【決算まとめ①】ゲーム関連企業37社の4~6月…TCG好調のブシロードの業績が好転 サイバーエージェントは『ウマ娘』周年の反動が響く ドリコムは四半期最高益を更新
主要モバイルゲーム企業の2022年4~6月期の決算を振り返りたい。この時期は新型コロナウイルス感染症の第6波が収束に向かいつつもやや燻った状態で、次の第7波に本格的に入る前というタイミングになる。3年ぶりの行動制限なしのGWを迎えた状態で、経済活動に重きを置く、そんな方向に舵を切り始めた状況だった。
では、そうした中でゲーム関連企業への影響はというと、イベントなど周辺施策の展開には追い風となったものの、いわゆる巣ごもり需要を享受していた部分ではマイナスの影響を受けるケースも見受けられた。
また、ブロックチェーンやメタバースなどの展開をweb3.0として、新たな注力分野とする企業がさらに増えてきており、早い企業はその動きが次第に形として出てき始めていることもこの四半期の特徴だろうか。
さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では4~6月期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>の決算は2~4月期の数字を使用している。
なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。
■TCG好調のブシロードの業績が好転 サイバーエージェントは『ウマ娘』周年の反動が響く
四半期推移(QonQ)で業績の好転が目立っているのはブシロード<7803>だろう。同社は、「ヴァイスシュヴァルツ」や「カードファイト‼ ヴァンガード」「Shadowverse EVOLVE(シャドウバース エボルヴ)」などのトレーディングカードゲーム(TCG)が好調に推移したほか、音楽やスポーツなどライブIP事業が回復基調に入ったことが貢献し、通期でも過去最高の売上高、利益を記録した。
また、8周年を迎えた主力IPタイトルがグローバルで好調に推移するなどゲーム事業が好調に推移したことに加え、一部不採算タイトルのクローズで採算性が向上したことで、四半期ベースの過去最高利益を更新したドリコム<3793>も2023年3月期の順調なスタートを切ったと言えるだろう。
この四半期決算では、37社中の14社が増収、23社が減収と減収となった企業が多かった。サイバーエージェントのゲーム事業は、主力の『ウマ娘 プリティダービー』が前四半期に初の周年を迎え、その記念イベントを実施していた反動が大きく出る形となっている。
一方、営業利益については、こちらも17社が増益(赤字幅の縮小を含む)、20社が減益と減益が優勢となった。DeNA<2432>とセガサミーHD<6460>が大幅黒字転換した一方で、colyや東京通信<7359>などニューフェースの企業が次の成長に向けた投資の局面を迎えるケースが目立っている。
なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。
増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、ボルテージ<3639>、KLab<3656>、エイチーム<3662>、enish<3667>、アエリア<3758>、ドリコム<3793>、モバイルファクトリー<3912>、ブシロード<7803>、カプコン<9697>
増収減益…マイネット<3928>、アピリッツ<4174>
減収増益…gumi<3903>、セガサミーHD<6460>、バンダイナムコHD<7832>、マーベラス<7844>、スクエニHD<9684>
減収減益…ミクシィ<2121>、ネクソン<3659>、モブキャストHD<3664>、コロプラ<3668>、オルトプラス<3672>、ケイブ<3760>、ガンホー<3765>、カヤック<3904>、Aiming<3911>、アカツキ<3932>、coly<4175>、ワンダープラネット<4199>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、イマジニア<4644>、サイバーエージェント<4751>、ギークス<7060>、東京通信<7359>、コナミグループ<9766>
会社情報
- 会社名
- 株式会社サイバーエージェント
- 設立
- 1998年3月
- 代表者
- 代表取締役 藤田 晋
- 決算期
- 9月
- 直近業績
- 売上高7202億0700万円、営業利益245億5700万円、経常利益249億1500万円、最終利益53億3200万円(2023年9月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 4751
会社情報
- 会社名
- 株式会社ドリコム
- 設立
- 2001年11月
- 代表者
- 代表取締役社長 内藤 裕紀
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上高97億7900万円、営業利益9億300万円、経常利益7億9300万円、最終利益1億400万円(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3793
会社情報
- 会社名
- 株式会社ブシロード
- 設立
- 2007年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 木谷 高明
- 決算期
- 6月
- 直近業績
- 売上高462億6200万円、営業利益8億8200万円、経常利益18億9800万円、最終利益8億400万円(2024年6月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 7803