【インタビュー】クロシードデジタルが新たに展開する広告配信サービス『RecoCro Ads』…取締役・伊藤真人氏へのインタビューでその実力に迫る
セガゲームスとランサーズが昨年8月に設立した合弁会社 クロシードデジタルが、新たなサービスとして『RecoCro Ads(レコクロ アド)』をスタートした。『RecoCro Ads』はゲームアプリユーザーの行動データを基にゲーム関連Webメディアへ効果的な広告展開を行う広告配信サービスだ。現在のところ20媒体のゲーム関連Webメディアでネットワークが構成され、ゲーム運営会社はこれらの媒体へ向けて広告を効果的に配信できる。
今回は、クロシードデジタルの取締役でもある伊藤真人氏にインタビューを行い、ゲームアプリにおけるマーケティングの変化と新サービス『RecoCro Ads』の持つ実力を伺うとともに、今後の展望について語ってもらった。
【関連記事】アプリゲームのキャラ評価に特化したサービス「Expi」とは…各ユーザーのレベルに合わせた攻略法を誰でも見やすく分かりやすく提供
クロシードデジタル株式会社
取締役
伊藤 真人氏
――本日はよろしくお願いします。伊藤さんにインタビューをするのは昨年の「Expi(エクスピ)」以来、1年ぶりですね。まずは、この1年を振り返ってもらえますか?
よろしくお願いします。この1年で驚いたのは、ゲーム業界の移り変わりの早さですね。昨年の8月、9月の段階では攻略とかキャラクターの情報を伝えることは、潜在的な課題としてあったものの顕在化はしていませんでした。それが年末年始にかけて問い合わせも増えてきて、「ちゃんとユーザーに情報を伝えなくては」という風潮がかなり高まってきました。またユーザーの最大数は決まっているので、どれだけ一人一人を大事にするかも重要になっていると感じます。
これは非ゲーム系アプリを配信する企業様も同じで、「(アプリを)作ったはいいけど、どうしよう」と迷われているケースが見受けられます。アプリの本数もかなり多くなってきて、目立ちづらいのも原因のひとつかと思います。ですから最近は、「アプリをダウンロードしてもらう」から「アプリを使ってもらう」を重視する考え方に変わってきました。
――言われてみれば、5年ほど前に流行ったゲーミフィケーションの流れがまた来ている感覚はあります。
おっしゃるとおりです。ユーザーにサービスの魅力を届ける根本の部分は変わっていませんが、方法に変化が出てきた印象ですね。
――昨年末ごろからレビュー系のプロモーションが厳しくなり、その代わりとしてゲームのIP化を目指す見せ方が強くなってきた傾向も感じます。
ゲーム会社様とミーティングをしていると「ゲームのIP化」というキーワードを度々耳にします。私たちとしてもビジネスとして考えた場合、自然な流れなのかと思います。
――ちなみに、この1年間で『Expi』にはどんな反響がありましたか?
現在のところ約21タイトルに導入していただいて、特に2017年に入ってから急激な成長を遂げています。もともとはゲーム内にExpiへの導線を貼っていただき、弊社はそこでの非ゲーム広告での広告収入を頂くという考えでした。しかし最近はゲーム会社さんから「その機能を使わせてほしい」というお問合わせもいただいています。BtoBのビジネスにも発展してきたのは大きな出来事ですね。
あとはリテンションマーケティングでも効果を発揮してきました。ユーザーがプレイを再開したはいいものの、持っているキャラクターが現在強いのか弱いのか分からないケースがあります。そんなときにキャラクターの評価を、記事を介して伝えることができるのです。
――結果的に、時代にマッチしたサービスへと成長できたと。
最初に思い描いていた使われ方とは少し違いますが、ユーザーに正確な情報を届けることができているので、良かったと思います。この一年の反響で共通しているのは、「ゲームのキャラクターや世界観をきちんと伝えたい」という考えが強まっているという点ですね。
――そんな中、今回新たにリリースした『RecoCro Ads』について、あらためて教えてください。
『RecoCro Ads』はゲームユーザーに対して、適切に新しい情報を提供するため、さまざまなゲームメディアと連携したアドネットワークです。私たちは、セガゲームスのゲームや、セガゲームスの展開するマーケティング支援サービス「Noah Pass」を通じて培ったゲームユーザー動向、Web上のCookie情報を元に広告を発信していきます。セガゲームスのゲームを対象に実施したテスト配信では、獲得効率が高いことが分かっており、今後も期待できるネットワークになると思います。
――こちらはどのような経緯で開発することになったのでしょうか。
『RecoCro Ads』も『Expi』と同じく、ユーザーに適切な情報を届けたい思いが軸にあります。既存のサービスだと、ユーザーそれぞれに発信する広告の選び方が機械的でした。しかしそれだと、RPG好きな人にはRPGの広告ばかりが出てしまい、ユーザー自身が自分で気づくことができない新しい発見に出会うことができません。RPG好きな人の中にも、美少女ゲーム好きや他のエンタメサービスも実は好きだった、など、様々な潜在的な嗜好があるはずです。
本来の広告は、ユーザーが本来触れることのない情報を提供するべきだと思うんです。そこで、私たちはコンテンツとの出会いを作りたいと考えた結果、生まれたのが『RecoCro Ads』です。今まで以上に広い視野でユーザーを見て、適切なコンテンツとの出会いを作れたらと思います。
――広告を見てくれるユーザーにも限りがありますし、慎重に見極めなければいけませんからね。
そうなんです。今のままではやれる事が限られていくので、『RecoCro Ads』は新たな場や出会いを求めるイメージですね。
――アドネットワークと言うと、ディフェンシブなマーケティングというイメージがありますが、『RecoCro Ads』は新しいユーザーに攻めていけると。これに対して、ゲーム会社からの反響はいかがですか?
リリースして間もないので、親会社ではありますが、セガゲームスからは追加の出稿が決まっている状況です。また『Expi』から付き合いのある企業様からも頻繁にお問い合わせをいただいており、すでに具体的な準備を進めているケースもあります。
――ゲーム会社が出稿するためには、どのような手順を踏むのですか?
通常のアドネットワークと同様で、クリエイティブを用意していただき、ごく一般的な申し込みを済ませるだけです。特別に求めている仕様はなく、すぐに始められることを強く意識したので、クリエイティブのサイズもこれまでの一般的なWEBプロモーションと同じにして、取り組みやすいように工夫しています。
――ユーザーへの効果はいかがでしょうか。
これも現状はセガゲームスのタイトルのみですがデータを取っており、非常に良い推移を見せています。従来のアドネットワークと比較して課金率がおおよそ6倍、14日継続率も1.5倍に跳ね上がっています。とはいえまだまだ母数が少ないので、今後はもっと多くのデータを取得し、より精査していきたいと考えています。
――では、媒体側からの反響はいかがですか?
概ね良好で、継続して利用いただいています。どの媒体様も「悪ければ外す」というスタンスだと思いますが、今のところそのようなケースもないので安定したスタートが切れたのではないかと思っています。
――今後の展望があれば教えてください。
まずは今のコンセプトベースでデータを深めていくことです。また、ユーザーへの伝え方ももっと洗練できると考えています。どこにいる、どんなユーザーに対して、どのように訴求するかは、まだまだ発展の余地があります。現状はバナーが主流で、GIFや動画も目立つようになりました。今後はさらに3D形式のクリエイティブも出てくると予想していて、私たちもつい先日、ソリューション提供の形でリリースを出しました。
広告を楽しく見せることはとても重要で、ユーザーが触ることができる3D形式のクリエイティブまでいけば、今までただの広告だったものがひとつのエンタテインメントとして認知されると思うんです。情報が得られるコンテンツとして成長すれば、広告としての効果も上がってくると期待しています。
――広告もクリエイティブ単体としての内容が求められる時代になってくると。
広告でまず重要視されるのは効率ですが、それはいずれ究極的にはAIが取って代わるのではと考えています。しかしクリエイティブ、面白さは人間の手でしか表現できません。クロシードデジタルには元々ゲーム作りに携わっていた人間やゲーム好きが多くおり、「広告をいかに楽しんでもらうか」という点は強く意識しています。今回の『RecoCro Ads』も、「ゲーム好きなユーザーに喜んでもらえるゲームの情報を伝えたい」というシンプルな発想があります。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
ゲームの魅力を伝える課題はずっとあるもので、その方法は多様化しています。クロシードデジタルとしても多彩なサービスを用意できる体制が整いましたので、ゲーム会社様と一緒にソリューションを考えていきたいと思っています。私たちと一緒にゲームの魅力をユーザーに届けたい会社様にはぜひお声がけいただきたいです。
――ありがとうございました。
今回は、クロシードデジタルの取締役でもある伊藤真人氏にインタビューを行い、ゲームアプリにおけるマーケティングの変化と新サービス『RecoCro Ads』の持つ実力を伺うとともに、今後の展望について語ってもらった。
【関連記事】アプリゲームのキャラ評価に特化したサービス「Expi」とは…各ユーザーのレベルに合わせた攻略法を誰でも見やすく分かりやすく提供
◼︎設立から1年経ったクロシードデジタルから見るゲームマーケティングの変化とは
取締役
伊藤 真人氏
――本日はよろしくお願いします。伊藤さんにインタビューをするのは昨年の「Expi(エクスピ)」以来、1年ぶりですね。まずは、この1年を振り返ってもらえますか?
よろしくお願いします。この1年で驚いたのは、ゲーム業界の移り変わりの早さですね。昨年の8月、9月の段階では攻略とかキャラクターの情報を伝えることは、潜在的な課題としてあったものの顕在化はしていませんでした。それが年末年始にかけて問い合わせも増えてきて、「ちゃんとユーザーに情報を伝えなくては」という風潮がかなり高まってきました。またユーザーの最大数は決まっているので、どれだけ一人一人を大事にするかも重要になっていると感じます。
これは非ゲーム系アプリを配信する企業様も同じで、「(アプリを)作ったはいいけど、どうしよう」と迷われているケースが見受けられます。アプリの本数もかなり多くなってきて、目立ちづらいのも原因のひとつかと思います。ですから最近は、「アプリをダウンロードしてもらう」から「アプリを使ってもらう」を重視する考え方に変わってきました。
――言われてみれば、5年ほど前に流行ったゲーミフィケーションの流れがまた来ている感覚はあります。
おっしゃるとおりです。ユーザーにサービスの魅力を届ける根本の部分は変わっていませんが、方法に変化が出てきた印象ですね。
――昨年末ごろからレビュー系のプロモーションが厳しくなり、その代わりとしてゲームのIP化を目指す見せ方が強くなってきた傾向も感じます。
ゲーム会社様とミーティングをしていると「ゲームのIP化」というキーワードを度々耳にします。私たちとしてもビジネスとして考えた場合、自然な流れなのかと思います。
――ちなみに、この1年間で『Expi』にはどんな反響がありましたか?
現在のところ約21タイトルに導入していただいて、特に2017年に入ってから急激な成長を遂げています。もともとはゲーム内にExpiへの導線を貼っていただき、弊社はそこでの非ゲーム広告での広告収入を頂くという考えでした。しかし最近はゲーム会社さんから「その機能を使わせてほしい」というお問合わせもいただいています。BtoBのビジネスにも発展してきたのは大きな出来事ですね。
あとはリテンションマーケティングでも効果を発揮してきました。ユーザーがプレイを再開したはいいものの、持っているキャラクターが現在強いのか弱いのか分からないケースがあります。そんなときにキャラクターの評価を、記事を介して伝えることができるのです。
――結果的に、時代にマッチしたサービスへと成長できたと。
最初に思い描いていた使われ方とは少し違いますが、ユーザーに正確な情報を届けることができているので、良かったと思います。この一年の反響で共通しているのは、「ゲームのキャラクターや世界観をきちんと伝えたい」という考えが強まっているという点ですね。
◼︎ユーザーに本来触れることのない情報を提供したいサービス『RecoCro Ads』
――そんな中、今回新たにリリースした『RecoCro Ads』について、あらためて教えてください。
『RecoCro Ads』はゲームユーザーに対して、適切に新しい情報を提供するため、さまざまなゲームメディアと連携したアドネットワークです。私たちは、セガゲームスのゲームや、セガゲームスの展開するマーケティング支援サービス「Noah Pass」を通じて培ったゲームユーザー動向、Web上のCookie情報を元に広告を発信していきます。セガゲームスのゲームを対象に実施したテスト配信では、獲得効率が高いことが分かっており、今後も期待できるネットワークになると思います。
――こちらはどのような経緯で開発することになったのでしょうか。
『RecoCro Ads』も『Expi』と同じく、ユーザーに適切な情報を届けたい思いが軸にあります。既存のサービスだと、ユーザーそれぞれに発信する広告の選び方が機械的でした。しかしそれだと、RPG好きな人にはRPGの広告ばかりが出てしまい、ユーザー自身が自分で気づくことができない新しい発見に出会うことができません。RPG好きな人の中にも、美少女ゲーム好きや他のエンタメサービスも実は好きだった、など、様々な潜在的な嗜好があるはずです。
本来の広告は、ユーザーが本来触れることのない情報を提供するべきだと思うんです。そこで、私たちはコンテンツとの出会いを作りたいと考えた結果、生まれたのが『RecoCro Ads』です。今まで以上に広い視野でユーザーを見て、適切なコンテンツとの出会いを作れたらと思います。
――広告を見てくれるユーザーにも限りがありますし、慎重に見極めなければいけませんからね。
そうなんです。今のままではやれる事が限られていくので、『RecoCro Ads』は新たな場や出会いを求めるイメージですね。
――アドネットワークと言うと、ディフェンシブなマーケティングというイメージがありますが、『RecoCro Ads』は新しいユーザーに攻めていけると。これに対して、ゲーム会社からの反響はいかがですか?
リリースして間もないので、親会社ではありますが、セガゲームスからは追加の出稿が決まっている状況です。また『Expi』から付き合いのある企業様からも頻繁にお問い合わせをいただいており、すでに具体的な準備を進めているケースもあります。
――ゲーム会社が出稿するためには、どのような手順を踏むのですか?
通常のアドネットワークと同様で、クリエイティブを用意していただき、ごく一般的な申し込みを済ませるだけです。特別に求めている仕様はなく、すぐに始められることを強く意識したので、クリエイティブのサイズもこれまでの一般的なWEBプロモーションと同じにして、取り組みやすいように工夫しています。
――ユーザーへの効果はいかがでしょうか。
これも現状はセガゲームスのタイトルのみですがデータを取っており、非常に良い推移を見せています。従来のアドネットワークと比較して課金率がおおよそ6倍、14日継続率も1.5倍に跳ね上がっています。とはいえまだまだ母数が少ないので、今後はもっと多くのデータを取得し、より精査していきたいと考えています。
――では、媒体側からの反響はいかがですか?
概ね良好で、継続して利用いただいています。どの媒体様も「悪ければ外す」というスタンスだと思いますが、今のところそのようなケースもないので安定したスタートが切れたのではないかと思っています。
◼︎広告もひとつのエンタテインメントに…クロシードデジタルの今後
――今後の展望があれば教えてください。
まずは今のコンセプトベースでデータを深めていくことです。また、ユーザーへの伝え方ももっと洗練できると考えています。どこにいる、どんなユーザーに対して、どのように訴求するかは、まだまだ発展の余地があります。現状はバナーが主流で、GIFや動画も目立つようになりました。今後はさらに3D形式のクリエイティブも出てくると予想していて、私たちもつい先日、ソリューション提供の形でリリースを出しました。
広告を楽しく見せることはとても重要で、ユーザーが触ることができる3D形式のクリエイティブまでいけば、今までただの広告だったものがひとつのエンタテインメントとして認知されると思うんです。情報が得られるコンテンツとして成長すれば、広告としての効果も上がってくると期待しています。
――広告もクリエイティブ単体としての内容が求められる時代になってくると。
広告でまず重要視されるのは効率ですが、それはいずれ究極的にはAIが取って代わるのではと考えています。しかしクリエイティブ、面白さは人間の手でしか表現できません。クロシードデジタルには元々ゲーム作りに携わっていた人間やゲーム好きが多くおり、「広告をいかに楽しんでもらうか」という点は強く意識しています。今回の『RecoCro Ads』も、「ゲーム好きなユーザーに喜んでもらえるゲームの情報を伝えたい」というシンプルな発想があります。
――最後に、読者へのメッセージをお願いします。
ゲームの魅力を伝える課題はずっとあるもので、その方法は多様化しています。クロシードデジタルとしても多彩なサービスを用意できる体制が整いましたので、ゲーム会社様と一緒にソリューションを考えていきたいと思っています。私たちと一緒にゲームの魅力をユーザーに届けたい会社様にはぜひお声がけいただきたいです。
――ありがとうございました。
会社情報
- 会社名
- セガ エックスディー(セガXD)
- 設立
- 2016年8月
- 代表者
- 谷 英高
- 決算期
- 3月
- 上場区分
- 未上場