KADOKAWA、第3四半期(4~12月)決算は売上高3.2%増、営業益3.0%減に 電子書籍・電子雑誌を含む出版事業が好調 ゲームは新作『ELDEN RING』が2月発売

  • KADOKAWA<9468>は、2月3日、2022年3月期の第3四半期累計(4~12月)の連結決算を発表、映像事業の一部で新型コロナウイルス感染症拡大による影響を受けたほか、ゲーム事業で前年同期の大型作品発売の反動減があったものの、おおむね前年同期並みの業績を確保した。

    売上高1576億4100万円(前年同期比3.2%増)
    営業利益128億900万円(同3.0%減)
    経常利益141億6900万円(同5.4%増)
    最終利益95億7000万円(同6.5%増)

    各セグメントごとの状況は以下のとおり。

    ①出版事業…売上高977億600万円(前年同期比3.7%増)、セグメント利益131億2700万円(同39.2%増)
    北米を中心とした海外事業が高成長を継続していることや、権利許諾収入の伸長、前年に引き続き返品率が良化していることが収益貢献した。また、直木三十五賞を受賞した「テスカトリポカ」「黒牢城」(文芸単行本)をはじめ、「聖域」(ノンフィクション)、「パンどろぼう」(児童書)、「ファイブスター物語(16)」(コミックス)などの販売が好調に推移した。

    電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、同社が得意とする異世界ジャンルコミックスなどが好調に推移していることや自社ストアであるBOOK☆WALKERにおけるユーザー数の増加、海外向け売上の順調な伸長により好調に推移した。雑誌は、前期より強化している休刊・デジタルシフトの取り組みが功を奏し、収益性が改善した。

    なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市に2021年4月に書籍製造ラインの稼働を一部開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックスなどのデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っている。現在、製造ラインの拡張に努めていることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めている。

    ②映像事業…売上高247億3800万円(同10.2%増)、セグメント利益13億9800万円(同39.6%減)
    実写映像では、映画「ヤクザと家族 The Family」「ファーストラヴ」の配信が収益に貢献した。また、デジタル映画鑑賞券「ムビチケ」やスタジオ事業などでは、一部で新型コロナウイルス感染症拡大による映画館席数制限、時短営業の影響が見られたものの、前年の水準からは回復した。

    アニメは、中国規制影響による一部アニメ作品の放映スケジュール変更や、製作費の増加などにより減益となるも、国内では「世界最高の暗殺者、異世界貴族に転生する」「聖女の魔力は万能です」などの配信による収入に加え、「Re:ゼロから始める異世界生活」や「この素晴らしい世界に祝福を!」をはじめとした同社アニメIPの他社ゲームへの活用による権利許諾が引き続き業績に貢献した。海外でも上記タイトルを中心としてアニメ配信、権利許諾収入が成長しており、増収に寄与している。

    ③ゲーム事業…売上高76億4200万円(同38.2%減)、セグメント利益4億600万円(同86.2%減)
    『SEKIRO: SHADOWS DIE TWICE』など、旧作のリピート販売が減少した。また共同・受託開発事業では、大型作品を発売した前年からの反動と開発スケジュールの見直しにより減収となった。なお、フロム・ソフトウェアから期待の新作『ELDEN RING』が2022年2月25日に発売予定だ。

    ④Webサービス事業…売上高163億3700万円(同0.5%減)、セグメント利益20億1400万円(同3.4%減)
    動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が12月末には143万人となり、前年12月末からは減少した。しかし、ニコニコチャンネル、有料生放送、生放送番組・動画にアイテムを贈る「ギフト」、広告など収益源の多様化への取り組みにより業績が従来よりも安定的に推移している。各種イベントの企画・運営では、「Animelo Summer Live 2021」や「The VOCALOID Collection ~2021 Autumn~」を開催し、売上に貢献した。

    ⑤その他事業…売上高168億5800万円(同32.4%増)、セグメント損益20億9200万円の赤字(前年同29億9400万円の赤字)
    教育事業は、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校で生徒数が順調に増加しており、同校等に教育コンテンツの提供を行うドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。また、クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでも新たに名古屋校を開校するなどの積極的な投資の中で、売上、利益ともに引き続き成長している。

    コトビジネスにおいては、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベントホール、飲食店などの商業施設を展開するところざわサクラタウンが前期に新規開業し、売上に寄与した。

    ■通期見通しは昨年10月の修正予想から変更なし
    なお、2022年3月通期の業績予想にいては、昨年10月に発表した修正予想から変更なく、以下のとおり。

    売上高2180億円(同3.8%増)
    営業利益155億円(同13.8%増)
    経常利益167億円(同16.2%増)
    最終利益117億円(同22.1%増)

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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