コロプラ<3668>の2021年9月期の第4四半期(2021年7~9月)の連結決算は、売上高97億0500万円(前年同期比で22.2%減)、営業利益10億6500万円(同64.1%減)、経常利益10億0800万円(同61.1%減)、最終利益4億9400万円(同63.9%減)と減収・大幅減益となった。減益となったの要因として、既存タイトルの売上が経年によって低下したことに加えて、新作と既存タイトルのプロモーション費用を増やしたことがあげられる。
・売上高:97億0500万円(同22.2%減)
・営業利益:10億6500万円(同64.1%減)
・経常利益:10億0800万円(同61.1%減)
・最終利益:4億9400万円(同63.9%減)
売上を見ると、7周年を迎えた『白猫プロジェクト』を中心とするFY2014ものは35.0%減の22億0700万円、『魔法使いと黒猫のウィズ』などFY2013ものも66.8%減の4億1300万円と大きく減った。『ドラゴンクエストウォーク』も同17.8%減の25億4500万円と減少した。他方、コンシューマゲームや受託など「その他」は同9.8%増の25億9800万円と伸びたものの、全体の低下をカバーするほどではなかった。
続いて利益面を見ていくと、売上原価を6.7%減の65億6900万円、販売管理費を15.9%減の20億7100万円と費用を抑えたが、売上低下の影響が大きく、利益は大幅に減ることになった。また費用の中で増えたのは、広告宣伝費で、82.4%増の10億2800万円だった。新作『ユージェネ』や『白猫プロジェクト』の周年、『魔法使いと黒猫のウィズ』のフィナーレなどでプロモーションを行ったとのこと。
ちなみに、『ユージェネ』については、この四半期の売上高は3000万円だった。川栄李奈さんを起用したテレビCMなどプロモーションを大々的に行ったが、昨今の開発飛行等を考えると、採算性確保の観点からは厳しい状況だったことは間違いないだろう。
ただ、質疑応答で、「メタバース」について考えを聞かれて以下のような回答を行っていた。
当社は、VR・ARの可能性にいち早く着目しており、「メタバース」が話題となる以前からしっかりと取り組めていると考えている。具体的には、2014 年から VR ゲームの配信、2016 年から国内外の VR 関連企業に投資をしており、直近では新作「ユージェネ」で VR・AR と LIVE 要素を融合した『Live Playing Game』という新ジャンルを開拓するなど、VR・AR に限らない新しい取り組みも行っている。
新作ゲームアプリとしてみると、収益的には厳しく、クローズを考えるほどだろうが、今後のメタバースとしての展開と考えると、先行投資の範囲として許容できるという考えのようだ。
最後に、スマホゲームのパイプラインを見ていこう。他社IPが2本、自社IP・自社IP派生が5本となっている。前回の第3四半期決算発表時から他社IPが1本減った形だが、これはバンダイナムコエンターテインメントとの共同タイトル『テイルズ オブ ルミナリア』が11月4日にリリースされたため。
また、自社IP派生には、7月19日に発表された『白猫GOLF』が含まれており、現時点で新作の開発状況に大きな変更はないとみて良さそうだ。
一方、コンシューマゲームについては、足元の2022年9月期の第1四半期(10~12月)には自社IP1本、他社IP1本のリリースを予定している。同社は、移植版を含めて年間10本程度のリリースを予定するリリースペースとしており、四半期中に2、3本のリリースというのはおおむね計画線どおりのリリースと言えるだろう。
ゲームアプリの宿命と言えるものだが、既存ゲームは経年による低下傾向を止めるのは難しく、今後の業績拡大には新作のヒットが不可欠になる。『ユージェネ』については先行投資の側面が強く、『テイルズ オブ ルミナリア』もApp Store売上ランキングで最高200位、Google Playも249位と厳しい出足だ(AppAnnie調べ、ゲームカテゴリー)。次の四半期はどういった着地になるのか注目される。
会社情報
- 会社名
- 株式会社コロプラ
- 設立
- 2008年10月
- 代表者
- 代表取締役会長 チーフクリエイター 馬場 功淳/代表取締役社長 宮本 貴志
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高309億2600万円、営業利益28億5800万円、経常利益32億7600万円、最終利益18億9300万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3668