東京都競馬、21年12月期決算は営業益14%増の128億円 大井競馬と伊勢崎オートのネット投票が伸長 東京大賞典は総売上104億円と地方競馬レコードを更新

東京都競馬<9672>は、この日(2月14日)、2021年12月通期の決算を発表し、売上高318億円(前の期比10.5%増)、営業利益128億0300万円(同14.6%増)、経常利益128億4200万円(同13.8%増)、最終利益90億8400万円(同75.5%増)、EPS320.43円と2ケタの増収増益を達成した。

・売上高:318億円(同10.5%増)
・営業利益:128億0300万円(同14.6%増)
・経常利益:128億4200万円(同13.8%増)
・最終利益:90億8400万円(同75.5%増)
・EPS:320.43円

公営競技界では、新型コロナウイルス感染拡大の影響により無観客開催や入場制限等の対応を行わざるを得ない状況となったが、レースは概ね日程どおり開催され、インターネット投票の牽引により好調な売上となった。

この間、同社グループでは、大井競馬、伊勢崎オートレースの無観客・入場制限による開催、東京サマーランドの営業自粛や1日あたりの入場者数の制限など新型コロナの影響を受けたが、SPAT4(南関東4競馬場在宅投票システム)他による勝馬投票券売上が引き続き順調に推移したことにより、前年度を上回る売上を確保した。


[公営競技事業]
売上高は234億5600万円(前期比11.7%増)、セグメント利益は110億4700万円(同12.1%増)となった。

大井競馬では、無観客を含め計98日開催され、浦和競馬、船橋競馬、川崎競馬の大井場外発売は新型コロナウイルス感染拡大の影響及び大井競馬場内の4号スタンドをワクチン集団接種会場として提供したため、休止となった。

この間、SPAT4では、全国の地方競馬を1万4524レース発売し、SPAT4のポイントサービスである「SPAT4プレミアムポイント」において様々なキャンペーンを展開したほか、南関東4競馬場公式ウェブサイト「nankankeiba.com」のリニューアルやSPAT4における決済銀行の追加などを実施し、新規顧客の獲得と利便性及びサービスの向上に努めた。

これらの取り組みの結果、12月29日に大井競馬場で行われた「第67回東京大賞典」競走では、1レースの勝馬投票券売上が69億円、同日の総売上が104億円を記録するなど、地方競馬における売上レコードをそれぞれ更新した。

また、大井競馬場においては、今後の国際交流競走実施等を見据え、現行の右回りレースに加え、新たに左回りレースの実施を可能とするための各種設備を新設し、11月19日に初めての左回りレースとなる「Make New Way賞」が実施した。

さらに、安全対策として放馬リスクに対応するための厩舎地区防護柵設置や再発防止に向けた訓練等を行った。

このほか、今季で4年目となるイルミネーションイベント「東京メガイルミ2021-2022」については、これまでの広報活動や演出・イベント等の見直しと強化を行ったうえで、10月16日の営業開始以降、12月末時点に至るまでの入場人員は14万人を超え、過去最高を記録した。

伊勢崎オートレースでは、115日開催され、他場の場外発売は延べ272日実施した。この間、新型コロナウイルス感染拡大の影響により、一時無観客開催となったが、勝車投票券売上については、インターネット投票の伸びにより堅調に推移した。

このほか、オートレース場内に併設する場外勝馬投票券発売所「オフト伊勢崎」、「J-PLACE伊勢崎」については、緊急事態宣言の発令に伴い、一時営業を休止したが、感染防止対策を徹底したうえで営業を再開した。

 ▲写真は編集長がコロナ禍以前に趣味で撮影したもので記事の内容とは直接関係ありません。


[遊園地事業]
東京サマーランド及び各施設の入場人員は前期比16.5%増となる52万人となり、遊園地事業の売上高は17億5200万円(前期比29.8%増)、セグメント損失は4億2700万円(前期はセグメント損失9億8200万円)となった。

東京サマーランドでは、園内整備等に伴う冬季休園期間を経て、3月1日より2021年度の営業開始予定であったが、新型コロナウイルス感染防止の観点から入場者数を制限し、3月26日の営業開始となった。

この間、夏季期間における混雑の分散とユーザーが安心・安全・快適に過ごせることを目的に、平日の入場料金をお得に設定したバリアブルプライシング(変動価格制)を導入したほか、屋外プールエリアに“リラックス&リゾート"をコンセプトとした新エリア「AOZORA PARK(アオゾラパーク)」をオープンするとともに、ドライブインシアターなどの各種イベントやテレビ番組制作会社への会場貸しの実施、レンタルカート事業者へ一部駐車場を賃貸するなど施設の有効活用と価値向上に努めた。

なお、東京サマーランドは整備改修工事のため9月30日をもって2021年度の営業を終了した。

このほか、アウトドア複合施設「Wonderful Nature Village(わんダフルネイチャーヴィレッジ)」をはじめとした各施設では、感染防止対策を徹底したうえで営業を行った。


[倉庫賃貸事業]
倉庫賃貸事業の売上高は48億8300万円(前期比1.3%増)、セグメント利益は29億3600万円(同3.1%減)となった。

勝島地区において、昨年より建設を進めてきた免震構造を取り入れた新倉庫「5号倉庫」が8月末に竣工し、9月1日より稼働を開始した。

また、5号倉庫の竣工稼働を契機に、京浜運河沿いの倉庫にライトアップを施した「東京倉庫ライトアップ―ヒカリノソウコ―」を展開し、運河の明るさや街の賑わいを創出することで勝島地区の活性化に貢献している。

このほか、マルチテナント型倉庫内の大型エレベーター及び平和島地区倉庫の高圧受変電設備の改修工事を実施するなど、施設の利便性と安全性の向上に努めた。


[サービス事業]
売上高は20億3800万円(前期比3.8%増)、セグメント利益は4億3300万円(同2.3%減)となった。

オフィスビル「ウィラ大森ビル」、大井競馬場前ショッピングモール「ウィラ大井」において、安定的な収益確保に努めたほか、コイン洗車場「カーウォッシュ大井」では、サービスの拡充に努め、需要の高まりとともに利用者数が増加した。
空調設備事業においては、新型コロナウイルス感染拡大の影響による工事の延期や中止が発生したが、その延期分を含め、12月竣工の案件が集中したことなどから、最終的な売上は前年を上回る形で推移した。


■2022年12月期の見通し
続く2022年12月通期の業績については、売上高350億2300万円(前期比10.1%増)、営業利益131億3100万円(同2.6%増)、経常利益131億1500万円(同2.1%増)、最終利益82億1400万円(同9.6%減)、EPS289.73円を見込む。

・売上高:350億2300万円(同10.1%増)
・営業利益:131億3100万円(同2.6%増)
・経常利益:131億1500万円(同2.1%増)
・最終利益:82億1400万円(同9.6%減)
・EPS:289.73円