【決算レポート】トーセ、第4四半期は運営売上の減少などで減収も営業益は29%増に 開発の効率化による利益体質の強化が進む 『DQトレジャーズ』の開発を進行中

柴田正之 編集部記者
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トーセ<4728>の2022年8月期の第4四半期(6~8月)の連結決算は、モバイルコンテンツ関連の運営売上が減少した影響などにより前年同期比で減収となったものの、開発の効率化など利益率の向上に努めた結果、大幅な増益となっている。

売上高16億5700万円(前年同期比5.9%減)
営業利益2億500万円(同29.7%増)
経常利益2億2500万円(同34.7%増)
最終利益1億4100万円(同15.6%増)

主力のデジタルエンタテインメント事業の通期での売上構成を見てみると、ゲームソフト関連は前期から継続して取り組んでいる複数の家庭用ゲームソフトの大型開発案件を着実に進行させたことなどにより前々期比で増収となった。

一方で、前連結会計年度中に運営終了となった大型ゲームが2件あったことや、開発途中に中止となった案件があったことにより、モバイルコンテンツ関連は減収となっている。

その他事業については、SI事業を取り扱うBTDスタジオがコーポレート部門と協力して自社の業務システムを開発していた影響でSI関連事業の受注案件が減少した。しかし、これはその業務システムの導入によるバックオフィスの利便性向上という形で、2023年8月期以降も寄与してくる見通しだ。

なお、デジタルエンタテインメント事業の第4四半期中の実績については、バンダイナムコエンターテインメントが6月に発売した家庭用ゲームソフト『SCARLET NEXUS』の開発を手掛けたほか、スクウェア・エニックスが12月6日に発売予定のNintendo Switch用ソフト『ドラゴンクエスト トレジャーズ 蒼き瞳と大空の羅針盤』の企画・開発に参画していることも明らかになっている。

重点施策としていた「成長性の高い事業と様々なIPを活用した事業への取り組み」では、メタバースおよびNFTに関連した事業開発を推進した。4月26日には、メタバース上で京都の観光や芸術を楽しむV-KYOTO構想の推進で京都市とANA HD、ANA NEOと連携することも発表している。

メタバースやNFTにおいては、連携がおもしろそうな多様なビジネスパートナーを探し、パートナー同士のコラボレーションなどで新しい付加価値を創出することを模索していく。

なお、2022年8月期通期の業績予想については以下の通り。適正な取引価格での開発案件の獲得や、開発の効率化により利益体質を強化していくとしている。

また、ハイエンド開発技術を要する案件を優先し戦略的に挑戦するほか、従来と異なる新規性がある案件も優先するなど、高度な開発技術への挑戦、新しい事業への既存技術の応用を進めていく方針だ。

売上高62億5600万円(前期比10.5%増)
営業利益5億8000万円(同23.6%増)
経常利益6億円(同018.6%増)
最終利益3億5200万円(同13.6%増)

株式会社トーセ
http://www.tose.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社トーセ
設立
1979年11月
代表者
代表取締役会長 齋藤 茂/代表取締役社長 渡辺 康人
決算期
8月
直近業績
売上高56億6200万円、営業利益4億6900万円、経常利益5億500万円、最終利益3億1000万円(2022年8月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
4728
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