DeNA、中国での事業リスク増大を受け開発体制を抜本的に見直し タイトルの減損、体制縮小 今後は日本中心に開発、大規模開発のリスク低減も
ディー・エヌ・エー(DeNA)<2432>の岡村信悟社長(写真)は、この日(2月7日)、第3四半期の決算説明会において、ゲーム事業の減損損失114億6200万円を計上した件についてタイトル単位のものであると説明し、日本と中国の拠点で開発していた大型タイトルの減損を行うとともに、中国事業についても抜本的に見直すことにしたことを明らかにした。すでに中国事業の体制縮小にも着手したとのことだった。
中国事業の抜本的な見直しの背景として、事業環境の変化をあげた。「版号」の新規発行の停止がしばしば起きていることや、未成年のゲーム規制、オンラインゲームに関する包括的な規制などゲーム運営への制約が強まっている。外的要因による新規リリース計画や見通しの見直しなどを余儀なくされ、業績や開発リスクが高まっているという。
さらに、ゲームの開発費や運営費が増大化していく傾向もあることも見直した一因だ。新作の開発体制と関連コストの適正化も課題となっていた。ゼロコロナ政策も事業上の制約として作用した。
ゲーム事業に関しては、今後、日本拠点を中心に大型IPを中心としたパイプラインを推進していく。多くのパートナーとの協業も進んでおり、新規タイトルの仕込みは進んでいるそうだ。2025年3月期においては3本程度のリリースを予定しているという。
さらに従来からのゲーム開発・運営に加えて、大規模開発のリスクを大幅に低減するアプローチにも挑戦していく。具体的にはゲーム運営が得意であるという強みを生かした開発手法を導入していく考えだ。大きな費用をかけて開発してからリリースするのではなく、早期にリリースしてユーザーの反応を分析しながらさらに開発を進めて磨き込むアプローチだ。
そのなかで開発費を含めてマイルストーンを細かく設けることで、投資をコントロールしながら、成功できるタイトルには大きく投資を行っていくような柔軟な対応を考えているという。
これは大規模開発そのものを否定するものではなく、リスク低減を狙ったものだという。長い年月と巨額の費用をかけて大作ゲームを開発しても期待した運営成績が出なければすぐに終わってしまう。そして大きな損失を負うことになる。10~20億円かかることも珍しくなく、1タイトルの失敗で財務的な打撃も大きい。
膨れ上がった開発費は、モバイルゲームの会社にとっては大きな課題だ。よく行われる公開αテストやSteamなどで行われているアーリーアクセスのようなものをイメージしたが、詳細は今後発表するとのことで、同社の新しいアプローチに注目したい。
会社情報
- 会社名
- 株式会社ディー・エヌ・エー(DeNA)
- 設立
- 1999年3月
- 代表者
- 代表取締役会長 南場 智子/代表取締役社長兼CEO 岡村 信悟
- 決算期
- 3月
- 直近業績
- 売上収益1367億3300万円、営業損益282億7000万円の赤字、税引前損益281億3000万円の赤字、最終損益286億8200万円の赤字(2024年3月期)
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 2432