【決算まとめ③】ゲーム関連企業34社の4-6月…『ウマ娘』の貢献でサイバーエージェントの利益が独走状態に ハイカジも寄与のカヤックの売上は過去最高を記録
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主要モバイルゲーム企業の2021年4~6月期の決算の決算を引き続き振り返ってみたい。今回は、各社の売上高と営業利益の状況をまとめてみた。
まずは四半期売上高100億円以上の企業をまとめたグラフを見ると、前四半期も躍進が目立ったサイバーエージェント<4751>のゲーム事業が、スクウェア・エニックスHD<9684>やコナミHD<9766>とセガサミーHD<6460>をごぼう抜きにし、900億円台まで売上を伸ばしたことがやはり目を引く。これは子会社Cygamesが2月24日にリリースした新作『ウマ娘 プリティーダービー』が、この4~6月期はフル寄与した影響が大きく、その業績に与えたインパクトの大きさをあらためて感じるものとなっている。
なお、この四半期はコロプラ<3668>が売上高100億円台を下回った。コロプラは、ドラクエ35周年記念イベントを開催した『DQウォーク』が堅調に推移したものの、周年イベントの狭間ということもあり、そのほかの既存タイトルの売上が減少したことが2ケタの減収につながった。
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四半期売上高100億円未満の企業では、カヤック<3904>が売上高を30億円台に伸ばしている。これは、ハイパーカジュアルゲームが引き続き成長したことに加え、アキバスタジオの大型案件納品も寄与してゲーム事業が大きく伸び、過去最高の四半期売上高を記録している。
また、今回よりこの集計データに採用している東京通信<7359>とcoly<4175>、アピリッツ<4174>の3社は売上高10億円くらいのグループとなっている。東京通信は、カヤックと同様にハイパーカジュアルゲームが成長の軸となっており、この10億円くらいの規模間が恒常的なものなのか、成長の途上のものなのか、次の四半期以降の業績推移をじっくりと見極めたいところ。
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続いて営業利益の四半期推移に目を移すと、まずは営業利益10億円以上の企業については、13社と前四半期の11社から増加した。これは、一過性の費用・損失計上などで、DeNAとセガサミーHD<6460>、コナミHD<9766>が前四半期は大幅な赤字を計上していたが、この四半期は3社ともに黒字に戻った影響が大きい。
そしてこちらもサイバーエージェント<4751>のゲーム事業が、大手ゲーム各社を上回り、400億円超の営業利益を計上していることがまずは大きく目を引くところ。
また、コーエーテクモHD<3635>が100億円に迫る水準まで営業利益を伸ばしていることも注目だ。新作『戦国無双5』などが寄与したパッケージゲームに加え、オンライン・モバイルも国内での『三國志 覇道』の堅調やIP許諾によるロイヤリティ収入が寄与しており、同社は第1四半期として過去最高の売上高、利益を記録している。
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営業利益10億円未満の企業については、今回は2ケタ台に乗せるような大幅な赤字を計上した企業はなかった。最も大きな営業赤字を計上したgumi<3903>は、保有する暗号資産の時価上昇と暗号資産の一部売却などで大幅な営業外収益を計上している一方で、この四半期に一部の開発中タイトルの減損計上も行っており、次の四半期の状況が読みづらい決算だった。新作『乃木坂的フラクタル』は8月12日のリリースとなり、次の四半期への寄与はないだけに、どこまで立て直しが進むのかじっくりと見極める必要があるだろう。
前四半期の5億円の営業赤字からは縮小したものの、この四半期も3億円超の営業赤字計上となったKLab<3656>は、立て直しに時間がかかっている状況だ。既存タイトルの減衰や不調により、売上高の軟調な推移が続いており、トンネルの出口が見えるまで、もう少し時間がかかることも懸念される。
会社情報
- 会社名
- 株式会社gumi
- 設立
- 2007年6月
- 代表者
- 川本 寛之
- 決算期
- 4月
- 直近業績
- 売上高120億6600万、営業損益50億4000万円の赤字、経常損益45億1400万円の赤字、最終損益59億3400万円の赤字(2024年4月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3903
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751
会社情報
- 会社名
- KLab株式会社
- 設立
- 2000年8月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3656
会社情報
- 会社名
- 株式会社カヤック
- 設立
- 2005年1月
- 代表者
- 代表取締役CEO 柳澤 大輔/代表取締役CTO 貝畑 政徳/代表取締役CBO 久場 智喜
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高174億6700万円、営業利益10億2100万円、経常利益10億3800万円、最終利益5億1100万円(2023年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3904
会社情報
- 会社名
- コーエーテクモホールディングス株式会社
- 設立
- 2009年4月
- 代表者
- 代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3635