戦艦ストラテジーゲーム『戦艦帝国』が好調に推移している。App Storeのトップセールスでも昨年秋から年始にかけて上昇傾向にあり、1月にはTOP30入りを果たすなどの人気ぶりを見せている(関連記事)。
本作は、かつて世界大戦で名を馳せたさまざまな戦艦が登場する史実に基づいたリアル海戦シミュレーションゲーム。プレイヤーは、実在する当時の戦艦を集めてはオリジナルの組み合わせを模索し、自軍を勝利へと導いていく。
登場する戦艦は、日本の軽巡洋艦「阿賀野」、ドイツの巡洋戦艦「デアフリンガー」、アメリカの軽航空母艦「イントレピッド」など、その数は約200種類に及ぶ。「デアフリンガー」の名前にピンときた人もいるかと思うが、本作は第2次世界大戦をベースにしつつも、第1次世界大戦で活躍した戦艦も存在する。国籍はもちろん、時代も飛び越えた共闘が実現しているのだ。
ちなみに本作は、Qikuyx社が海外向けに展開しているタイトルだが、日本では現地法人CoolFactoryとして運営されている。今回「Social Game Info」では、CoolFactoryの代表である増保氏にインタビューを行い、『戦艦帝国』や日本法人の立ち上げ経緯とこれまでの運営の振り返りについて話を訊いた。
株式会社CoolFactory
日本法人代表取締役
増保 氏
――:本日はよろしくお願いします。はじめに自己紹介を兼ねて、『戦艦帝国』にいつから携わられていたのか教えていただけますか。
私はCoolFactoryの日本代表取締役を担当していますが、実は元々ゲーム分野にいたわけではありません。『戦艦帝国』をリリースするために、2014年12月に中国の関連会社からお話をいただいて、その立ち上げから携わっています。
――:ということは、開発から現在の運営やマーケティングも見られているのでしょうか。
『戦艦帝国』に関わることは全て携わっていますね。
――:全て、ですか。それは結構大変ですね。
そうですね。手探りでチャレンジしているところもあるので(笑)。
――:では改めて『戦艦帝国』の立ち上げの経緯、日本以外での展開などもお聞かせいただけますか。
元々立ち上がる前に、我々の中でミリタリー系のゲームを出したいという考えがありました。開発側でもそうした声や動きがあり、市場でもニーズがあるのかなと感じたので、タイミングとしてはやってみても良いのでは、というのが経緯でしたね。
――:確かに、スマートフォンゲームでミリタリー系というのは当時まだ少なかったですね。コンソール系ですと人気なジャンルだと思いますが。
そうなんですよ。モバイルですと、戦国時代やファンタジー物が多くて、近代的な海戦もの、特にリアルな絵のテイストでのゲームがありませんでした。みんなで話し合った結果、入り込む余地があるのかなとなりました。
――:やはり、チームの中でミリタリーオタクの方がいらっしゃったのですか。
いや、ミリタリー好きはいますけど、正直な所すごく詳しい人はいなかったですね(笑)。この分野は世の中に詳しい人がたくさんいらっしゃるので、とてもそこまでは…もう色々と手探りでスタートしました。
――:そうなのですね。結構ゲーム内の図鑑など、力が入っている印象でしたので、そういった方がチームにいるのかと思いました。
なので、資料を集めるのがものすごく大変でしたね。
――:そうでしょうね(笑)。資料によっては解釈が分かれるものや入手が困難な資料データもあるでしょうから。
私も海外の資料などを翻訳したのですが、本当に合っているのかなどの確認が都度必要でかなりの時間を要しました。
――:逆に言うと、それだからこそ、このジャンルが少なかったのかもしれないですね。
考えられますね。「この戦艦に○mmの大砲が何基あって…」とか調べたりなどかなり大変でした。また、リリースした後もそうでした。遊んでいただくユーザーさんが、それこそミリタリーマニアな方が多いので、「ここの数字がおかしい」などのご指摘がリリース当初は多かったですね。
――:詳しい方が多いでしょうからね。その分、こういった作品が少なかった事から、リリースして直後の評判は良かったのでしょうか。
反響は良かったです。先ほどもお話しました通り、手探りでチャレンジした箇所があったのですが、ユーザーさんからもご意見いただけて、一緒に作り上げていけたこともあり、去年の段階で目標の300万DLを超えて、その他のKPIも越えていけました。日本展開でも同様に目標達成ができましたので、一定の評価はいただけたのかなと考えています。
――:それでは日本展開において、日本法人CoolFactory設立の経緯についてお聞かせいただけますか。
現在、中国で扱っているタイトルは『戦艦帝国』とあと一つタイトルがあるのですが、『戦艦帝国』を日本展開していくにあたり設立しました。
今、関連会社としては中国と香港、そして日本のCoolFactoryとあるのですが、パブリッシングしている地域が、中国、日本、台湾、香港、韓国、そして東南アジアとあります。
今後人数や規模が増えていく内に、中国だけで管理できないことはないと思うのですが、手間なことが多いんですよね。ローカライズやカルチャライズとしてもそうですが、法的な部分、例えばブランディングとして商標登録するとか、そういった細かい部分も考えていくと、現地法人があった方が良いと判断しました。
――:CoolFactoryのスタッフは中国からきているのですか。それとも日本で活躍された方達が新たに参加されているのですか。
日本展開ではその市場ならではのノウハウが必要不可欠なので、日本のゲーム会社で活躍していたスタッフもいますし、もちろんその他海外籍のスタッフもいます。
――:今後は香港などにも法人を設立されるのでしょうか。
はい、目標としてはもちろんあります。日本以外のパブリッシングは今中国オフィスが中心ですが、ゆくゆくは各国での展開ではそれぞれ現地法人が行うようにしようと考えています。
――:現地を肌で感じないといけない部分はありますからね。ゲーム内に関して、国ごとに意識していることはあるのでしょうか。
――:それでは同じタイトルでも国ごとで色が違った作品になっているとも言えるのですね。
各国によって特徴がありますので、特徴に合わせてやっていくか、もしくは既存のものと組み合わせてやっていくか、逆に今まで通りにやっていくのか……。
現地にて調べて判断していっていますね。各国の市場にあるタイトルを調査していったり、ゲームジャンルによっても話は変わってくるので、その辺も加味した分析をしながら判断しています。
――:リリース直後の反響だったり、ユーザーさんのお問い合わせで各国ごとでのカスタマイズを進めていくのですね。
そうですね。キャラクターのセリフ一つでもカスタマイズは必要で、僕らとしては正しく翻訳したとしても、ユーザーから見ると違和感があるんですよね。こうした部分は中々気づきづらい。文法的には正しいですから。でも意味が一緒でも語気が違う。そこの雰囲気といったところは、もうユーザーさんの方が敏感なので、ご指摘いただいてから直すと判断したらすぐ直すようにしています。この部分は、現地でないとわからない加減だと感じていますね。
――:イラストなどの見た目は結構変えられたのでしょうか。
見た目は大きく変えていないです。ただ、『戦艦帝国』では世界中の戦艦が登場しています。そんななか日本でリリースする際は、日本の戦艦をクローズアップしないといけない、とは考えています。
ただ、先ほどもお話しした通り、飛び抜けたマニアや軍事関係の評論家というような存在は我々の中にいなかったので、どの戦艦をクローズアップするのかはかなり苦労しました。「どれをクローズアップすればいいんだ…」となりひとつずつ調べていきましたね(笑)。
例えば、韓国でリリースする分はそこまで苦労はないんですよ。なぜなら、韓国で有名な戦艦というのは数が少ないので……。
――:日本は大変だったんですね。島国なので自ずと船は多くなるでしょうから。
特に日本は難しかったです。例えば、旗の模様や色も当時のものを使っていいのかどうか、といった細かい部分もありますからね。
――:センシティブな箇所もありますからね。都度慎重に確認しないといけない事項が多いと思います。
そうですね。リリース前時点からローカライズやカルチャライズ以外の分野での緊張感はありました(笑)。あとは、戦艦がデフォルメされたゲーム作品は多く出ていましたので、その分野には寄らないようには意識していました。
――:リリース後でも意識しているのは、そういったユーザーさんとの関わりでしょうか。
ユーザーさんとのコミュニケーションを出来る限り密に取ることは意識しています。先ほどもありました通り、カスタマーサポートからのご意見はかなり大事にしていますので、今後もサポート部門を外注に出したりなどはしないと思います。
▲ユーザーからのお問い合わせに対しても優先して対応する方針という。
▲SNS上でのユーザーとの交流
あとは、出来るだけユーザーさんに還元をしたいと考えています。当たり前の話になりますが、僕らのゲームって、ユーザーさんがお金を使っていただいて成り立っているんですよね。なので、年末でもイベントとして行ったような、ご利用いただいているユーザーさんには何らかの形でお返しをしたいと。より多くご利用いただいた分、何かをお返しすべき、という。
例えば、イベントでも賞金があるイラストコンテストを実施しました。このアイデアは中国にいたスタッフからのアイデアです。応募してもらって、賞金をお渡ししようという。私は日本のゲームしか知らなかったので、イラストコンテストで賞金を、という発想は中々出てこなかったですね。
――:入賞するとゲーム内に登場する、といったイラストコンテストは結構ありますが、賞金はあまり国内では見ないですね。そういった、コミュニケーションを大事にしようと考えられた理由とかあるのでしょうか。
そこはやっぱり、『戦艦帝国』が僕らの日本市場で展開するにあたって最初のタイトルなので、手探りでスタートしたという背景からですね。運営を開始するまで、ユーザーさんから運営に対して、お叱りの言葉も含めて、アドバイスを送っていただけるとは思っていなかったんですよ。
ただ、先ほどの翻訳のような、自分たちでは案外気づけない事が多いんですね。ユーザーさんは軍事関係に興味があって遊んでいただく方が多いので、細かいアドバイスも多くいただけました。そして結局、そういった細かいアドバイスを無視すると、ボロが出ちゃって、遊ぶ側も冷めちゃうじゃないですか。細かいところが違っていたりすると。
――:ユーザーさんとしては、興味があって始めたのに「これじゃない」みたいな。
そうなんですよ。そういった箇所はできるだけ早く直していきたいと思いましたね。なので、ユーザーさんと共に『戦艦帝国』を作れていけたという気持ちから、今後もコミュニケーションを大事にしていきたいと思います。
――:過去にメディアミックスやグッズも展開されていますが、リアルイベントなどはいかがお考えでしょうか。
積極的ですね。グッズはいくつか作ってみましたし、今後もプラモデルとかも出していこうとしています。今までのグッズも、ユーザーさんからの反響も良かったので、今後もしていこうと思います。
――:グッズに関してもユーザーさんの声を汲み取っていこうと。
そうですね。もちろん、時間がかかるものもあると思いますが、できる限り実現していきたいです。
――:年末年始におこなっていた手書きの年賀状も珍しかったですね。
あれはやり過ぎましたね(笑)。じつは当初、手書きは否定的な意見が社内でもあったんです。大変だからと。それでもやってみたのですが、案の定、大変でした。ただ、今後もリアルイベントなどもやっていきたいと考えています。昨今、エンゲージメントという考えで展開されているゲーム会社さんも多いですし、僕らも積極的にしていきたいです。
――:御社から見た海外のユーザーさんと日本のユーザーさんの違いはありますか。
課金率が違うというはもちろんありますが、選ばれるゲーム自体も違いますね。海外のゲームユーザーは知らないテーマなどの新しいゲームに飛びつくというのはあまりないです。例えば、日本発の漫画作品のゲームタイトルなどは結構遊んでみるユーザーは多いですが、知らない作品で、広告やイラストを見て面白そうだから始めるというのはあまり見られないと感じていますね。
――:逆に日本のユーザーさんは積極的だと。
そうですね。「知らなくても、ランキング上位にあるからやってみる」というのは、海外だとあまり見ないなと思います。
――:確かに日本ではランキング上位に上がったからやってみるという文化が強いかもしれませんね。なので、その辺りのマーケティングも盛んだったと思います。『戦艦帝国』からみた、遊び方に関してはいかがですか。
遊び方はできる限りシンプルがいいと思いますね。もちろん新しいステージを追加したりとかはするべきですけど、基本的な遊び方はできるだけシンプルにした方がいいなというのが今感じることです。
その一例になるかは定かでないですが、問い合わせやSNS投稿を見ていますとやはり「集める」のが好きだったりしますよね。なので、そのコレクション要素が魅力的になるようにはしています。
――:今後について、どのようにしていきたいとお考えですか。
『戦艦帝国』を一つのブランドとして楽しまれるようにしたいですね。商標登録もしているのですが、国内で『戦艦帝国』という言葉を聞いて、やったことがなくてもなんとなくイメージが湧く、というような作品にしたいです。
――:広く親しまれるようにしたいのですね。他社さんですと、コラボなども盛んですが、そういった企画もお考えありますか。
今現在で具体的な話はありませんが、チャンスがあれば、積極的に取り組んでいきたいですね。あとは、ユーザーさんとの話になりますけど、より細かく、密にしていきたいです。なので、先ほどのグッズ展開などもユーザーさんのアイデアがあれば、積極的にご意見くださればと思います。
――:CoolFactory会社全体としてはいかがでしょうか。
まずはこの『戦艦帝国』しかタイトルがないので、この作品で目の前にあることを一生懸命やっていくだけですね。そして、ある程度認められる作品になりましたら、新しいタイトルにもチャレンジしていきたいと考えています。より『戦艦帝国』を好きになってもらえればと思いますので、今後もよろしくお願いします。
――:本日はありがとうございました。
■戦艦帝国
本作は、かつて世界大戦で名を馳せたさまざまな戦艦が登場する史実に基づいたリアル海戦シミュレーションゲーム。プレイヤーは、実在する当時の戦艦を集めてはオリジナルの組み合わせを模索し、自軍を勝利へと導いていく。
登場する戦艦は、日本の軽巡洋艦「阿賀野」、ドイツの巡洋戦艦「デアフリンガー」、アメリカの軽航空母艦「イントレピッド」など、その数は約200種類に及ぶ。「デアフリンガー」の名前にピンときた人もいるかと思うが、本作は第2次世界大戦をベースにしつつも、第1次世界大戦で活躍した戦艦も存在する。国籍はもちろん、時代も飛び越えた共闘が実現しているのだ。
ちなみに本作は、Qikuyx社が海外向けに展開しているタイトルだが、日本では現地法人CoolFactoryとして運営されている。今回「Social Game Info」では、CoolFactoryの代表である増保氏にインタビューを行い、『戦艦帝国』や日本法人の立ち上げ経緯とこれまでの運営の振り返りについて話を訊いた。
■手探りのスタート…『戦艦帝国』の開発経緯
株式会社CoolFactory
日本法人代表取締役
増保 氏
――:本日はよろしくお願いします。はじめに自己紹介を兼ねて、『戦艦帝国』にいつから携わられていたのか教えていただけますか。
私はCoolFactoryの日本代表取締役を担当していますが、実は元々ゲーム分野にいたわけではありません。『戦艦帝国』をリリースするために、2014年12月に中国の関連会社からお話をいただいて、その立ち上げから携わっています。
――:ということは、開発から現在の運営やマーケティングも見られているのでしょうか。
『戦艦帝国』に関わることは全て携わっていますね。
――:全て、ですか。それは結構大変ですね。
そうですね。手探りでチャレンジしているところもあるので(笑)。
――:では改めて『戦艦帝国』の立ち上げの経緯、日本以外での展開などもお聞かせいただけますか。
元々立ち上がる前に、我々の中でミリタリー系のゲームを出したいという考えがありました。開発側でもそうした声や動きがあり、市場でもニーズがあるのかなと感じたので、タイミングとしてはやってみても良いのでは、というのが経緯でしたね。
――:確かに、スマートフォンゲームでミリタリー系というのは当時まだ少なかったですね。コンソール系ですと人気なジャンルだと思いますが。
そうなんですよ。モバイルですと、戦国時代やファンタジー物が多くて、近代的な海戦もの、特にリアルな絵のテイストでのゲームがありませんでした。みんなで話し合った結果、入り込む余地があるのかなとなりました。
――:やはり、チームの中でミリタリーオタクの方がいらっしゃったのですか。
いや、ミリタリー好きはいますけど、正直な所すごく詳しい人はいなかったですね(笑)。この分野は世の中に詳しい人がたくさんいらっしゃるので、とてもそこまでは…もう色々と手探りでスタートしました。
――:そうなのですね。結構ゲーム内の図鑑など、力が入っている印象でしたので、そういった方がチームにいるのかと思いました。
なので、資料を集めるのがものすごく大変でしたね。
――:そうでしょうね(笑)。資料によっては解釈が分かれるものや入手が困難な資料データもあるでしょうから。
私も海外の資料などを翻訳したのですが、本当に合っているのかなどの確認が都度必要でかなりの時間を要しました。
――:逆に言うと、それだからこそ、このジャンルが少なかったのかもしれないですね。
考えられますね。「この戦艦に○mmの大砲が何基あって…」とか調べたりなどかなり大変でした。また、リリースした後もそうでした。遊んでいただくユーザーさんが、それこそミリタリーマニアな方が多いので、「ここの数字がおかしい」などのご指摘がリリース当初は多かったですね。
▲戦艦のスペック情報のほかに解説もみることができる
――:詳しい方が多いでしょうからね。その分、こういった作品が少なかった事から、リリースして直後の評判は良かったのでしょうか。
反響は良かったです。先ほどもお話しました通り、手探りでチャレンジした箇所があったのですが、ユーザーさんからもご意見いただけて、一緒に作り上げていけたこともあり、去年の段階で目標の300万DLを超えて、その他のKPIも越えていけました。日本展開でも同様に目標達成ができましたので、一定の評価はいただけたのかなと考えています。
■現地でないとわからない加減…日本法人設立の経緯
――:それでは日本展開において、日本法人CoolFactory設立の経緯についてお聞かせいただけますか。
現在、中国で扱っているタイトルは『戦艦帝国』とあと一つタイトルがあるのですが、『戦艦帝国』を日本展開していくにあたり設立しました。
今、関連会社としては中国と香港、そして日本のCoolFactoryとあるのですが、パブリッシングしている地域が、中国、日本、台湾、香港、韓国、そして東南アジアとあります。
今後人数や規模が増えていく内に、中国だけで管理できないことはないと思うのですが、手間なことが多いんですよね。ローカライズやカルチャライズとしてもそうですが、法的な部分、例えばブランディングとして商標登録するとか、そういった細かい部分も考えていくと、現地法人があった方が良いと判断しました。
――:CoolFactoryのスタッフは中国からきているのですか。それとも日本で活躍された方達が新たに参加されているのですか。
日本展開ではその市場ならではのノウハウが必要不可欠なので、日本のゲーム会社で活躍していたスタッフもいますし、もちろんその他海外籍のスタッフもいます。
――:今後は香港などにも法人を設立されるのでしょうか。
はい、目標としてはもちろんあります。日本以外のパブリッシングは今中国オフィスが中心ですが、ゆくゆくは各国での展開ではそれぞれ現地法人が行うようにしようと考えています。
――:現地を肌で感じないといけない部分はありますからね。ゲーム内に関して、国ごとに意識していることはあるのでしょうか。
システム一つでも日本と海外では好まれるものは違いますよね。例えば、「VIPシステム」というのは日本のゲームでは少ないじゃないですか。
マネタイズで言っても、海外と日本で好まれるのは違うので、『戦艦帝国』では両方合わせたコンセプトになっています。そうした違いを、カスタマーサポートにいただいたご意見を吸い上げて、それぞれ仕様を反映していっていますね。
マネタイズで言っても、海外と日本で好まれるのは違うので、『戦艦帝国』では両方合わせたコンセプトになっています。そうした違いを、カスタマーサポートにいただいたご意見を吸い上げて、それぞれ仕様を反映していっていますね。
――:それでは同じタイトルでも国ごとで色が違った作品になっているとも言えるのですね。
各国によって特徴がありますので、特徴に合わせてやっていくか、もしくは既存のものと組み合わせてやっていくか、逆に今まで通りにやっていくのか……。
現地にて調べて判断していっていますね。各国の市場にあるタイトルを調査していったり、ゲームジャンルによっても話は変わってくるので、その辺も加味した分析をしながら判断しています。
――:リリース直後の反響だったり、ユーザーさんのお問い合わせで各国ごとでのカスタマイズを進めていくのですね。
そうですね。キャラクターのセリフ一つでもカスタマイズは必要で、僕らとしては正しく翻訳したとしても、ユーザーから見ると違和感があるんですよね。こうした部分は中々気づきづらい。文法的には正しいですから。でも意味が一緒でも語気が違う。そこの雰囲気といったところは、もうユーザーさんの方が敏感なので、ご指摘いただいてから直すと判断したらすぐ直すようにしています。この部分は、現地でないとわからない加減だと感じていますね。
――:イラストなどの見た目は結構変えられたのでしょうか。
見た目は大きく変えていないです。ただ、『戦艦帝国』では世界中の戦艦が登場しています。そんななか日本でリリースする際は、日本の戦艦をクローズアップしないといけない、とは考えています。
ただ、先ほどもお話しした通り、飛び抜けたマニアや軍事関係の評論家というような存在は我々の中にいなかったので、どの戦艦をクローズアップするのかはかなり苦労しました。「どれをクローズアップすればいいんだ…」となりひとつずつ調べていきましたね(笑)。
例えば、韓国でリリースする分はそこまで苦労はないんですよ。なぜなら、韓国で有名な戦艦というのは数が少ないので……。
――:日本は大変だったんですね。島国なので自ずと船は多くなるでしょうから。
特に日本は難しかったです。例えば、旗の模様や色も当時のものを使っていいのかどうか、といった細かい部分もありますからね。
――:センシティブな箇所もありますからね。都度慎重に確認しないといけない事項が多いと思います。
そうですね。リリース前時点からローカライズやカルチャライズ以外の分野での緊張感はありました(笑)。あとは、戦艦がデフォルメされたゲーム作品は多く出ていましたので、その分野には寄らないようには意識していました。
■細かいアドバイスも大事にする…ユーザーとの関わり
――:リリース後でも意識しているのは、そういったユーザーさんとの関わりでしょうか。
ユーザーさんとのコミュニケーションを出来る限り密に取ることは意識しています。先ほどもありました通り、カスタマーサポートからのご意見はかなり大事にしていますので、今後もサポート部門を外注に出したりなどはしないと思います。
▲ユーザーからのお問い合わせに対しても優先して対応する方針という。
▲SNS上でのユーザーとの交流
例えば、イベントでも賞金があるイラストコンテストを実施しました。このアイデアは中国にいたスタッフからのアイデアです。応募してもらって、賞金をお渡ししようという。私は日本のゲームしか知らなかったので、イラストコンテストで賞金を、という発想は中々出てこなかったですね。
――:入賞するとゲーム内に登場する、といったイラストコンテストは結構ありますが、賞金はあまり国内では見ないですね。そういった、コミュニケーションを大事にしようと考えられた理由とかあるのでしょうか。
そこはやっぱり、『戦艦帝国』が僕らの日本市場で展開するにあたって最初のタイトルなので、手探りでスタートしたという背景からですね。運営を開始するまで、ユーザーさんから運営に対して、お叱りの言葉も含めて、アドバイスを送っていただけるとは思っていなかったんですよ。
ただ、先ほどの翻訳のような、自分たちでは案外気づけない事が多いんですね。ユーザーさんは軍事関係に興味があって遊んでいただく方が多いので、細かいアドバイスも多くいただけました。そして結局、そういった細かいアドバイスを無視すると、ボロが出ちゃって、遊ぶ側も冷めちゃうじゃないですか。細かいところが違っていたりすると。
――:ユーザーさんとしては、興味があって始めたのに「これじゃない」みたいな。
そうなんですよ。そういった箇所はできるだけ早く直していきたいと思いましたね。なので、ユーザーさんと共に『戦艦帝国』を作れていけたという気持ちから、今後もコミュニケーションを大事にしていきたいと思います。
――:過去にメディアミックスやグッズも展開されていますが、リアルイベントなどはいかがお考えでしょうか。
積極的ですね。グッズはいくつか作ってみましたし、今後もプラモデルとかも出していこうとしています。今までのグッズも、ユーザーさんからの反響も良かったので、今後もしていこうと思います。
――:グッズに関してもユーザーさんの声を汲み取っていこうと。
そうですね。もちろん、時間がかかるものもあると思いますが、できる限り実現していきたいです。
――:年末年始におこなっていた手書きの年賀状も珍しかったですね。
■『戦艦帝国』でみる国内外のユーザーの違い そして今後の展開
――:御社から見た海外のユーザーさんと日本のユーザーさんの違いはありますか。
課金率が違うというはもちろんありますが、選ばれるゲーム自体も違いますね。海外のゲームユーザーは知らないテーマなどの新しいゲームに飛びつくというのはあまりないです。例えば、日本発の漫画作品のゲームタイトルなどは結構遊んでみるユーザーは多いですが、知らない作品で、広告やイラストを見て面白そうだから始めるというのはあまり見られないと感じていますね。
――:逆に日本のユーザーさんは積極的だと。
そうですね。「知らなくても、ランキング上位にあるからやってみる」というのは、海外だとあまり見ないなと思います。
――:確かに日本ではランキング上位に上がったからやってみるという文化が強いかもしれませんね。なので、その辺りのマーケティングも盛んだったと思います。『戦艦帝国』からみた、遊び方に関してはいかがですか。
遊び方はできる限りシンプルがいいと思いますね。もちろん新しいステージを追加したりとかはするべきですけど、基本的な遊び方はできるだけシンプルにした方がいいなというのが今感じることです。
その一例になるかは定かでないですが、問い合わせやSNS投稿を見ていますとやはり「集める」のが好きだったりしますよね。なので、そのコレクション要素が魅力的になるようにはしています。
――:今後について、どのようにしていきたいとお考えですか。
『戦艦帝国』を一つのブランドとして楽しまれるようにしたいですね。商標登録もしているのですが、国内で『戦艦帝国』という言葉を聞いて、やったことがなくてもなんとなくイメージが湧く、というような作品にしたいです。
――:広く親しまれるようにしたいのですね。他社さんですと、コラボなども盛んですが、そういった企画もお考えありますか。
今現在で具体的な話はありませんが、チャンスがあれば、積極的に取り組んでいきたいですね。あとは、ユーザーさんとの話になりますけど、より細かく、密にしていきたいです。なので、先ほどのグッズ展開などもユーザーさんのアイデアがあれば、積極的にご意見くださればと思います。
――:CoolFactory会社全体としてはいかがでしょうか。
まずはこの『戦艦帝国』しかタイトルがないので、この作品で目の前にあることを一生懸命やっていくだけですね。そして、ある程度認められる作品になりましたら、新しいタイトルにもチャレンジしていきたいと考えています。より『戦艦帝国』を好きになってもらえればと思いますので、今後もよろしくお願いします。
――:本日はありがとうございました。
■戦艦帝国