【決算まとめ①】ゲーム関連企業37社の1~3月…でらゲー寄与でケイブの業績が様変わり BOIは減収減益も『メメントモリ』ヒットの勢いを持続 KLabは運営タイトル減が響く

柴田正之 編集部記者
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主要モバイルゲーム企業の2023年1~3月期の決算を振り返りたい。この期間は新型コロナウイルス感染症の「5類」移行に向けた動きが進み始めた時期であり、イベント開催などの規制の緩和が徐々に進んだタイミングとなる。いわゆる正常化に向かっていく状況にあり、規制でダメージを受けていた企業は回復、逆に巣ごもりなどの恩恵を受けていた企業はそのはく落といった影響が広がっていることが想定される。

また、この期は最も多い3月決算企業の本決算に当たるため、ポストコロナとなる次の1年に向けた展望を各企業がどう描いているのかをじっくりと見極めたいところだ。

さて、今回も前回までの形と同じく、テーマごとに少し切り分け、この記事では1~13期の決算シーズンの主要モバイルゲーム企業の決算の概略をまとめてみたい。これまでの記事とデータの連続性も踏まえ、エイチーム<3662>とgumi<3903>、アピリッツ<4174>、coly<4175>の決算は11~1月期の数字を使用している。

なお、これまでと同様にサイバーエージェント<4751>(表中はCA)は、ゲーム事業の数字のみを取り上げている。また、今回は少し趣向を変えて、各企業の四半期推移(QonQ)での増収率・減収率で各企業を並べ替えてみた。良い意味でも悪い意味でも変化の大きい企業が見つけやすくなっているのではないだろうか。

■でらゲーを連結のケイブの収益が様変わり 運営タイトル減のKLabは苦戦が続く

この四半期の変化率という観点で目立つのは、やはりケイブ<3760>だろう。同社の第3四半期決算はでらゲーの子会社化の影響もあって売り上げ規模が様変わりし、各利益項目も四半期ベースでの大幅な黒字に転換した。また、今後の新作についてもでらゲーが進めていたプロダクトが加わってくる形になる。

大手ゲーム株ではコーエーテクモHD<3635>の好調ぶりが目立っている。モバイルゲームの売上高が四半期ベースで過去最高を更新するなど好推移が続いていることに加え、この四半期は『ライザのアトリエ3 ~終わりの錬金術士と秘密の鍵~』や『WILD HEARTS』などの新作の貢献で家庭用ゲーム売上高も大きく伸長している。

半面、苦しい状況なのはKLab<3656>だろう。不採算タイトルの撤退などにより運営本数が減少していることに加え、主力タイトルの1つである『キャプテン翼 ~たたかえドリームチーム~』の減衰トレンドが継続していることも収益に影を落としている。なお、足元では『ラブライブ!スクールアイドルフェスティバル』が3月にサービス終了となっており、新作などの動きが鮮明になるまでは当面厳しい状況が続くことも予想される。

■BOIは大幅減収減益もYonYでは『メメントモリ』ヒットの勢いを持続

この四半期決算では、37社中の18社が増収、19社が減収となり、増収と減収がほぼ拮抗した状況だった。また、営業利益については、20社が増益(赤字幅の縮小を含む)、17社が減益と増益となる企業がやや多かった。

前四半期に劇的な業績好転を遂げたバンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>は、新作『メメントモリ』の初速が大きかった反動もあり、この四半期はQonQで2ケタ超の減収減益となった。ただし、前年同期比(YonY)では売上高が722%増、営業利益は15億円の黒字に転換となっており、一定の勢いを持続していると評価することができそうだ。

なお、37社を売上高と営業利益の増減別に分けると、以下のようになる(並びはコード順)。

増収増益…ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>、グリー<3632>、コーエーテクモHD<3635>、ネクソン<3659>、コロプラ<3668>、アエリア<3758>、ケイブ<3760>、Aiming<3911>、アカツキ<3932>、coly<4175>、サイバーエージェント<4751>、ギークス<7060>、カプコン<9697>
増収減益…MIXI<2121>、エイチーム<3662>、モブキャストHD<3664>、マーベラス<7844>、コナミグループ<9766>
減収増益…オルトプラス<3672>、ガンホー<3765>、カヤック<3904>、マイネット<3928>、アピリッツ<4174>、ワンダープラネット<4199>、ブシロード<7803>
減収減益…ボルテージ<3639>、KLab<3656>、enish<3667>、ドリコム<3793>、gumi<3903>、モバイルファクトリー<3912>、バンク・オブ・イノベーション(BOI)<4393>、イマジニア<4644>、セガサミーHD<6460>、東京通信グループ<7359>、バンダイナムコHD<7832>、スクエニHD<9684>

株式会社ケイブ
http://www.cave.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社ケイブ
設立
1994年6月
代表者
代表取締役社長 秋田 英好/代表取締役CFO 伊藤 裕章
決算期
5月
直近業績
売上高122億7400万円、営業利益18億7000万円、経常利益19億4300万円、最終利益14億4100万円(2024年5月期)
上場区分
東証スタンダード
証券コード
3760
企業データを見る
KLab株式会社
http://www.klab.com/jp/

会社情報

会社名
KLab株式会社
設立
2000年8月
代表者
代表取締役社長CEO 森田 英克/代表取締役副会長 五十嵐 洋介
決算期
12月
直近業績
売上高107億1700万円、営業損益11億2700万円の赤字、経常損益7億6100万円の赤字、最終損益17億2800万円の赤字(2023年12月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3656
企業データを見る
株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
http://www.boi.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンク・オブ・イノベーション(BOI)
設立
2006年1月
代表者
代表取締役社長 樋口 智裕
決算期
9月
直近業績
売上高213億3300万円、営業利益49億円、経常利益49億2000万円、最終利益32億9300万円(2023年9月期)
上場区分
東証グロース
証券コード
4393
企業データを見る
コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高845億8400万円、営業利益284億9400万円、経常利益457億4100万円、最終利益337億9200万円(2024年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
企業データを見る