KADOKAWA、9月中間決算は営業益26%増の99億円 デジタルシフトや権利許諾で収益急改善 アニメも配信許諾やゲーム化権収入で貢献

KADOKAWA<9468>は、2022年3月期の9月中間期の連結決算を発表し、売上高1048億1100万円(前年同期比7.4%増)、営業利益99億3800万円(同26.6%増)、経常利益106億0400万円(同30.3%増)、最終利益71億1600万円(同36.7%増)と増収増益となった。主力の出版事業で国内外への権利許諾のほか、デジタルシフトの取り組みが奏功し、営業利益が倍増となるなど、利益拡大をけん引した。

・売上高:1048億1100万円(同7.4%増)
・営業利益:99億3800万円(同26.6%増)
・経常利益:106億0400万円(同30.3%増)
・最終利益:71億1600万円(同36.7%増)

[出版事業]
売上高は651億1700万円(同8.3%増)、セグメント利益(営業利益)は93億7900万円(同100.4%増)となった。

書籍市場全体が新型コロナウイルス感染症拡大の影響を受けた前年から回復していることに加え、同社においては、北米を中心とした海外事業が高成長を継続していることや、権利許諾収入の伸長、前年に引き続き返品率が良化していることが収益貢献した。また、直木三十五賞と山本周五郎賞を受賞した『テスカトリポカ』(文芸単行本)をはじめ、『魔力の胎動』(一般文庫)、『パンどろぼう』(児童書)、『文豪ストレイドッグス(21)』(コミックス)等の販売が好調に推移した。

電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、同社が得意とする異世界ジャンルコミックス等が好調に推移していることや自社ストアであるBOOK☆WALKERにおける新規ユーザー数の増加、海外向け売上の順調な伸長により好調に推移した。

雑誌は、前期より強化している休刊・デジタルシフトの取組みが功を奏し、収益性が改善している。

なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において4月に書籍製造ラインの稼働を一部開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っている。現在、製造ラインの拡張に努めていることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めている。

[映像事業]
売上高は162億4500万円(同22.8%増)、セグメント利益(営業利益)は10億2700万円(同22.0%増)となった。

実写映像では、映画『ヤクザと家族』、『ファーストラヴ』の配信が収益に貢献した。また、デジタル映画鑑賞券「ムビチケ」やスタジオ事業等では、一部で新型コロナウイルス感染症拡大による映画館席数制限、時短営業の影響が見られたものの、前年の水準からは回復している。

アニメでは、『蜘蛛ですが、なにか?』、『聖女の魔力は万能です』の配信による収入に加え、『Re:ゼロから始める異世界生活』や『この素晴らしい世界に祝福を!』をはじめとした同社アニメIPの他社ゲームへの活用による権利許諾が引き続き収益貢献した。海外へのアニメ配信、権利許諾収入も成長しており、増収増益に寄与している。

[ゲーム事業]
売上高は48億2600万円(同41.9%減)、セグメント利益(営業利益)は6億2300万円(同77.8%減)となった。第2四半期累計においては、『SEKIRO:SHADOWS DIE TWICE』等、旧作のリピート販売が減少した。また共同・受託開発事業では、新作を発売した前年からの反動と開発スケジュールの見直しにより減収となった。

[Webサービス事業]
売上高は109億6600万円(同1.0%増)、セグメント利益(営業利益)は12億5100万円(同3.4%増)となった。

動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が9月末には147万人となり、前年9月末からは減少となっている。しかしながら、有料生放送、生放送番組にアイテムを贈る「ギフト」、広告など収益源の多様化への取組みにより業績が安定的に推移している。各種イベントの企画・運営では、4月開催の「ニコニコネット超会議2021」をネット及び一部リアルで、8月開催の「AnimeloSummer Live2021」をリアルで開催するなど好評を博し、売上に貢献した。

[その他事業]
売上高は113億500万円(同32.6%増)、セグメント損失(営業損失)は9億6400万円(前年同期 営業損失14億5700万円)となった。

教育事業においては、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校で生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツの提供を行うドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。

また、クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでも前年に名古屋校を開校する等の積極的な投資の中で、売上、利益ともに引き続き成長している。コトビジネスにおいては、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベント事業、飲食事業などの商業施設を展開するところざわサクラタウンが11月6日にグランドオープンし、売上に寄与した。

 

■2022年3月通期の見通し

続く2022年3月通期の業績については、売上高2180億円(前期比3.8%増)、営業利益155億円(同13.8%増)、経常利益167億円(同16.2%増)、最終利益117億円(同22.1%増)を見込む。こちらはすでに報じたように上方修正している(関連記事)。

・売上高:2180億円(同3.8%増)
・営業利益:155億円(同13.8%増)
・経常利益:167億円(同16.2%増)
・最終利益:117億円(同22.1%増)

計画に対する進捗率は、売上高48.1%、営業利益64.1%、経常利益63.5%、最終利益60.8%となっている。

・売上高:48.1%
・営業利益:64.1%
・経常利益:63.5%
・最終利益:60.8%
 

【注】
冒頭について初出時から一部訂正しております。

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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