コーエーテクモHD、東証プライム上場維持基準への適合計画の進捗を発表 好決算と自社株買い駆使もCB転換進まず 流通株比率は31.9%にとどまる

コーエーテクモホールディングス<3635>は、この日(6月26日)、東証プライムの上場維持基準である流通株式比率35.0%への適合に向けた計画の進捗状況を発表した。同社の流通株式比率は、2023年3月末時点で31.9%となっており、現在も上場維持基準を満たしていない。同社では、東証に適合に向けた計画書を提出し、それに基づいて取り組みを進めている。

同社は、流通株式比率に関する上場維持基準の適合に向けた課題を流通株式数の増加とし、取組内容として以下の一連のスキームを実施している。このあたりの記載は、上場企業の資本政策の考え方を知る上でも興味深い。

 

【スキーム】
(1)2021年12月2日、総額460億円の転換社債を発行すると発表した。
(2)同時に990万0100株を上限とする自社株買いとともに990万株を買付予定数上限とする自社株公開買付けを実施すると発表した。
※筆頭株主である光優ホールディングスと、第2位株主である環境科学がそれぞれ773万6772株、126万3228株で応募する。
(3)転換社債の発行による調達資金を、公開買付けの買付資金に充当する。
(4)転換社債を所有する投資家が転換権を行使した場合には、投資家に対して同社が公開買付けにより取得した同社普通株式を交付する。

 

同社では、このスキームについて、株式の売出しのように一時的にまとまった株式数が市場に放出されることがなく市場価格や流動性に与える影響が小さいこと、転換社債を発行しその資金使途を自社株買いに充当することで財務的な負担が小さいこと、自社株買いでEPSやROEの向上につながること、といった利点をあげた。

なお、2023年3月末時点の流通株式比率が2021年6月末時点から減少しているが、これは株主構成の変動による差異となる。また、2023年3月末時点で、同社株価が転換価額を下回って推移していることから、転換権は行使されていない。

このスキームにおいては、同社普通株式の株価が低迷した場合、転換社債型新株予約権付社債の同社普通株式への転換が進まず、流通株式比率の向上が見込めない可能性がある。その場合の取組内容については、策定次第。開示するとのこと。

同社は、2023年3月期より開始した3ヶ年の第3次中期経営計画において、2025年3月期に売上高1000億円、営業利益400億円、経常利益500億円を計画している。その初年度である2023年3月期の業績は、売上高784億1700万円、営業利益391億3300万円、経常利益398億9900万円と売上高、営業利益は過去最高の業績を達成。

同社は、引き続き、本中期経営計画の達成による業績及び企業価値の向上に取り組むことで、本スキームを通じた流通株式比率に関する上場維持基準の充足を実現したい、としている。

コーエーテクモホールディングス株式会社
http://www.koeitecmo.co.jp/

会社情報

会社名
コーエーテクモホールディングス株式会社
設立
2009年4月
代表者
代表取締役会長 襟川 恵子/代表取締役社長 襟川 陽一
決算期
3月
直近業績
売上高784億1700万円、・営業利益391億3300万円、経常利益398億9900万円、最終利益309億3500万円(2023年3月期)
上場区分
東証プライム
証券コード
3635
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