【TGS2023】産学協同で生まれたゲームを出展…プロのゲーム制作現場への道も生まれたバンタンゲームアカデミー×NHN PlayArtのプロジェクトとは
ゲーム・eスポーツ・アニメ・ノベルの専門スクール「バンタンゲームアカデミー」は、9月20日から9月23日までの4日間、幕張メッセにて開催される「東京ゲームショウ2023」に出展した。
同校はこれまでも東京ゲームショウでは出展していたが、今回はゲーム開発・運営会社であるNHN PlayArtが協力プロジェクトとして行われている取り組みがある。
生徒たちの東京ゲームショウ出展に向けて制作するゲームに、NHN PlayArtがアドバイスをすることで、より実践的なゲーム制作を目指す取り組みというものだ。
以前にその取り組みを取材したが、本稿ではその後どのようなゲームになったのかを取材していく。
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VRから体験型ゲームの展示まで…若き可能性が溢れるゲームが展示
同校のブースでは、所属する生徒によって制作されたゲームが展示されていた。会場ではゲームが試遊できる他、制作した生徒のコメントなどが展示されていた。
展示されているゲームには、コントローラーで遊ぶPCゲームの他、VRを用いたゲームやホラーゲームの世界観に没入させるために実際の車椅子を用意した体験型ゲームなど様々なゲームが展示されていた。
今回、ゲーム制作プロジェクトに協力したNHN PlayArtの林氏と山下氏もゲーム試遊を行い、制作した生徒にアドバイスなども行っていた。
共同プロジェクトを通じてプロのゲーム制作現場への参加も
数多くのゲームが展示されている中、NHN PlayArtとの産学共同プロジェクトで制作されたゲームも展示されていた。
展示されたゲーム『ストライクウォーズ』は、ARを活用したエアホッケー形式のゲームとなっていた。
前回の取材時、バンタンゲームアカデミーが出展を考えているゲームのテーマでは“メンコ”がモチーフとなっていたが、制作過程にて変化があったようだ。
紆余曲折がある中、企画当初と異なる形にて、ユーザーに遊んでもらうゲームが生まれてくるというのも、ゲーム制作の妙と言えよう。
展示されたゲーム『ストライクウォーズ』では、2プレイヤーによる対戦形式となり、それぞれ違う勢力として競うゲームとなる。センサーによって手の動きが検知されるので、実際に手を動かすことでフィールド上にある円盤を打ち、相手陣地のゴールに入れることで競い合っていくことになる。
ARを活用しているので、演出も光や音を駆使して、没入感が演出されていた。他にも、スキルを使えるようになるアイテムがフィールド上で出現するなど、ゲーム性も工夫されていた。
NHN PlayArtの両名も実際に試遊プレイを行った。制作過程においても何度かプレイしていたようだが、会場にて演出も最大限組み込まれた最終版をプレイしたのは今回が初となるそうだ。
最終的にここまでブラッシュアップできたことに林氏も感銘を受けていたようだった。
▲プレイ後、アドバイスや激励も送ったNHN PlayArtの林氏と山下氏。
▲会場の様子。
今回の取り組みを通じて、実際にバンタンゲームアカデミーに在学している生徒がNHN PlayArtのゲーム制作現場にてアルバイトとして参加することも決まったようだ。
▲アルバイトとしてNHN PlayArtに入社したバンタンゲームアカデミーの青山研人さん
産学協同のプロジェクトにて、実際にプロの現場への道も繋がりもあるとなれば、ゲームクリエイターを志す生徒にとっても貴重な経験となっただろう。
最後に、NHN PlayArtとバンタンゲームアカデミーから、本取り組みについての振り返りを聞いてみた。
< NHN PlayArt:コメント>
――:本取り組みを振り返ってみていかがでしたでしょうか。
林:今回の取り組みに参加させていただき、ありがとうございました。本音で話すと、最初のプレゼンを聞いた時は、めちゃくちゃ心配だったのですが、何度か学校を訪問して話を聞く度に、ゲーム内容が磨き上げられてき、安心しました。完成したゲームは、誰もがすぐに楽しめるものになっており、楽しんでいるお客さんの姿も見られて、とても嬉しかったです。
山下:過去の記事でもお話したようにプロモーションの相談の際に偶発的に生まれたプロジェクトですが、最終的にはバンタンゲームアカデミー様とメンバーの皆様とNHN PlaArtの三者にとってそれぞれ実りがあるものになったと思います。
若く熱意あふれるゲームクリエイターである皆さんと採用面接だけではなく、ゲーム制作を通して継続的にコミュニケーションが取れるということは採用を行う企業としてもとてもありがたいことでした。
――:印象的であったシーンなどはありますか。
林:やはり、TGS当日のゲームの完成度が、格段に上がっていたことです。限られた時間でのゲーム制作でしたので、出来なかったこともたくさんあったと思いますが、今回のゲームにとって大切な要素を見極め、取捨選択することで、短い時間で完成まで辿り着けたことは、本当に良い経験になったのではないかと思います。この経験を将来のゲーム制作でも活かす事で、たくさんのプレイヤーが楽しんでくれるゲームを生み出してもらいたいと思います。
山下:TGS2023当日に林とブースにお伺いした際、メンバーの皆様が生き生きとした表情で準備をされているのを見て自信が持てるようなものが制作できたのだと感じることができました。
私たちはただ聞かれたことに対してレスポンスを行っただけなので、今回の成功はメンバーの皆様やそれを支えた講師の方や堀口様らスタッフの皆様の熱意や尽力の賜物だと思っています。
いい刺激をいただきました。ありがとうございました。
――:実際にアルバイトとしても参加することが決まったそうですが、経緯や決め手などがあればお教えください。
山下:ゲームのクオリティももちろんですが、青山さんからプレゼンを受けた際の雰囲気がNHN PlayArtと合いそうだなと漠然と思ったことがきっかけです。
プレゼンを受けた帰り道に林とその話をしたところ、たまたま林もそのように感じていたようなのでじゃあ、是非迎え入れましょうという方向で話を進めましょうとなりました。
青山:この度、NHN PlayArtでアルバイトをすることになりました青山です。参加したいと思った決め手は、ゲーム開発に携わる職業を目指すうえで重要な経験を得ることができると感じたためです。私はバンタンゲームアカデミーではプログラマークラスを専攻しているため、今回プランナーとして制作に参加することで、普段の制作では学べないことを現場の業務から学んで吸収し、ゲームクリエイターとして成長したいと考えています。
――:今後も産学協同のプロジェクトでしてみたいことなどあればお教えください。
山下:引き続き企業と学校と若いゲームクリエイターの三者がwin-winになるような形を模索していければと思っております。
バンタンゲームアカデミー様にもこのプロジェクトをきっかけにゲーム会社さんといろいろな取り組みをしていただきたいですし、NHN PlayArtとしても採用活動や採用面接だけではなく、優秀な人材を抱える学校様とお取り組みができるよう積極的にアプローチをしていきたいです。NHN PlayArtは面白さを追求する会社なので何かまた新しい面白いことを考えていきたいですね。
< バンタンゲームアカデミー:コメント>
――:本取り組みを振り返ってみていかがでしたでしょうか。
全く別のご相談から、ご縁をいただいた本取り組みでしたがとても実りのある取り組みになったと感じております。まずは弊校の思いを汲み取って頂き、林様、山下様をはじめとするNHN PlayArtの皆様には本当に感謝しております。生徒にとっても業界の最前線でご活躍される方と関わることができ、非常に刺激のある機会になったと感じております。
また、本取り組みをきっかけに素敵なご縁が生まれたことも非常に嬉しく思います。
――:印象的であったシーンなどはありますか。
初回のチェック会が印象的でした。林様から「このゲームをプレイするのは恐らく一生で今回だけ。その人にとって最適なルールやゲーム性を提供できているのか?」というご指摘があり、生徒たちも考えるきっかけになったようです。最終的に生徒たちが企画を見つめ直し、全く違うゲームを制作することに決まりました。プロの現場でもよく起こる話だと聞きますが、現場のリアルを垣間見た気がしました。
――:会場での反響などはいかがでしたでしょうか。
1時間以上お待ち頂く程の大人気ゲームとなりました。見た目からルールが分かりやすく、親しみやすいゲームになっていたため、カップルや小さなお子様を連れたご家族等、男女年齢関係なく、楽しんでいただくことができました。このようなゲームになったのもプレイしてすぐ楽しいゲームを、本気で突き詰めつづけるNHN PlayArt様にご協力頂いたからだと感じております。
――:今後も産学協同のプロジェクトでしてみたいことなどあればお教えください。
ぜひ、多くのゲーム会社様と関わりたいと思っております。形式にこだわることなく、それぞれのゲーム会社様に合った形で気軽にお取り組みができればと思います。そこから多くの生徒に成長の機会や採用のご縁を頂ければ幸いです。
NHN PlayArt様とも次なるお取り組みができればとも考えております。
バンタンは「世界で一番、社会に近いスクールを創る」をビジョンとしております。これからも業界との関わりは大切にしていきたいと思っております。
会社情報
- 会社名
- NHN PlayArt株式会社
- 設立
- 2015年10月
- 代表者
- 代表取締役社長 丁 佑鎭
- 決算期
- 12月