コロプラ<3668>が、App StoreおよびGoogle Playにおいて、今春リリースを予定しているアクションRPG『ドラゴンプロジェクト』。
本作は、コロプラが独自に開発したインターフェース「ぷにコン」の搭載により、指先ひとつで本格的なアクションが楽しめるハンティングゲーム。プレイヤーは、「ハイラント王国」に所属するモンスターの討伐者「ハウンド」となり、伝説のドラゴンを追い求める旅に出ることとなる。また、作中では世界中のプレイヤーと共に、広大なフィールドに蔓延るモンスターや巨大ボスとの戦いを楽しめるのが大きな魅力となっている。
本稿では、そんな『ドラゴンプロジェクト』のプロデューサーを務める森先一哲氏にインタビューを実施。企画発足の経緯から、本格派アクションを謳ううえでこだわったポイント、気になるゲームサイクルについても伺ってきた。
また、昨日公開した『ドラゴンプロジェクト』プレイインプレッションの記事はこちら。
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■「強くなりたい」を実現するために練られたゲームサイクルとは
株式会社コロプラ 取締役
『ドラゴンプロジェクト』プロデューサー
森先 一哲 氏
――:まず始めに、改めて森先さんの経歴を含め、『ドラゴンプロジェクト』企画発足の経緯についてお教えいただけますでしょうか。
森先一哲氏(以下、森先):ゲーム業界に入って9年ほどは家庭用ゲームを作っておりました。その後、2012年にコロプラに入社し、スマートフォン向けゲームの開発に特化したブランド「Kuma the Bear」でカジュアルゲームの制作に取り組んでいました。そこで、あるときひとつの挑戦として「ネイティブオンラインを作ろう」という声を発端に開発されたのが『クイズRPG 魔法使いと黒猫のウィズ』(以下、『黒猫』)です。さらに1年後、これからはスマートフォンでもより本格的なアクションゲームが遊ばれるであろうとの分析から『白猫プロジェクト』(以下、『白猫』)をリリースしました。我々のやり方として各企画で共通しているのは、そのときお客様が求めているものや、当時のテクノロジーで実現できるラインを少し超え、攻める姿勢で挑戦するということです。そこで今回、『白猫』で開発された「ぷにコン」を使用して、よりゲームプレイヤーとして成熟したユーザーに焦点を当てて、本格的なアクションを目指したのが『ドラゴンプロジェクト』企画の発端ですね。また、今年の3月に行われた発表会では多くの層のユーザーに反響をいただけ、自分の想像を超えてモバイルゲームに求められているレベルや多様化が進んでいると感じました(関連記事)。
――:これまでの作品と違うものを作るためのポイントはどういったとこにあると考えておられますか?
森先:未来のお客様が何を求めているかだと思います。そのときのテクノロジーを考慮して、恐らくこういうものが流行るのではないだろうかという予測。あとは、歴史は繰り返すところがあるので、古いプラットフォームで人気だったものを今のプラットフォームなりに表現したり。「今」で考えないことが重要だと思います。
――:本作で最もこだわって作られたポイントはどこになりますか?
森先:やはりアクションですね。特に、大型モンスターと4人で戦うアクションパートが本作の肝になっていて、これをやりたいがために自分を強化し、またさらに強い敵に挑むというサイクルを生んでいます。このサイクルを生み出すのが、こだわったポイントでもあり、開発において最も苦労したところです。キャラの動きから武器ごとの性能、モンスターの動きまで、見せ方やフレーム単位での調整が非常に難しいところです。この部分を大まかに設定すればカジュアル寄りのゲームに仕上がるのですが、本作では、ユーザーの方々にとことん自分で操作して勝利を得たときの快感を味わってもらうということをコンセプトに制作を進めていました。頑張って勝利できるギリギリのラインに設定するほど達成感を得られるので、この辺りは繰り返し調整しています。
――:全編オンラインということで、街やフィールドにユーザーが詰めかけた際には処理も大変かと思うのですが、その辺りの苦労はございましたか?
森先:通常エリアでは、ユーザーやエネミーのほか、描画的にも多くのものを表示させなければいけないので、膨大な処理量になっています。なので、まず開発時には通信そのものを小さくしてやり取りできるか検討し、同期が必要なものと不必要なものを選り分けて負荷テストを繰り返し、対策を施しました。
――:『ドラゴンプロジェクト』ならではの特徴についてお聞かせください。
森先:戦況を見極めながら戦う必要があるので、アクションの精度が求められる作品になっております。単純なところで言うと、仲間が敵に接近して攻撃しているので、自分は離れたところから回復で支援するなど、リアルタイムに考えて戦えるところがポイントになっていると捉えています。
――:バトルシステムについて、通常エリアと大型モンスターでは戦闘システムが異なりますが、この辺りにはどういった経緯があられたのですか?
森先:実は、最初は通常エリアでのバトルを開発しておらず、大型モンスターとの戦闘のみで進行する仕様だったんです。ただ、それでは常にメインディッシュばかりを出されているようで重く感じたので、緩急をつけるために、気を張らずにフィールドで素材を集めて武具を作れるようにする機能を入れるよう変更しました。ただし、先ほど申し上げた通り、大型モンスターとの戦闘が本作の肝となっていることには変わりがないので、通常エリアでも緊張感が保てるよう、突如大型モンスターが乱入してくるシステムを組み込みました。結果として、カジュアルな通常バトルと本格的なボスバトルを行き来することで楽しみ続けられるような相乗効果が生まれたように感じています。
――:アクション面で、マギでの特殊技が使用できますが、このシステムを実装した狙いをお教えください。
森先:それぞれの武器に敵との相性があるのですが、より大きなダメージを一気に与えたい、仲間を助けたいといった際の必殺技的な位置付けにあるのがマギです。武器は3つまで装備して持ち込めるため、それぞれに好きなマギをセットしていろんなモンスターに対応できるようカスタマイズしていただければと考えております。武器を3つまで装備できるようにした理由としては、やはり武器の相性的にどうしても歯が立たない相手が出てくることがあり得るので、一人数役をこなせるようになっています。あとは、通常バトルと大型モンスター戦での使い分けや、マルチでは仲間を見ながら役割分担を考える楽しみもあるかなと。
――:プレイヤーが倒れたときに、ほかのプレイヤーが傍によると復活してもらうことができるのですが、このシステムを入れた理由を教えていただけますか?
森先:このシステムは、かなり開発初期の頃から考えていて、復活方法がアイテムを使って回復するだけではコミュニケーションが生まれないので、一人で遊んでいる感が拭い切れないんです。例えば、このシステムがあれば一人で倒れてしまったときに、とりあえず「回復して欲しい」という旨のメッセージを送信したくなりますよね。そうすると、それを聞きつけて助けに来てくれた方とのコミュニケーションが発生します。意外だったのが、人を無償で助けられるとなると、かなり動くユーザーが多かったことです。ユーザー間で共に何かに取り組む仕組みをと考えて実装したシステムの一環だったのですが、こういった部分でヒューマニズムを感じられるのはかなり好感触でした。そのほか、コミュニティに関しては「全員で同じ場所にいる」ということを大事に、ワールド全体で話せるチャット機能などを設けております。
――:ストーリーについてはいかがですか?
森先:冒頭で主人公が目にするモンスターや、過去に起きた出来事にまつわる謎が、街のNPCによって徐々に解き明かされていく形になっています。また、本編以外にサブストーリーで本編に関わる話が聞けることもあります。
――:続いて、ゲームシステムについてお伺いします。いわゆるガチャなどはどのような仕組みになっているのでしょうか?
森先:本作では、ガチャを回すことでクエストが手に入るようになっています。
――クエストというと、モンスターと戦えるものですか?
森先:まさにその通りです。ボスモンスターとのバトルをガチャで手に入れる形ですね。ガチャについては、3月の発表の際にも「ゲームサイクルを壊さないような方法を考えています」という話をさせていただきました。本作は、強力な武具の作成が面白い部分になりますので、それをそのままガチャで登場させてしまったら面白さが減ってしまうなと。本作では、ガチャから登場したモンスターを倒して、その素材を得ることで装備が作成できるのですが、欲しいものを手に入れるために努力するという構図がゲームの世界観に合うと思い今の仕様にしました。また、ガチャから登場したモンスターには協力して挑むことができ、ガチャを引いた方はボスが持つキー素材を入手することができ、一緒に戦った仲間にも、低い確率ですがキー素材が手に入るよう設計されております。
――:ゲーム内イベントとしてはどのようなものを考えておられますか?
森先:討伐数を競うランキング系や、期間限定であるモンスターがどこかに降臨していて、その間にそのモンスターを倒すと特別な装備が手に入るようなものは考えています。
――:今後の展望をお教えください。
森先:本格的なアクションを楽しめるうえ、全編オンラインのゲームになっているので、まずはこれがどのようにユーザーに受け入れられるかを見たいなと。そこから、例えば武器の種類を増やしたり新モンスターの詳細を考えたり、どういったものが求められているのかを考えながら、遊びの幅を広げていきたいと考えています。
――:最後に、読者の方々にメッセージをお願いします。
森先:個人的には、かなり本格的なものを作っているので、ニッチな方向に行き過ぎているのではないかという心配があったんです。しかし、おかげさまで3月の発表会以来、本当に反響が大きく、お出ししたビジュアルと情報で幅広いユーザー層に興味を持っていただけているんだと感じるところがありました。そこから、誰でも入り込めるような間口の広さは担保しつつ、最も大事なアクション部分はより精度の高いものにブラッシュアップしてきたという自負があります。我々が『プロジェクト』と銘打つからには、精神的にも力を注ぎたいと考えているタイトルであることは間違いありませんし、実際、今のコロプラができることをすべてつぎ込んだゲームなっております。今、求められている多様性の中のひとつの頂点になれるよう頑張ってまいりますので、よろしくお願いいたします。
(取材・文:編集部 山岡広樹)
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■『ドラゴンプロジェクト』
(C) 2016 COLOPL, Inc.
会社情報
- 会社名
- 株式会社コロプラ
- 設立
- 2008年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3668