KADOKAWA、第2四半期(4~9月)決算は売上高17%増、営業益33%増に 大ヒットを記録した『ELDEN RING』の海外向け出荷の関連収益が貢献

  • KADOKAWA<9468>は、11月2日、2023年3月期の第2四半期累計(4~9月)の連結決算を発表、記録的大ヒットとなった『ELDEN RING』の海外向け出荷に関連する収益などが寄与したゲーム事業がけん引役となり、大幅な増収増益を達成した。

    売上高1226億3900万円(前年同期比17.0%増)
    営業利益132億3700万円(同33.2%増)
    経常利益168億9700万円(同59.3%増)
    最終利益105億3700万円(同48.1%増)

    セグメントごとの状況は以下のとおり。

    ①出版事業 売上高661億4200万円(前年同期比1.6%増)、セグメント利益57億3200万円(同38.9%減)
    電子書籍・電子雑誌は、市場全体の成長が継続していることに加え、異世界ジャンルのコミックなど、同社が得意とする作品を中心に他社ストア向け販売・自社ストア売上が好調に推移し、増収となった。

    書籍は、北米の戦略子会社であるYEN PRESSを中心とした海外事業における高成長が継続した。国内では「20代で得た知見」(ノンフィクション)をはじめ、「オーバーロード(16)」(ライトノベル)、「ダンジョン飯(12)」「大蛇に嫁いだ娘(2)」(コミック)などの販売が好調に推移したものの、市場全体の縮小が継続していることや新刊点数が前年同期比で減少したこと、また人気タイトルの権利許諾収入による貢献が大きかった前期からの反動があったことなどにより、減収となった。

    費用面では、中長期的な成長を見据えたコンテンツや人材への積極投資や、国内の資材・印刷費、海外の物流費などが増加した。

    なお、さらなる返品削減、製造コスト削減、利益率の向上に向け、埼玉県所沢市において2021年4月より書籍製造ラインの稼働を開始し、文庫やライトノベル、新書、コミックス等のデジタル印刷による小ロット・適時製造を行っている。現在、製造ライン拡張を推進していることに加え、物流設備についても将来の稼働に向け、準備を進めている。

    ②映像事業 売上高189億5300万円(同16.7%増)、セグメント利益6000万円(同94.1%減)
    アニメでは新作本数の増加に加え、「オーバーロードⅣ」や「盾の勇者の成り上がり」などの国内向け配信売上や海外向け売上が伸長し、力強く成長した。実写映像では、増収となった一方で、一部の作品において一過性の評価減が発生した。

    ③ゲーム事業 売上高171億3700円(同255.1%増)、セグメント利益75億9200万円(前年同期比1,116.8%増)
    記録的大ヒットとなった『ELDEN RING』の海外向け出荷に関連する収益などが増収増益に大きく貢献した。また、共同・受託開発事業やスパイク・チュンソフトの新作も増収に貢献している。

    ④Webサービス事業 売上高115億4800万円(同5.3%増)、セグメント利益9億4200万円(同24.7%減)
    動画コミュニティサービスでは、動画配信サービス「ニコニコ」の月額有料会員(プレミアム会員)が9月末には136万人となり、前年9月末からは減少となったが、動画にアイテムを贈る「ギフト」や広告等の伸長により増収となった。各種イベントの企画・運営では、今後のクリエイター投稿とユーザー視聴のさらなる増加を企図した「ニコニコ超会議2022」をリアル会場でも開催した。コロナ禍ながら9.6万人が来場したことにより、チケット・物販売上が増収に貢献したが、大規模開催のための費用増加により、全体では減益となった。

    ⑤教育事業 売上高62億6500万円(同12.0%増)、セグメント利益13億1600万円(同13.7%増)
    クリエイティブ分野の人材育成スクールを運営するバンタンでは、ゲームクリエイターを多く輩出する「バンタンゲームアカデミー」をはじめ、前期の新コース設立や展開地域拡大などにより引き続き生徒数が増加し、増収増益に貢献した。また、インターネットによる通信制高校であるN高等学校・S高等学校でも生徒数が順調に増加しており、同校などに教育コンテンツ・システムの提供を行うドワンゴの収益貢献により、引き続き好調に推移した。

    ⑥その他事業 売上高は75億6500万円(同32.4%増)、セグメント損益17億8800万円の赤字(前年同期21億2200万円の赤字)
    IP体験施設の運営は、角川武蔵野ミュージアム、アニメホテル、イベントホール、飲食店などの商業施設を展開するところざわサクラタウンにおけるイベントが好評を博し、レジ通過者数や来場者一人当たりの購買回数が直近四半期において過去最高を記録したことにより、増収となった。MD事業は、EC販売を中心に増収となった。

    ■通期予想は変更なし
    2023年3月期通期の連結業績予想については、従来予想から変更なく、以下のとおり。

    売上高2381億円(前期比7.6%増)
    営業利益178億円(同3.9%減)
    経常利益177億円(同12.4%減)
    最終利益124億5000万円(同11.6%減)

株式会社KADOKAWA
http://www.kadokawa.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社KADOKAWA
設立
1954年4月
代表者
代表執行役社長CEO 夏野 剛/代表執行役CHRO兼CLMO 山下 直久
決算期
3月
直近業績
売上高2554億2900万円、営業利益259億3100万円、経常利益266億6900万円、最終利益126億7900万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
9468
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