「アプリストアのGrossingランキング上位に食い込んでくる新規タイトルのクオリティがここにきて一段と上がっている」。この日(10月30日)、東京都内で開催した決算説明会で、ドリコム<3793>の内藤裕紀社長(写真)は今年のアプリ市場に対する見方を示した。これに伴いアプリの開発費も上がり、7~8億円規模のタイトルが増えてきているようだ(記者のヒアリングした範囲ではすでに10億円タイトルも出ている)。
さらに、今年のアプリ市場の大きな特徴としては、韓国や中国、台湾といったアジア系のゲームタイトルが日本国内でも人気を博していることもあげられる。『リネージュ2』や『アズールレーン』などが記憶に新しいところだ。
日本のゲームアプリは、インゲームとガチャ中心とするアウトゲームのモデルが多いが、アジア系のタイトルは、日本のそれとは異なり、お金を使いながら長く育成を楽しむゲームが多く、新しいテイストのゲームとして日本のユーザーにも受け入れられつつあるという。ゲームの運営についても、ここ数ヶ月で急速に日本のユーザーに合わせるなどクオリティが上がっている。
アジア系のディベロッパーは、自国だけでなく、複数の国の市場でリリースすることを前提とした開発を行っており、開発規模を大きくすることができる。かつて家庭用ゲームでも欧米の大手が市場を席巻したが、業界内では同じ状況がアプリでも起きかねないという危機感が出ているようだ。日本からも開発規模を大きくして、アジア市場に打って出る必要があるが、中国市場に入るには参入障壁がある。またガチャを含めてゲームシステムそのものを見直す必要も出てくるかもしれない。
ドリコムでは、こうした状況を踏まえ、直近のリリース予定の新作IPタイトルについては、クオリティをさらに重視し、もう一段作りこんでからリリースすることにしたそうだ。このため、新作リリースが各四半期ごとに1タイトルほどだが、後ろ倒しになる可能性があるとした(下記リリース予定のレンジはこのため)。またリリース後の開発スタッフを新規開発と運用担当に分けることで、運用力の向上とノウハウの蓄積も図っており、一定の成果が出ているという。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793