【インタビュー】『オルサガ』に続き『マギレコ』も好スタートを切ったf4samurai…各タイトルの今後の展望や次の成長に向けて求める人材像とは?


『オルタンシア・サーガ-蒼の騎士団-』(以下『オルサガ』)や『アンジュ・ヴィエルジュ ~ガールズバトル~』(以下『アンジュ』)のロングヒットに加え、昨年2017年8月にはアニプレックスとの共同タイトルとなる『マギアレコード 魔法少女まどか☆マギカ外伝』(以下『マギレコ』)も配信開始となり、好スタートを切ったf4samurai。

昨年11月末には、セガゲームスとの新作『ワンダーグラビティ ~ピノと重力使い~』(以下『ワンダーグラビティ』)も発表となり、初のオフラインイベントとなる「f4ファンフェスティバル」も開催している。

今回は前回のインタビューから約1年ぶりに、同社の取締役COOの田口堅士氏と、CMOの佐藤允紀氏にインタビューを行い、各タイトルの現況やオフラインイベントの手応え、現在の開発体制や求めている人材像など、いろいろな話をうかがってきた。
 

■『マギレコ』は新しい魔法少女の展開をアニプレックス、シャフトと共同で展開


―――:よろしくお願いいたします。まずは前回のインタビューの時には制作発表されたばかりだった『マギレコ』のお話をうかがいたいと思います。

田口氏:率直に言って大変だなというのはあります(笑) 受託ではない協業案件であるものの、自分たちが「これが面白い」という発想だけでなく、「『まどか☆マギカ』的に面白い」という部分を補正して考えるのは大変でした。

実際にリリースされた後にユーザーさんの声を聞いてみたりしていても、ずれていたんだなと感じる部分はあったりしたので、そこはリリースした後も常にユーザーさんの声を聞きながら調整しています。『オルサガ』的な面白さと『マギレコ』的な面白さはやはり違うものだなと感じています。

『マギレコ』は、とにかくユーザーを驚かせたいとか、面白いと思ってもらえるものを作りたいというのがあるのですが、上手くいかず失敗することもあります。なので、ユーザーさんには満足していただけてない部分がまだあるとは思うのですが、気持ち的にはこう思っていて、間違っていたら改善するように取り組んでいます。


佐藤氏: 物量も膨大かつ、ブラッシュアップの期間も織り込むと、発案から実現するまでに時間が常にかかってしまうので、計画性が大事です。ですが、ユーザーの期待に応えたいと、多くの関係者と制作メンバーの思いを詰め込んで、いつもギリギリの進行になってしまいます。

田口氏:運用的には多少安定してきたので、ここから改善とかもして、もっといいものにしていけるのではないかと思っています。100日記念のタイミングで少し改善を入れて、ユーザーさんにも喜んでいただいているので、そういう改善を継続していくことが大事だなと感じています。


―――:クリスマスのタイミングに合わせて、新しいキャラクターとして「ホーリーマミ」が登場しましたね。

佐藤氏:クリスマスに「マミ」さんを出す、はリリース前からの弊社希望でして、今回のキャラクターデザインは劇団イヌカレー(泥犬)さんにお願いしました。ただ、クリスマスでサンタクロースという姿ではなく、聖夜に降臨する「神浜聖女」の原案を2ヵ月前にいただき、そこからストーリーに登場するLive2Dから始まり、SDキャラ、ドッペル、複数のイラスト、変身アニメの制作がディテールのFIXをしながら同時に制作進行しました。

アニプレックスさん、シャフトさんと一緒になって企画し、実現できたことで。マギレコの最初のクリスマスで思い切ったものになったと思っています。


田口氏:ボイスとかも大変でしたよね。どういう口調にするのか、「マミ」さんと違い過ぎても駄目ですし、その辺の塩梅をつかむのには苦労しました。シナリオ的にもやり過ぎると二次創作的になってしまうし、そこをどうするのか一緒に考えていきました。

佐藤氏:年が明けて1月の頭からは、うめ先生にデザイン頂いた「まどか」の晴着ver.が登場しました。ドッペルやマギア(必殺技)までそれに合わせて作っていて、必殺技のアニメは弓矢じゃなくて羽子板に。変身アニメも長尺で、素晴らしい作品でした。
 
 

こちら、当たり前ですが、クリスマスの「マミ」と同時並行で制作しておりますので…。

―――:ゲーム内のシナリオも一緒に考えられているのでしょうか?

田口氏:そうですね。マギレコプロジェクトのシナリオ担当は5人居て、基本的にはこのチームがシナリオを全部書いています。メインシナリオはアニプレックスさんと、週次に近い頻度で本読みを行っています。

イベントもなるべくゲームと連動させたいというのがあって、シナリオとゲーム性を連動させようとしているのですが、まだうまくやり切れてない部分があります。

 

■『オルサガ』は900万DLが視野に 『アンジュ』第三部は来夏スタートに


―――:『オルサガ』と『アンジュ』も順調な推移が続いていますね。『オルサガ』は現在、第三部に突入していますが、足元の状況はいかがですか?

田口氏:まず、第三部が何章まであるとかは言えないのですが、中盤をちょっと越えたくらいかなというのが今の状況です。『オルサガ』は、一応第三部が完結編となるので、描くことがまだまだ多くて、結構ボリュームが大きくなります。ユーザーさんには今まで謎だったり、伏線だったり、色々な部分があるので、そこが最終的にどうなっていくのかということは、これから面白くなってくるところじゃないかなと思っています。

さらに、第三部の後の物語も構想があります。『オルサガ』は第三部でいったん区切りがつくので、それぞれのキャラクターについて掘り下げたお話とかを描いていきたいです。


―――:『オルサガ』は、直近では「エヴァンゲリオン」とのコラボを実施したり、大型IPとのコラボも増えてきた印象があります。こうしたコラボを展開する上で気をつけていることとかはありますか?

田口氏:コラボは多くなり過ぎないようには気をつけています。年間で多くても4本、3ヶ月に1回ずつくらいにしていて、クオリティを保つことを心掛けています。結構早いうちにだいぶ準備をしていて、監修元もユーザーも自分たちも満足できるようなものを作るためには時間をかける必要があります。そう考えると年間4本でも結構ギリギリなところだと思います。

今年は、「七つの大罪」と「進撃の巨人」「サクラ大戦」「エヴァンゲリオン」とコラボしました。「進撃の巨人」は1ヶ月間フルに『オルサガ』をジャックするようなコラボを実施し、「エヴァ」では初めて声優さんも使ったコラボも行いました。「エヴァ」が鎧を着る「エヴァ騎士」が初めて登場したり、ただコラボするだけでなく、コラボをやるからには面白いこと、新しいことを版元さんも許す範囲で実現しようということは気をつけています。


佐藤氏:「エヴァ」とのコラボは版権元さまと初めてお会いしてから1年越しで実現しました。「エヴァ騎士」で「○○○作戦」をやりたい!も当初から、僕が妄想してまして…。

『オルサガ』は繁体字版も3年目に入りましたが、コラボもできるだけ実現するようにしています。繁体字版でも、ユーザーさんを集めたイベントが実施されていて、そこでお会いするユーザーさんからもコラボの要望があったりします。


―――:『オルサガ』は一昨年インタビューさせていただいた時には600万ダウンロードを達成していましたが、現在は800万ダウンロードに到達していますね。

佐藤氏:はい、今のペースでいくと今年の中旬くらいには900万ダウンロードを達成できるのではと思ってます。

―――:『アンジュ』は先日開催されたファンフェスティバルで、今夏から最終編を開始することを発表しましたね。

佐藤氏:『アンジュ』は第一部の「第2風紀委員編」が約2年半あり、3ヶ月間アニメがあって、第二部となる「世界ノ敵編」が一昨年の9月から始まりました。それが今年夏まで続くと1年半以上となり、それと同規模かそれ以上のボリュームで第三部の「最終編」を展開する予定です。

弊社からなにか発信するという機会がほぼ無い中、昨年はユーザーさんから「『アンジュ』は終わってしまうのでは」との声も聞こえてきていたりしたので、続きを作っているということをあの場(f4ファンフェスの4周年ステージ)で発表しました。

『アンジュ』のキャラクターたちの戦う目的や今まで以上の成長をみせたいと思って「最終編」という名前を付けています。ただ、これが終わったからアプリが終わるということではなく、ずっとアプリのストーリーを作ってきたf4として、そのぐらい大きなことをやりたいという意味合いが強いです。


―――:セガゲームスさんとの共同タイトルとなる新作『ワンダーグラビティ』も昨年末に発表となりましたが、こちらはどのようなタイトルとなるのでしょうか?


田口氏:『ワンダーグラビティ』は、もともと『マギレコ』より先にスタートしていたプロジェクトです。プロトの段階からで言うと、2年半くらい前から動き出しました。

佐藤氏:3Dの完全オリジナルのRPGで、幾度も練り直しがあって今の世界観になりました。3Dで奥行きのある空間の中で、みんなで戦うというGvGのコンセプトを取り入れたタイトルになっています。

田口氏:正式なプロジェクトとして動き出したのは『オルサガ』リリース後くらいですね。

佐藤氏:弊社として、体制面で新作開発を2ライン動かす取り組みをしていて、僕ら(COO、CMO)は開発の意思決定にあえて関わらず、弊社CEOとCTOが中心となって進めています。

田口氏:3Dも弊社としては初めてで、浮かんでいる新しい世界観を表現することもチャレンジしています。

『マギレコ』は、「まどか☆マギカ」ファンの嗜好にそって、シングルプレイが中心となりましたが、『ワンダーグラビティ』は弊社が得意とし、『ボーダーブレイク』から続いてきたGvGの要素をしっかりと取り入れています。もちろんGvGの中身も違いますし、クエストも新しいものとなります。

 

■初の単独オフラインイベント「f4ファンフェスティバル」を開催


―――:先ほども少し触れましたが、昨年12月3日に初の単独オフラインイベント「f4ファンフェスティバル」を開催されましたが、開催の経緯はどのようなものだったのでしょうか?

佐藤氏:もともとセガゲームスさんの「ファン感謝祭」が2017年にないと話を聞いて、『アンジュ』4周年のユーザー感謝をどうやってお伝えしよう、からスタートしました。

『オルサガ』もチームとして年末に向けての目標をどう持つか悩んでいるタイミングで、『マギレコ』もリリース後の生放送が予定なく、ゲームの改善やクリスマスの「マミ」さんへの期待を持ってもらいたい、という気持ちもあり、さらにワンダーグラビティもf4として自信もって発表するタイミングを持ちたいなど、いろいろなものが半年前に重なって、f4samuraiの看板で「ファンフェスティバル」ができないかなと考えました。

開発会社が表に出ることはあまりないので、ブランディングとは言い過ぎですが、弊社開発のサービスとお客様の間の信頼感みたいなものを築く意味でも開催する意義はあるのではと思いました。


―――:開催してみた手応えとかはいかがですか?

佐藤氏:開発も年末年始にむけてやることが多すぎて、準備期間はほぼ休みもなく、開発メンバーも巻き込んでしまい、言い出さなければ良かったかなとも一瞬思ったこともありました(笑)。

ただ、実際にやってみたら私は楽しかったです。あっという間の10時間でした。


―――:実際にユーザーさんに会う機会もなかなかないですもんね。

佐藤氏:それは大きいですね。来場者が「楽しかった~」と帰っていかれる姿を見て、イベントを手伝っていた開発メンバーと一緒に涙目でお見送りしてました。


田口氏:佐藤さん満面の笑みでしたものね。私はあの後『マギレコ』のスタンディを持って一時間くらい新宿を練り歩くことになりましたが(笑)。

佐藤氏:すいません(笑)。今回開催した会場の音響が素晴らしく、お客様に事故もなく無事にイベントを終えることができて本当に良かったです。


―――:今後も機会があれば開催されますか?

佐藤氏:今のところは予定していません。 また、同じタイミングで昨年後半から採用広報を目的として、いろんな講演やセミナーにでて、f4samuraiで働くことのイメージと興味をもって頂こうと、あえてf4samuraiの名前をだす機会を作ってきました。この春以降は少し減らして、より開発に集中していると思います。

―――:新作も発表となるなど開発体制の強化が順調に進んでいるようですが、現在の開発体制はどのようになっていますか? また、今まさに必要としている人材像はどのような感じでしょうか?

佐藤氏:前回インタビュー時に目標としていた100名の体制は超えて、現在120名。今のオフィスでは手狭になってきています。今年の夏以降の移転も検討しており、今のオフィスでは、もう10名ぐらいの参加が限界となります。

そのため、今求めているのは、先ほどの意思決定する人間を分けるという話にもつながるのですが、リーダークラスの人材です。実は先ほどの採用広報の一環でやっていたセミナーをきっかけに直接入社してくれた人間が、今は『オルサガ』のリーダーをやっています。

同じようにワンダーグラビティや、新作、既存タイトルの運営リーダーになるということも可能性としてあるかと思います。


田口氏:リーダーになれる人材だと、イベントやこういうインタビュー記事を見て、入りたい、働きたいと思った方でないとなかなかマッチしない部分はあります。そのため、最近は、直接応募の方も非常に多いです。

働きたいと思った方が最終的にはリーダーになりたいというようなものがあれば、エンジニアでもプランナーでも構わないと思っています。


―――:セミナーをきっかけに入られた方は御社のどういったところを見て入社を決められたのでしょうか?

佐藤氏:自分たちのことをそのまま知ってもらおうと本音を話すようにしています。

セミナーでは、杓子定規なことを言うと他社さんと違いが出ないので、「例えばゲームという楽しいことを開発している自分たちが楽しめる仕事をしよう」、「内向けの報告ではなく、ユーザーさまに向きあう時間を増やしていこう」といったことが、同業のなかでは珍しい発言で興味をもたれやすかったのかもしれません。

ゲームに実装される歌やアニメーションの制作を多くの関係者と一緒に作り上げていくことの楽しさを昨年は伝えられたようにも思います。

田口氏:『オルサガ』のリーダーは、ゲーム業界がそんなに長いというわけではなかったのですが、1週間やってみて大丈夫そうだなと判断しました。間違う時もありますが、それは誰がやってもあることなのでだったら全部任せようと。本人に対しても「本当に駄目だと思う時以外は止めないので自由にやっていいよ」と伝えてあります。

佐藤氏:できれば今年の前半くらいに入ってもらって、自分たちが次の展開に備えられる、そんな体制が作れればと考えています。


―――:どうもありがとうございました。


■f4samurai採用情報

 

採用情報

 




©SEGA / f4samurai
(C)Magica Quartet/Aniplex・Magia Record Partners