【インタビュー】熱狂的に愛されるコンテンツをつくるため、チームで補いチームで作る…『あんスタ!!』を手がけるHappy Elementsのゲームデザイナーとは

『あんさんぶるスターズ!!Basic/Music』や『エリオスライジングヒーローズ』、『メルクストーリア - 癒術士と鐘の音色 -』などで知られるHappy Elements株式会社。

同社は京都に拠点(カカリアスタジオ)を置き、数多くのオリジナル作品を自社開発で行っているのが特徴のゲーム会社だ。昨今では数多くの作品がひしめき合う中、同社が手がける『あんさんぶるスターズ!!(以下、『あんスタ!!』)』は去る4月に8周年を迎えており、多くのユーザーに愛される作品となっている。

Happy Elements株式会社ではどのようにしてゲームが開発・運営されているか。これまでgamebizでは様々なクリエイターにインタビューを実施してきたが、本稿では同社ゲームデザイナーにフォーカスを当ててみた。




Happy Elementsのゲームデザイナーは”ゲームをより良くしていく”仕事

Happy Elements株式会社
R.H

ゲームデザイナーのサブリーダー。主にセクション内のタスク管理やスケジュール管理などを担当。

N.T
企画業務全般を担当。『あんスタ!!』においては、季節施策から周年施策など全体的なスケジュールの決定や企画を行う。

A.T
主に、ゲーム内外の告知関連を担当。告知スケジュールやマーケティングチームとの連携を中心に機能実装などにも関わる。



――:早速ですが、Happy Elements株式会社におけるゲームデザイナーという職業についてお聞かせいただけますでしょうか。

R.H:ゲームデザイナーごとにやっていることも違いますし、タイトルによっても変わるところではあるので、一言でいうと難しいかもしれないですね…(笑)。

ただ、やはりエンジニアさんやデザイナーさんなど、セクション間との橋渡し役のような役割を担うことが多い点はおそらく他社様とも近いところだと思います。

ゲームデザイナーは企画の立案者になることが多いので、各タイトルのチームが目指すところに向かってリードしていく役割は多かったりします。

N.T:タイトルによっては細かくは異なりますが、そもそもHappy Elements株式会社ではトップディレクターやトッププロデューサーといった人がいるわけではありません。

『あんスタ!!』では、リーダーとゲームデザイナーチームで1年先や2年先も踏まえて、タイトルとしての大きな展開を話し合って考えていくことが多いです。

――:何かをはじめるにあたってのベースとなるような役割なのですね。

R.H:『あんスタ!!』のゲームデザイナーは現在10名ほどの規模ですが、それぞれの役割が異なっています。

例えば譜面制作。『Music』はリズムゲームですので、譜面を制作する専門的なゲームデザイナーがいます。他にもイラストレーターさんの制作進行管理を行っている方もいれば、マスターデータ作成を担当されている方もいます。

N.T:A.Tのように、告知分野においても、プロモーション担当、企画担当といろいろと、役割は分かれています。


――:まさしく、三者三様なバリエーションになっていますね。普段はどのようにして業務を進めていらっしゃるのでしょうか。

R.H:私はタイトル内外のメンバーや他社様とも関わることが少なくないため、基本的には打ち合わせの発生頻度が高く、多い時は1日のほとんどが打ち合わせで終わることもあります。

打ち合わせ後には担当者への情報共有や作業発注など窓口業務や、他にはキャンペーンリリースに向けた全体スケジュールの進捗確認や監修業務、資料作成などを行っていることが多いです。

N.T:私は企画の一番最初からリリースするところまでを担当し、内容や種類によって一人で進めることや、他の人と分担して進めることもあります。

アプリ内の施策でいうと、1年間の計画の中で、「この時期にこういうことやりましょう」みたいものをまず決めて、そこからは、企画概要、画面仕様、データ仕様、イラストやテキストの仕様、データ入力、WEB・X(旧Twitter)でのお知らせの仕様、そして最後にそれぞれを形にして各種リリースという流れになっていきます。

都度エンジニアさんやコンテンツプランナーさんとも相談していきながら進めます。最近はゲームデザイナーチームメンバーが増えてきたので、各工程でメンバーにそれぞれお願いして、必要な箇所でチェックなどを行うような形になってきています。

――:他社さんでいう、プロデューサーやディレクターのような役割ですね。

N.T:他にも、例えばこのタイミングでは過去編をやりたいです、ここを舞台にしたイベントにして欲しいです、などのスカウトやイベントなどの重要な箇所のおおまかなオーダーを行ったり、その延長で楽曲やMVの企画MTGなどにも参加して企画全体の方向性としてブレていかないかを見たりもしています。

というと偉そうに聞こえますが、実際はたいていのことは各セクションの方々がとてもいい感じにしてくれるので、案出しの壁打ち役みたいな感じだったりはします。

A.T:自分は告知準備のほか、アプリの機能改善に携わらせていただくことが多いのですが、告知も担当している関係上、X(旧Twitter)を見て、実装した機能の反響なども毎日追っているので、ユーザー目線も取り入れつつ改善すべきところをピックアップして、グループに提案をしています。提案だけではなく、開発からリリースに向けた調整まで担当することが多いです。

――:かなり独特なチームだと言えますね。

N.T:ゲームデザイナーチームの成り立ちとして、「より良くしていく」「足りないところを補っていく」といった側面が強かったので、Happy Elements株式会社のゲームデザイナーは足りないところやより良くしたいところを要件定義して、そこを得意な人が担当するといった、分業性もある職種になるかなと思います。

採用や社内募集などでも、具体的にやることや足りていないことを示すパターンが多いですね。

そこにちょうど当てはまっていれば、全部が全部できる必要はなく得意分野で活躍できますし、とはいえ最初に与えられたその枠にとらわれるわけではなく、業務の中で別の得意分野が見つかれば、臨機応変にそこでもまた活躍してもらう…みたいな形になっていると思います。

それこそ私自身、Happy Elements株式会社にはアルバイトのイラストレーターとして入社したんですよ。

ただ、その当時から「こういうイベントとかこういう展開とかあったらいいんじゃないか」とか、他の職種からでも提案や発言ができるような風潮があったので、若さゆえの勢いもあって、そういう話を結構あちこち、当時の所属チームも越えた範囲とかでも少し企画を持ち込んだりもしていて。

ちょうど『あんスタ!!』チームのゲームデザイナーを増やしたいなというタイミングがあったときに、そのあたりを買ってもらって今のグループにお誘いいただき、ゲームデザイナーに転向したという経緯がありました。

…かなり特殊なケースだと思いますね(笑)。



みんながクリエイターで、みんなで補う…ハピエレ文化とは



――:なるほど。皆様の入社経緯もお聞かせいただいてもよろしいでしょうか。

N.T:当時、『あんさんぶるガールズ!!』という作品を学生の頃からずっと遊んでいて、大学も京都で過ごしていました。

そして『ラストピリオド』が出る頃になるのですが、『ラストピリオド』の情報がしばらく出ていない時期があり、「『ラスピリ』ってどうなっているんだろう?」と会社のWEBサイトを見に行ったらイラストレーターの学生アルバイト募集とあったので、「そんな仕事あるんだ!しかもチャリで行ける!」と思い、応募しました。

R.H:私もHappy Elements株式会社のタイトルが大好きで…。

以前私はWeb業界にいましたが、ライフステージの変化などのタイミングで、改めて仕事としてゲームに携わりたいと考えるようになりました。

そこに当時、自分が好きなタイトルの開発・運営会社が採用募集していたので、チャンスと思い応募した結果、運良く入社するに至りました。

A.T:私は前職もゲーム会社でしたが、より自分に合った環境でやってみたいと考えていた時に、好きな作品『あんスタ!!』の会社が募集しているということで応募しました。

――:(笑)。みなさん元々作品がお好きだったのですね。入社してみての印象はいかがでしたか?

N.T:学生アルバイトで入社したので、イラストレーターといってもまずはアイテムの素材を描くくらいかなと思っていたのですが、最初から「今度出すカードのイラストを描いてみない?」と言われて驚いた記憶があります。

ずっと集めていたゲームのカードイラストをすぐに描かせてもらえるんだとびっくりしました(笑)。

あとは、すごいフレンドリーな会社でもあり、当時お昼ごはんもチームのイラストレーターみんなで食べるくらい仲の良い感じだったので、居心地の良いままずっとここにいるなと感じます。

R.H:私は”クリエイター・ファースト”という理念が入社前から印象的だったのですが、掲げているものに違わずというか、制作や開発に専念しやすい環境を整えていただけているなと常々思います。

文化としても、業務上決まった役割はありますが、やりたいことを実現しやすいと思いますし、周りも追随してくれるメンバーが多い印象です。

A.T:入社して1,2週間くらいで、ゲーム内の「オフィス」機能で登場する家具のデザインもやって良いと言われ、ペンタブも用意してもらったのがすごく印象的でした。

ゲームデザイナーも”クリエイター・ファースト”のクリエイターに入っているんだと感じたのを覚えています。

以前の会社は、比較的トップダウンで物事を進めていく会社で分業が進んでいました。ですから、自分自身が関わったものがゲームになっているという実感が薄いこともあったのですが、Happy Elements株式会社では自分の意見をダイレクトに反映させることもできる実感があります。

――:どなたでもゲーム作りやクリエイティブに関与できると。

R.H:以前にいた会社ですと、職種をまたいで意見することが難しいこともありましたが、Happy Elements株式会社ではそのようなことはなく、いいコンテンツをつくるために比較的みんなが意見しやすい環境だと思います。

――:お話を聞いていると、企画を色んな人で進めている一方で、とりまとめなども大変な部分はあるかと思いますが、その点で工夫していることなどはあるのでしょうか。

N.T:弊社ですと、他の職種の方も協力的な方が多いのも特徴なのかなと思います。

かつては、ゲームデザイナーが二人の頃もあり、できることも限度がありました。

ですから、UIデザイナーさんが、画面仕様に近いところまでを引き取ってまとめてくださったり、エンジニアさんも「企画のこの部分はこういう見せ方の方が良くないですか」と自主的に進めてくれていました。

ですので、ゲーム開発において、調整や取りまとめが大変だと感じたことはないですね。

R.H:もちろん、昔よりは人数規模が大きくなったので、調整や取りまとめのコストが上がった部分は少なからずありますが、各セクション、各メンバーの協力の元やってこれたのだなと思います。

A.T:イラストレーターさんやエンジニアさんからも、ゲームデザイナーなどに主体的にコミュニケーションをとってくれるというのがHappy Elements株式会社の文化なのかなと思います。

――:すごく珍しい文化だと思います。

A.T:Happy Elements株式会社では、意見が言いやすい社風があるとみんなが認識していると思います。

もちろん全てが実装できるわけではないですが、ゲーム内に意見が反映されるという成功体験を積みやすいので、義務感でコミュニケーションするわけではなく、自然と「こうしたらもっとよくなるんじゃないか」というのが出てくるのかなという印象です。

――:根本的なところは、少人数でやっていたというルーツなんですかね。

N.T:そうかもしれないです。他の会社さんと比べて、どのセクションも少人数だと思いますので、自ずと受け身にはならないと思います。誰かが落としたところを誰かが拾ってみたいことを繰り返してきたので、ある程度人の増えてきた今でも「良いところだよね」と言えるカルチャーになったのかなと思います。

色んな人を巻き込んで作品をより良くしていく

――:またゲームデザイナーについてお聞きしますが、ゲームデザイナーにはどういった人が向いていると思いますか。

R.H:企画や提案などを出したときに、ポジティブに乗ってくれる方が多いので、主体的に動ける人の方が楽しめるのではないかなと思います。

担当業務以外にも、自分がやりたいことがあればそれに応じて業務領域が広がることもよくあります。

また、他セクションとも頻繁に相談しながら企画・開発を進めていくことが多いので、そういった面も苦を感じないというか、チームで話し合いながら物事を進めていくのが好きな人などは向いているんじゃないかとも思います。

N.T:スキル面においてはやることによっても変わってきますので、「一番強いところ一点で戦ってもいいよ」と思います。

細かいことに気づく人が向いている仕事もあれば、ざっくり楽しいことを考えられる人が向いていることもあります。

それこそ、作品愛に溢れている人が多いので、冷静に物事を分析できる人も重要であったりします。

誰かがサポートに入ってくれるので、自分の強みを持ちつつ、また自分も誰かのサポートが苦じゃない、という人が性に合うと思います。

A.T:あとはゲームが好きであったり、『あんスタ!!』などのタイトルを遊んでいるのも重要かと思います。

エンジニアさんとも、タイトルを遊んでいる前提で話すこともありますし、やはりタイトルを遊んでいると共通言語としてコミュニケーションしやすいかなと思います。

N.T:あくまで私の経験則になりますが、ソーシャルゲームが好きな人っていうのは、やっぱりソシャゲの運用にもあっているかと思います。

R.H:ゲームしかり、何かしらのコンテンツをめちゃくちゃ好き多という方が多いとは思いますね。

やっぱり、そういった何かに熱狂できる性質みたいなものが、コンテンツづくりにおいても活きてくるのかなと思います。

――:皆様の展望などについてもお聞かせいただけますか。

R.H:私は今のチームに入って間もないので、『あんスタ!!』をもっと良くしていけるようにしていきたいですね。

N.Tがよく「『あんスタ!!』を最強にする」と言っているのですが、私も『あんスタ!!』を盛り上げていくことに貢献していきたいと思っています。

N.T:「『あんスタ!!』を最強にしたい」というのは、これからも作品を大きくしていって「『あんスタ!!』をやっていたら楽しい」と毎年思ってもらえるようにしっかりと、新しいコンテンツや機能を出していきたいという意味になりますね。

来年が9周年となり、その次が10周年になります。その時も、今までにないくらいに盛り上がりをみせたいです。

いつもその時が一番ピーク、と言えるようにしていきたいです。みんなで多くの人々に楽しんでもらえるようなタイトルにしていきたいですね。

A.T:自分はプロモーション企画を担当することが多いので、『あんスタ!!』という作品をより知ってもらいたいですね。

『あんスタ!!』を好きでいてくれている方にとっても、『あんスタ!!』を応援していてよかったと思えるような企画を考えていけるようにしていきたいです。

プロモーションもとにかく派手にすれば良いというものでもないので難しい分野ですが、とにかくいろんな人を巻き込めるようなプロモーションを考えたいなと思っています。

――:読者に向けて一言お願いします。

R.H:Happy Elements株式会社は”熱狂的に愛されるコンテンツをつくる”ためにクリエイターが働きやすい会社だと思います。

トップダウンというよりも、チームで話し合って開発していくことが多く自由度はとても高いので、そのような環境に魅力を感じる方にはマッチすると思います。この記事を読んで興味を持ってくださる方がいればとても嬉しいです。

N.T:この会社は、人も穏やかな方が多くて仲が良いですし、ノイズ的なものはほとんどないというか、社内政治といった動きを一つもしなくてよくて、本当に作品のことだけを考えて良いと思います。

結構皆さん許してくれるので、「こう言ったらこう思われるかなと」といった気遣いさえもあまり考えなくてもよくて、本当に働きやすいです。

……もちろん好き勝手やって良いということではないですが、皆が皆、作品のためにやりたいことには非常に協力的な会社なので興味のある人は是非一緒にやれたらなと思います。

A.T:新しいことをやりたいとか、そういった熱意がある方は是非Happy Elements株式会社はいかがでしょうか!(笑)。

そういった熱意を受け入れてくれる会社でもありますし、周りの人もすごく応援してくれて協力的なので、そういった方にはぴったりだと思います。

――:ありがとうございました。





 

 

 

 

 




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