIについては、どちらを使っていてもユーザーが操作に迷わないように気をつけます。

またスマートフォン版は、インフラのことを考えて容量を抑えつつ、その制約の中でいかに綺麗に見せるかが重要です。PC側は容量の制限が少ないので、いかに綺麗にリッチにみせるか。デバイスによって全く違った考え方が要求されますが、その難しい問題をいかにクリアするかも当社で働く面白さといえます。


―――:それ以外にDMMとしてのデザインの面白さは。

幅広いタイトルに携われる点に加えて、R18という、他のメーカーではできないことができることです。R18における表現は、「あのキャラがこうなったらいいな」などと妄想していることを具現化していくところにあると思っています。自分で考えた表現・演出がお客様に喜んでいただけたときが非常に面白いです。他のメーカーではやりすぎるとプラットフォーマーに怒られますが、当社は自主的に定めたガイドラインの範囲内であれば大丈夫です。

ゲームとしてみたとき、R18だから売れるわけでもありません。裸が多ければ売れるほど甘い世界ではないと考えています。ベースとなるゲームが面白くないと、お客様に利用していただけませんし、売上もでません。ゲームを面白く作って、その中のスパイスとして、R18要素があると考えています。ゲームとしての面白さとR18要素というスパイスをいかにマッチングさせて、継続率や課金を伸ばすかを考えるのは楽しいことですね。


―――:ネイティブアプリに開発にも取り組み始めているとのことですが。

デザインに関してはネイティブアプリだからといって、作り方は大きくは変わりません。お客様がいかに使いやすく、ストレスなく操作できるかが基本ですから。ただ、デザインという観点からは、Webベースではゲームジャンルなどによって、デザインの決まりごとがあって、どこのメーカーもある程度似てくるのに対し、ネイティブアプリでは、メーカーなり、ゲームなりの特色が出やすくなります。ですから、デザインの面で、DMMとしての色をいかに出していくかが重要です。

ただ、徐々にネイティブアプリにシフトしていく中で、人員構成にも少しずつ変化が出てきました。ネイティブアプリの開発経験やスキルを持つ人や、映像系に強いスタッフが入っています。スタート時はもともとWEBデザインからの延長だったものが、徐々にゲームにシフトしていくようなチーム構成になりつつありますね。


―――:UIデザインに関しては、ユーザーからは目立たないこと、意識されないことがいいとされますよね。

はい。お客様からすると、気持よく使えて当たり前で、使いづらいという声が上がらなければ成功と考えています。お客様からゲーム内容やイベントに対する意見が多いのであれば、ユーザービリティ的にはうまくっていると思います。逆に、このページに行きづらい、このページが使いづらいといった声があがると失敗です。

デザインに関しては、世界観を重視しすぎると使いづらくなります。デザイナーもイラストレーターもついつい書き込みやゴテゴテさせるのが好きでやってしまいがちですが、そこをいかにギリギリで止めるか、でしょう。逆に、使いやすさに重点に置くと簡素になって味気なくなります。両者のバランスをいかにとるか、さじ加減に対する悩みは変わらないでしょうね。


―――:どうやってバランスの維持に努めていますか?

実際に他のチームの人や、ゲーム開発に関係ない人に触れてもらい、客観的な意見をもらうようにしています。操作している手元や目線を観ると、迷っているかがどうかもわかります。自分だけで作っていると、ついつい思い込みができて、思わぬところで問題が出てきます。ユーザービリティの調査会社にいたとき、ユーザーテストを経験してきましたので、開発者の思っていることと、実際にユーザーがさわって感じることでは違うのはわかっています。

当社では、まだ本格的にユーザービリティテストを導入していませんが、今後は、ユーザービリティの検証やテストのプロセスを取り入れていきたいと考えています。部下には説明して、なるべくやってもらうようにしています。とはいえ、スケジュールの絡みもありますので、まだまだ十分には浸透はしていません。勉強会などで啓蒙していくつもりです。


―――:勉強会もやっているのですか。

デザインの改善の一環として、社内勉強会がありますし、外部のコンサルタントの方にお願いしてユーザービリティやUXに関するワークショップをやったこともあります。ペルソナを使って実際にユーザーがどういった使い方をするかを体験するものです。勉強会で得た知見や知識を使って、デザインに関する改善・提案を行っています。もちろん、お客様の声を拾ってデザイナーとディレクターが話し合って改善も行っています。


 
■残業時間は月平均20時間以内

―――:これまでの職場と比べて、DMMならではの特徴はありますか?

残業がすごく少ないことです。この業界では月の残業時間が80時間は少なくないですが、デザイナーでも月平均20時間いかないです。オフィスでは、19時から帰る人が出始めて21時にはほとんどいないという状況です。土日もほとんど出社しません。プライベートをしっかり満喫できます。スキルアップの時間がとれるだけでなく、オフィスが渋谷に近いので情報が集めやすいです。そこは非常に恵まれています。もちろん、リリース前は残業が発生することもありますが、業界の中でも非常に少ないと思います。体力的にもメンタル的にもきつくなく、クリエイティブに集中できます。

―――:20時間は確かに少ないですね。

他社では、リリーススケジュールが決まっていて、それに向かって企画が動き出し、企画が遅れて開発とデザインがえらい目にあって、みたいなことになりがちですし、私もそういう状況を経験しました。当社では、各部署が出された企画のゲームをつくるのに必要な人数と時間を見積もってスケジュールを出しますが、実際にそのスケジュールで出せるのかを都度判断し、難しいなら後ろに下げようという話がしやすいです。自分たちで決めたスケジュール通りにやれば残業が少ないという好例かと思います。もちろん、リリース後の目標達成はしっかりやることが求められますが。

―――:デザイナーは仕事をするのに、どうしても外部の刺激が必要ですよね。

デザイナーやイラストレーターなどは、アウトプットをするのが仕事なので、出すものがなくなると枯れてしまいます。いかにインプットする時間を取れるかが重要です。いろいろな作品に触れたり、友人と遊んだりする時間があるからこそ、仕事でいいモノがつくれると思います。結果を出しつつ、仕事と私生活のバランスが取れるのはいい環境だと思います。

―――:休み中に他の作品に触れるように指導することはあるのでしょうか?

はい。ゲームでもアニメでも全然違うものでも構いませんが、いろいろな作品に触れてアウトプットに結びつけてほしいと話しています。ゲームに関する情報や、演出の仕方に関しては最低限押さえておくべきものがあると思いますので、そこは話をしています。ほとんどの人はゲームが好きなのでいわなくてもやっていてくれますが、ゲームのエフェクトひとつとっても古い表現の出ることがたまにあり、「いまここでこの表現ないよね」といった注意をすることもあります。それは他の作品に触れていないから出てくるものだと思いますから。


 
■デザイン主導で新しいプロダクトを出したい

―――:これから取り組みたいことはありますか?

3DやVRという流れがきて、来年からゴーグル 型端末「オキュラス・リフト」が一般販売されます。当社のコンテンツは、2Dの女の子が多いですが、技術的なキャッチアップは行っていきたいと考えています。やる・やらないは別にしても、新しい技術やデバイスが流行したら、いつでも対応できるようにはしたいですね。デザイン主導で面白いものができたらDMMの看板で出したいとも考えています。

デザイナーがそういう立ち位置になるのは他社では難しいですが、DMMならば可能です。上層部から「面白いね」といってもらえたら、一気に動き出して事業化するケースが少なくありません。デザイナーとしてではなく、クリエイターとして面白いことができる環境を用意して、他に負けないスキルを持ち、常に新しいものを出して、他社やお客様から「DMM、なんかすごいな」と思ってもらえるようにしたいです。


―――:主体的に取り組む人にはほんとうに良い環境というお話を聞いたのですが、デザイナー視点でもそうですか?

はい。やりたいことや面白いことを考えて、プランニングして行動に移せる会社です。仮に失敗してもそこで得られたものは他で生きてきます。とにかく作業者にはなってほしくなくて、自主的に動ける人が求められます。そういう人が動ける環境づくりはやっています。

例えば、「UNITY」など新しい分野に投資して、そこでスキルを磨いてもらって、はじめの1年はR&D要素の強いプロダクトを出して、次の1年でそれを使ってオリジナルタイトルを出す、そして3年目で成果につなげていくなどと長い目で見てくれます。他社だと、すぐに結果が求められますが、そのようなことはありません。多角経営して柱が何本もある状況なので、そういうやり方がやれているとは思います。


―――:よくDMMさんは自分のやりたいことがすごくやらせてもらえる会社と聞きますが本当なんですね。

はい。アイディア掲示板のようなものもあり、社員が「こんなものをやったらどうでしょう」と書き込むと、会長をはじめ役員がコメントしてくれます。「やってみましょう」となれば、本当に事業化に向けて動きます。風通しのいい会社だと思います。

社内では人数がすごい勢いで増えていて、会長もさすがに1人1人の名前は覚えられないと話していますが、社員との関わりを大切にしています。出産などがあればお祝いもしてくれますし、誕生日には花ももらえます。そして新しいことにチャレンジさせてくれるのは親心だと思います。

もちろん、ビジネスですので、数字目標に対してしっかりやっていこうという部分はもちろんありますが、離職率が驚異的に低いのは暖かい社風があるからだと思います。スケジュールに関しても無茶を強いられることもなく、厳しいなら無理する必要はない、無理のない範囲でやりましょうと。そこはDMMの強みです。


―――:これから志望者には求めるものは。

主体的に動ける人を求めています。自分で考えてこちら側が思っている以上のことを返してくれる人の方が一緒に仕事していて楽しいですし、そういう人こそが会社に貢献できると思います。もちろん、デザイン・イラスト分野では、自分の世界にこもりがちな人も多いです。そういう人はスキルがあれば活かしていきます。自分から主体的に新しいことにチャレンジしたい人も尊重しますし、プロフェッショナルな方はプロフェッショナルな人で尊重します。そこは、実際にその人のキャラクターを見つつ、本人の希望を聞いて判断します。ただ、作業者的な人はごめんなさい、という感じですね。

―――:ありがとうございました。
 
(編集部 木村英彦)


 
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DMM採用サイト

合同会社DMM.com
https://dmm-corp.com/

会社情報

会社名
合同会社DMM.com
設立
1999年11月
代表者
最高経営責任者 亀山 敬司
決算期
2月
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株式会社DMM.comラボ

会社情報

会社名
株式会社DMM.comラボ
設立
2000年4月
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DMM GAMES(EXNOA)

会社情報

会社名
DMM GAMES(EXNOA)
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