【決算レポート】エイチーム、第2四半期(11~1月)は8.9億円の営業赤字に…『FFVII ザ ファーストソルジャー』の費用が先行 NFTゲーム・メタバースへの参入発表
エイチーム<3662>の2022年7月期の第2四半期(11~1月)の連結決算は、エンターテインメント事業で2021年11月にリリースした『FINAL FANTASY VII THE FIRST SOLDIER(ファイナルファンタジーVII ザ ファーストソルジャー)』の開発費および広告宣伝費の計上により大幅な減益となった。
売上高76億4700万円(前年同期比3.6%増)
営業損益8億9100万円の赤字(前年同期1億5700万円の赤字)
経常利益8億9400万円の赤字(同3000万円の赤字)
最終損益5億8400万円の赤字(同4億8300万円の黒字)
ライフスタイルサポート事業は、Googleアルゴリズムアップデートによる影響で金融メディアが減収となったものの、車の査定・買取サイト「ナビクル」と新規事業の成長で前年同期比で増収増益となった。
プラットフォームビジネスについては、「ラルーン」が薬機法改正の影響によって広告単価が低下し減収となったものの、「Qiita Jobs」が12月に開催したイベント報酬により増収となった。
エンターテインメント事業は、既存タイトルのダウントレンドが続いていることに加え、それをカバーすることが期待された新作『FFVII ザ ファーストソルジャー』は売上の初動が鈍く、前年同期比で5.7%の減収となった。
さらに『FFVII ザ ファーストソルジャー』の広告宣伝費の計上もあり、大幅な赤字に転落した。
その『FFVII ザ ファーストソルジャー』は、てこ入れが進められており、2月28日にシーズン2がリリースされ、様々な新しい要素が追加された。次の四半期はこの成果が出てくるのかどうか、その真価が問われるところだ。
これから様々なコラボやアップデートを実施して盛り上げるとともに、課題を抱えるマネタイズ面での改修も進めていくとしている。
また、同社はNFTゲーム・メタバースへの参入に向けて準備を開始したことを明らかにした。これまでに培ってきた「豊富なグローバルパブリッシング経験」「多種多様なジャンルの開発実績」「日本初の大規模バトロワ開発」という3つの強みを生かし、新領域となるNFTゲーム・メタバースへの参入を目指すという。
同社は、新規開発パイプラインを4本としているが、うち1本がNFTゲーム、同じく1本がメタバース領域に向けた自社オリジナルの開発プロジェクトとなっている。どちらもまだ開発前の準備中というステータスだが、その今後の動きに注目したい。なお、NFTゲームについてはこれまでも基礎研究は進めていたとのことで、今期から来期にかけてのタイミングでのリリースを目指して開発を進めているという。
EC事業については、「cyma-サイマ-」が車体ごとの販売価格の見直しにより販売台数が増加したことに加え、モール型ECサイトでの販売が好調に推移したことにより増収となった。ただ、販売価格見直しの反動による利益率低下に加え、新規サービス「Obremo」
への投資もあり、赤字計上となっている。
なお、同社は第2四半期決算の発表と同時に非開示としていた2022年7月期通期の連結業績予想を発表。下期は、上期で生じたエンターテインメント事業での一時投資(約12億円)の負担が解消されることに加え、第3四半期ではライフスタイルサポート事業およびEC事業が例年繁忙期にあたるため、収益回復を見込んでいる。しかし、上期の赤字分をカバーするには至らず、各利益項目とも赤字計上となる見通し。
売上高325億円(前期比4.0%増)
営業損益7億円の赤字(前年同期7億100万円の黒字)
経常損益7億円の赤字(同8億9500万円の黒字)
最終損益8億5000万円の赤字(同8億7700万円の黒字)
ただし、配当予想については、配当方針である継続的かつ安定的な株主還元を目指し、2021年7月期から据え置きの1株当たり16円の予想としている。
会社情報
- 会社名
- 株式会社エイチーム
- 設立
- 2000年2月
- 代表者
- 代表取締役社長 林 高生
- 決算期
- 7月
- 直近業績
- 売上高239億1700万円、営業利益5億6200万円、経常利益6億900万円、最終利益9億5300万円(2024年7月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3662