【決算レポート】ワンダープラネット、第4四半期は『アリフィ』寄与で大幅増収も計画未達で赤字に 広告宣伝費も計画超過 『このファン繁体字版』は11月にサービス終了へ
ワンダープラネット<4199>の2022年8月期の第4四半期(6~8月)の決算(非連結)は、新作『アリスフィクション』(以下『アリフィ』)の寄与で増収となったものの、その『アリフィ』と既存タイトルがともに当初計画を下回ったことで、『アリフィ』の広告宣伝費増加をカバーすることができず、赤字に転落した。
なお、最終損益は前年同期は一部税負担の調整があって増加していた一方、この四半期は繰延税金資産の回収可能性について慎重に検討した結果、繰延税金資産を一部取崩し、法人税等調整額5億9141億9000円計上したことが影響している。
売上高12億8100万円(前年同期比55.6%増)
営業損益7億5700万円の赤字(前年同期4000万円の黒字)
経常損益7億6000万円の赤字(同3700万円の黒字)
最終損益15億1500万円の赤字(同5億4900万円の黒字)
7月27日にリリースした新作『アリフィ』については、直近市況下のユーザー獲得にあり、費用面でも広告投資によるユーザー獲得効率が事前想定を大幅に下回り、想定していたユーザー数獲得に至らなかった。そうした中で、リリース直後の一定程度のユーザー基盤の確保を優先し、通期で4億4000万円と想定していた広告宣伝費が計画超過の8億3000万円に膨らむ結果となった。
今後は最も広告効果の良い日本市場を軸に売上シェア維持向上を図っていく。また、2023年以降におけるIPコラボ展開によってユーザーの拡大を図る方針だ。
次に既存タイトルの動向を見てみると、『クラッシュフィーバー』は日本版7周年イベントや海外版含めた IPコラボイベントなどを実施して一定の効果は得られたものの、第3四半期までの下方トレンドを挽回するには至らなかった。
また、LINEとの協業タイトル『ジャンプチ ヒーローズ』は、日本版で「2000万DLイベント」を実施したほか、繁体字版で「3周年イベント」などを実施し、通期でおおむね計画通りの推移となった。
『このファン繁体字版』は、2021年9月のリリース以降、ユーザー数の減少が続いており、各種イベントやIPコラボを開催したものの十分な効果を得られず、通期の業績予想を売上高、営業利益ともに下回った。こうした状況を受け、2022年11月にサービスを終了することを決定した。
新作については、コンシューマー系ゲーム開発会社との共同事業新規タイトルが現在開発中となっている。長期運営型のスマホゲームとして、パブリッシングをワンダープラネットが担当し、世界同時運営を行う予定だ。
また、ブロックチェーンゲームへの参入を準備しており、7月13日付でシンガポール子会社WPBCがGame Changer (SGP)とグローバルエリアにおけるブロックチェーンゲームの共同事業に関する基本合意書を締結した。
そのほかのトピックとしては、9月1日付で組織体制の変更を実施した。名古屋スタジオ、東京スタジオのスタジオ制を廃止し、ユニバーサルゲーム事業部とグローバルマーケティング&クリエイティブ事業部を新設した。全社横断的な組織構造にすることによって、拠点にとらわれず事業の強みを発揮できる体制の実現を目指していくという。
なお、2023年8月期通期の業績見通しは非開示。現時点で適正かつ合理的な業績予想の算定が困難であるため、としている。
会社情報
- 会社名
- ワンダープラネット株式会社
- 設立
- 2012年9月
- 代表者
- 代表取締役社長CEO 常川 友樹
- 決算期
- 8月
- 直近業績
- 売上高24億4900万円、営業利益1億2100万円、経常利益1億1300万円、最終利益9200万円(2024年8月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 4199