【連載】中山淳雄の「推しもオタクもグローバル」第45回 “中国で最も有名な外国人作家"東野圭吾、1,000万部販売の秘密とその舞台化ビジネス

中山淳雄 エンタメ社会学者&Re entertainment社長
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中国市場の巨大さは論をまたないが、コンテンツ業界も日本と比較するとゲーム市場が3倍、音楽市場が4倍、映画市場が5倍にもなり、ここ10年で世界で最も注目を浴びているエンタメ市場であることは論をまたない。だが、その実態に迫るのは困難だ。言語も文化も規制も幾重にもハードルがあり、アニメもゲームもマンガも多大な努力を傾け、そして失敗してきた。そうした中、ここ10年の間に「小説」が驚異的な実績を上げているのが東野圭吾作品である。中国でミステリーといえば、アガサ・クリスティか東野圭吾が2大ジャンルとなっており、上海の本屋にいけば「東野圭吾コーナー」のない本屋が珍しいほど。もちろん日本でも知られる超有名なミステリー作家、「容疑者Xの献身」「ナミヤ雑貨店の奇蹟」は多くの人が映画・ドラマ・小説で目にしてきているはず。映像コンテンツ以上に海外化のハードルの高いテキストコンテンツで、なぜいま東野圭吾が流行し、また舞台演劇の世界を席巻しているのか?今回、謎多き「中国舞台演劇市場」の実態に迫った。

 

<東野圭吾主要作品一覧>
■『秘密』(1998)―文藝春秋、第52回日本推理作家協会賞
⇒映画:1999年東宝による日本映画化(主演:広末涼子)
⇒映画(仏国):2007年フランス映画化【中国興収4.4百万ドル】
■『白夜行』(1999)―集英社、200万部超
⇒舞台:2005年劇団スタジオライフによる日本舞台化
⇒ドラマ:2006年TBSによるテレビドラマ化(主演:山田孝之)
⇒映画(韓国):2009年韓国映画化
⇒映画:2011年ギャガ・コミュニケーションズによる日本映画化(主演:堀北真希)【日本興収4億円】
■『容疑者Xの献身』(2006)―文藝春秋、1998年『探偵ガリレオ』に始まる“ガリレオシリーズ"第3作、第134回直木賞、第6回本格ミステリ大賞
⇒ドラマ:2007年からフジテレビによるテレビドラマ化(主演:福山雅治)
⇒映画:2008年東宝による日本映画化【日本興収49億円】
⇒映画(韓国):2008年に韓国映画化【韓国興収10百万ドル】
⇒映画(中国):2017年に中国映画化【中国興収58百万ドル】
⇒舞台:2009年にキャラメルボックスによる日本舞台化
⇒舞台(中国):中国で舞台化『聖女の救济』
■『ナミヤ雑貨店の奇蹟』(2012)―角川書店、第7回中央公論文芸賞受賞
⇒映画:2017年KADOKAWA/松竹による日本映画化(主演:山田涼介)【日本興収10.9億円】
⇒映画(中国):2017年に中国で『解忧杂货店』として映画化【中国興収35百万ドル】
⇒舞台:2013年にキャラメルボックスによる日本舞台化
⇒舞台(中国):2017年に中国で舞台化
■『祈りの幕が下りる時』(2014)―講談社、1986年『卒業―雪月花殺人ゲーム』に始まる“加賀恭一郎シリーズ第10作、第48回吉川英治文学賞受賞
⇒映画:2018年東宝による日本映画化(主演:阿部寛)【日本興収15.9億円】
⇒舞台(中国):『新参者』、『虚ろな十字架』が舞台化済。『祈りの~』も2022年末からスタート


 

■日本史上ギネスをダブルスコアで上回る中国での空前絶後の東野圭吾ブーム。外国人作家ダントツ1位で年間印税4億円

――:今回お三方にお話を聞くことになります。自己紹介からお願いいたします。

刘方祺(りゅう ふぁんき)と申します。舞台監督をやっております。上海戯劇学院卒業後に渡仏して、シャルル・ド・ゴールリール第3大学文化芸術計画管理大学院を出て、その後20年近く演劇監督をやってきました。中国最大のSF小説となった「三体」を代表に、冒険ものの小説の舞台化などを手掛けてきており、東野作品に関しては2017年に『解忧杂货店(ナミヤ雑貨店の奇蹟)』を制作しました。



齐雯雯(さい うぇんうぇん)と申します。これまでは『盗墓筆記』などの舞台製作を手掛けてきました。東野作品に関しては3作品やってきまして、加賀シリーズである『新参者』、ガリレオシリーズの『聖女の救济』、そして『虚ろな十字架』をプロデュースしてきました。この秋にさらにもう1作品、『祈りの幕が下りる時』を舞台化しました。

 

大里大里雄二と申します。大学卒業後15年ほどKONAMIに勤めており、中国や東南アジア向けにゲーム事業の立上げをしておりました。中国で音楽ゲームポータルそのものを立ち上げようとした時代もあったり、そうした試行錯誤のなかでお会いしたのが、中山さんにも以前取材いただいたアクセスブライトの柏口さんです。2016年から5年ほどアクセスブライトで本格的に日中エンタメビジネスに携わり、アニメ「君の名は」中国配給や「乃木坂46」「米津玄師」等人気アーティストの中国ライブ、「ナミヤ雑貨店の奇蹟」他東野圭吾作品の中国舞台を手掛けておりました。現在は独立して日中エンタメビジネスを専業としており、日本IPの版権獲得や刘さん・齐さんと共に中国舞台興行の制作をしております。

 

――:今回、大里さんにご調整いただいて、「中国の小説舞台化ブームを解き明かす」と題して通訳の方もいれて今回のインタビューが実現いたしました。そもそも、どのくらいのブームなんでしょうか?

大里:日本ではあまり知られていないかもしれませんが、東野圭吾さんの作品はここ10年中国で大ブームでして。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』は中国で2015年セールストップテンの第2位に入ってから3年連続TOP3でした。「白夜行」や「容疑者Xの献身」など他の作品も軒並みランキング入りしていました。「好きな人気作家ランキング」でも2017~19年と3連続で1位、あの村上春樹氏もおさえています。『ナミヤ雑貨店の奇蹟』はこれまで全世界で1300万部以上売れているのですが、日本や韓国の発行部数を引いても、中国で1000万部ぐらいは売れているかと思います。

――:え、1,000万部!?日本のなかの歴代ギネスが『窓際のトットちゃん』580万部とか、『五体不満足』『バカの壁』で400万部越えとかですよね。日本史上最高をダブルスコアで超えている、という、、、

大里:はい、凄いですよね。日本でみたことのない数字のオンパレードです。


――:なるほど、凄いですね。確かに東野圭吾さん、2017年度に中国における印税が約42百万元(約8億円)で村上春樹さんや、「中国で最も稼ぐ外国人作家」でいうと今までずっと1位だったハリーポッターのJ.K.ローリングを抑えて第1位となっています。ドラマ・映画など映像化されていることも大きいかとは思いますが・・・正直にわかに信じがたいほどの結果ですね。日本でも過去20作がテレビドラマ化、映画化は22作もされていて、興収合計340億円超。日本でも日本推理作家協会理事長をされたり、ミステリー作家の第一人者ですが、こうしてみると中国のほうが映画の収益はもはや大きいんですね。2015~19年あたりで完全に中国でもトップ作家になったということですね。


『容疑者Xの献身』
2008年東宝【日本興収49億円】、2017年に中国映画化【中国興収58百万ドル】

『ナミヤ雑貨店の奇蹟』
2017年KADOKAWA/松竹【日本興収10.9億円】、2017年に中国映画化【中国興収35百万ドル】


 

■西のアガサ・クリスティー、東野圭吾:上海の本屋には必ずある東野コーナー

――:そもそも中国で「舞台演劇」の世界がどのようになっているのでしょうか?市場の成り立ちも含めてお聞きしたいです。

:私は2003年から舞台の仕事に関わってきており、中国でも最大のマーケットとなる上海でやってきましたので、今回は上海の状況についてお話しますね。2006年以前は実は中国政府が国営でつくっていた舞台がほとんどで、そもそも民間の団体がありませんでした。

――:意外に新しいんですね!伝統的な「京劇」などですよね。

:そうなんです、2006-07年ごろに民間団体が出始めて、当時は200~250人くらいの小さなステージで始まりました。脚本は欧米の有名作品や中国の文学作品、コメディものなど、日本系はかなり少なかったですが90年代の日本ドラマを脚本化したものなどもありました。ですので、中国における舞台演劇元年は2007年ということになります。

――:いつごろから市場として大きくなってきたのですか?

:1000名サイズのハコが埋まるようになってきたのはわりと最近で、2009~2010年ごろでしょうか。

――:中国映画興行市場と近い立ち上がりに感じます。小説や映画など色々な経路があると思うのですが、お二人はそもそもいつごろから東野さんの作品に興味を持たれていたのですか?

『白夜行』の映画をみたのが最初ですかね。2010年ごろでした。日本の小説はもともと好きで、村上春樹/太宰治/カズオイシグロ/伊坂幸太郎などを読んできました。

:私は高校生のころから、ずっと小説を読んできた大ファンだったんです。1997年ごろに最初に『白夜行』を小説で読んでいた以来、東野作品には全て目を通してますね。他の日本発の小説ですと、村上春樹さんの作品も好きですね。

大里:ちなみに太宰作品は、著作権切れで出版が活性化しているのか、「人間失格」が今中国でめちゃくちゃ売れてます。ランキングでもトップにきたりしています。

――:中国は一大市場ですが「ゲーム」「映画」「アニメ」に関しては、外資作品の数量を制限する「総量規制」の壁にここ10年くらいずっと苦しんできました。中山もゲームの中国市場展開化をしていったのですが、版号がとれる(ゲームリリースが許可される)まで膨大な時間を要してきました。小説や舞台演劇の世界では、こうした「総量規制」というのはないのでしょうか?

:海外からの映画・ドラマはおっしゃるようにCensorship制度があります。小説や舞台もCensorship制度はありますが、そうした数量による規制はないですね。

大里:映像化では審査が通らない作品も舞台化では大丈夫という事がありますね。


――:そうなんですね!意外な市場チャンスがあるのは知りませんでした。小説でいう「ミステリー」というジャンルは中国で流行しているのでしょうか?

:東野作品以外ももちろんたくさん作家がいますよ。伊坂幸太郎、江戸川乱歩。それでも東野圭吾は別格なんです。

上海で本屋に行くと、どこでも「東野圭吾コーナー」があります。「ミステリー」というジャンルを飛び越えて。個人名でコーナーがあるのは東野圭吾のほかには欧米でいうとアガサ・クリスティーぐらいでしょうか?
 

▲上海にある書店の「東野圭吾コーナー」

――:なぜ東野作品は中国で流行っているのでしょうか?

:1つには「作品の力」ですよね。「白夜行」も「容疑者Xの献身」も「ナミヤ」も、こんなに4つも5つも続けて良質な作品を生み出せる作家は中国にはほとんどいません。もう1つは「背景の共通性」という点もあるかと思います。欧米モノに比べると、中国人からみて日本モノは違和感なく共感しやすいんです。病院とか学校とか、そうした背景にあるものの共通性が、中国で人気がある理由の一つですね。

:私も刘さんの意見に同意です。

大里: 私がよく聞くのは、東野さんの作品は人間ドラマとミステリーが両方素晴らしいと。どちらか一方ではなくて両方。ここまでミステリーで人間ドラマを描く作家さんは中国では居ないようですね。

――:中国で「ミステリー」自体が流行しているのですか?

:小説としては以前から人気のあるジャンルでしたね。ただ中国として本格的にこのジャンルが開拓されたのは、「白夜行」でその後「容疑者Xの献身」などで広がってきたと思います。

中国人の作家も多いのですが、1-2作出したら「消化」されてしまう傾向があって、たくさんデビューをするけれど、ほとんどの作家が忘れ去られてしまうのです。そうした中で東野圭吾さんのように継続的にこれだけのクオリティを担保し続けている作家はいません。

 

■舞台演劇1ヒット作で10億円規模。日本の10倍サイズになるライブエンタメの世界 

――:舞台を1回やるとどのくらいのサイズになるのでしょうか?

:三体の場合ですと1300~1500人規模のハコで、上海以外の中国全土をまわって100~120回開催します。入場チケットが400~500元(0.8~1.0万円)ですので、全部あわせて10~20億円といった興収規模になります。

――:かなり大きいですね!日本だと中規模でも500~1000人規模のハコで2週間の間で15回くらい興行して、入場+物販で1万円としても「1億円」くらいの「興収」ですからね。東野作品はどうだったのですか?

:ナミヤ雑貨店の奇蹟(解忧杂货店)は大人気の作品で1,000人規模の舞台を150回開催しました。100回を超える興行になるのは人気作品だけですね。

:私の場合は過去3作品やっていますが、この3つあわせて1,000人規模のハコで200回近く行っているので動員数としては20万人を超えていますね。

――:ちょっと舞台というか映画のような規模ですね。日本で100回超の興行でいうと劇団四季の「ライオンキング」とか宝塚の「Sante!!」とか看板タイトル級ですし、芸能系だとジャニーズさんの「Endless Shock」くらいの規模になりますね。こちらはどのくらいの期間、上映されるのでしょうか?

大里3~5年くらいかけて、主要都市50か所くらい転々としながらまわります。キャストもずっと一緒ではなくて定期的に入れ替わります。有名な俳優さんもほとんど出さないですね。制作陣となるスタッフは同じですけどね。版権としても数年間の長期契約を取得します。

――:回転数もハコも大きいですが、期間も含めて桁違いです。さすがに中国とはいえ、舞台演劇を5千人とか1万人のハコで興行したりといったことはないんですか?

:1,000人規模が普通で、大きくても2000人は越えないですね。それを超える規模の会場ではステージ上が見えないので舞台演劇の世界には適切でないですし、結局座席も埋まらないんですよ。無理して2000座席のところでやっても、結果1500人までしか埋まらない、といったこともよくあります。

▲「ナミヤ雑貨店の奇蹟」公演ロードマップ(一部都市)
※アクセスブライト社プレスリリースより

――:観客が女性中心というのは、中国も同じでしょうか?

:はい、中国も8割は女性ですね。

――:舞台のオンラインでの配信ライブはないですか?日本ではこの3年間コロナ過でどんどん普及しています。

:それは興味深い事例ですね。映像配信をやっちゃうとハコが埋まらなくなりませんか?1チケットいくらぐらいで販売していますか?

――:舞台の入場チケットが7千円~1万円くらいですが、配信になると2千円とかですかね。音楽コンサートのほうがメインですけど、舞台演劇でも同時配信をしているところは結構あります。

:これは結構中国と日本で違うところかもしれませんね。中国だと映像配信はほぼやってないです。金額も配信で2千円というのは、ずいぶん高いと感じます。

大里:ここは文化差がありそうです。ライブの入場券には1万円を払う中国でも、映像配信になった瞬間、"安いものだ"という感覚があるんですよね。恐らく数百円単位などのもっと安いやすい配信サービスが一般的に普及しているからだと思いますが。

――:IP系のお話を伺ってきましたが、舞台オリジナルの作品などもあるのでしょうか?

:昔はありましたけど、少なくなってきてます。基本的にはIPものが主流ですね。

――:それは中国のゲーム・映画などとも近いですね。舞台化許諾の脚本は出版権をもっている出版社に取りにいっているわけですね。

:我々もその部分は言語の壁、文化の壁があり難易度が高く、大里さんにご一緒いただいております。

大里:中国での舞台化権を獲得する形です。私は東野作品を中心に舞台化権獲得をし、制作顧問として公演にも携わっています。日本だと1作品15回とか20回とかそのくらいですが、中国では100回以上の規模になりますので、許諾料もそれなりですし、日本の出版社さんにとっても良い案件になっていると思います。

――:コストはどうなるのでしょうか?日本でその1億~数億円といった興行を実現するために中小規模でも3000~5000万、わりと大きめだと1億円以上かけた舞台製作もあります。

:それは中国も同じくらいかもしれませんね。東野作品ですと初期制作費は300万元(約6000万円)くらい、三体などは映像をリッチに作り込むので1000万元(約2億円)ぐらいかかりました。

――:版権ロイヤリティはどのくらい、というのはさすがに聞けませんよね?笑

大里:それはさすがに笑。まあそれでも映画化権を取るコストに比べると安いことは確かです。

 

――:こうした中国舞台演劇産業はいただいた資料ベースですとこんな具合です。日本の舞台演劇をすでに大きく上回っています。

 

 

■弱まる日系企業のプレゼンス、売上200億円・利益80億の巨大演劇集団

――:中国で舞台演劇の大手というと、どちらの企業になるのでしょうか?

:開心麻花(Mahua Fun Age)や齐さんも所属するShanghai Media Groupも入ります。
※2003年北京設立の民営劇団、20作以上のオリジナル演劇(コメディがほとんど)をもち、2018年時点で売上10億元(200億円)、純利益4億元(80億円)にもなる巨大な民営劇団。

――:演劇市場が10倍ということもあって、企業規模も相当なものですね。200億円という規模はちょうど劇団四季や宝塚と同レベルではありますが、その40%の利益率でみると日本とは比較にならない儲かり方をしています。齐さんのSMGグループにおける演劇部門も相当な人数なのでしょうか?

:そうですね、私と同じようなプロデューサーが4-5人はいますね。


――:お二人自体がちょっと中国舞台でいうとトップ・オブ・トップのプロデューサー・監督・演出家なのだとは思いますが、、、刘さんも監督作品の累計興収が2.5億元(50億円)ということで、舞台の世界でいうと破格の実績です。こうした中で日系企業で中国市場で存在感のある企業もあるのでしょうか?ネルケプランニングや東宝、宝塚など。

:ネルケプランニングさんはよく公演をしていました。ただコロナでここ3年はそういう展開のチャンスがなくなってしまいました。


――:アニメ版権を使った2.5次元ミュージカルで展開されてましたよね。こちらのジャンルは確立されてきているのでしょうか?

:『陰陽師』や『NARUTO』『セーラームーン』などもありましたよ。ネルケさんが色々トライされていましたが、東野圭吾小説の舞台などに比べると、まだまだジャンルにはなっていない印象でした。


――:やはり他の産業と海外の企業はなかなか入れないのでしょうか?

:フランスのミュージカルが結構入ってきたタイミングはありましたね。「赤と黒」とか「ノートルダム・ド・パリ」など、フランスのミュージカルは結構こちらでも人気になりましたね。比較すると日本の作品はまだまだ、といった印象です。


――:コロナの影響はどのくらい甚大だったのでしょうか?日本も2020年は昨対比6割減、いまも回復中ですが、2019年レベルにはまだ到達しておりません。

:もちろん舞台演劇なのでロックダウンが起きるたびに中止だったり、席が埋まらなかったりはあったんですが、ただ実は2020年ごろから公演自体は結構できていたんですよ。海外の劇団や海外の役者は難しかったのだと思います。売上はまだ全回復はしていませんが、この数年の間もずっと舞台興行はやってきましたし、最近ではもとに戻ってきた感があります。


――:なるほど、たしかに図でも2021年はすでに2019年を上回っていますし、日本よりも回復が早い印象です。これからもこの市場において、日本作品がもっと入り込んでいけるポテンシャルはあると思いますか?

:はい、そう思います。日本にはこれまで数多くの名作アーカイブが蓄積されています。東野作品のみならず、他の作品にもチャンスはあると思います。あと「ナミヤ」の中国舞台は出来も自信があって、逆輸入で日本の舞台市場でも同じものをやってみたいと思いますね。

大里:ぜひ「ナミヤ」中国版舞台をみてほしいなと思いますね。日本のものと比較しても、決して負けないクオリティになってますし、個人的には原作の面白さをより忠実に舞台に落とし込んでるなと思います。IP物の舞台化は中国のほうが上手いなと感じる事が多かったりするんです。ちょうどこの秋、齐さんと一緒に東野圭吾さんの「祈りの幕が下りる時」の舞台公演をしました。コロナ禍での新作舞台公演は、中国舞台市場のパワーを感じましたね。

:私は自分の作品を、ぜひ阿部寛さん(「祈りの幕が下りる時」等の加賀シリーズの主役)に見てほしいなと思ってます笑。絶対気に入ってくれると思うんです。

会社情報

会社名
Re entertainment
設立
2021年7月
代表者
中山淳雄
直近業績
エンタメ社会学者の中山淳雄氏が海外&事業家&研究者として追求してきた経験をもとに“エンターテイメントの再現性追求”を支援するコンサルティング事業を展開している。
上場区分
未上場
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