【サービス終了、その瞬間】バンダイナムコENT『ミニ四駆 超速GP』…”小さなレーサー“だった全ての大人たちがチェッカーフラッグを受けた

スマートフォンアプリ市場は、日々新しいゲームがリリースされている。その一方で、様々な事情により惜しまれつつサービスが終了してしまうゲームも少なくはない。

gamebizでもサービス終了に関する記事(関連情報)を取り上げている。

それら記事を読み、「あと数ヵ月後に終わるのか…」と思うが、サービス終了発表~サービス終了当日までの期間、そのゲームについて追ってはいなかった。

そこでgamebizでは、それらゲームのサービスが終了するその瞬間に立ち会って、ゲーム内でどのような事が起こったのかを伝える「サービス終了、その瞬間」を展開している。

今回は、2024年5月7日15時をもってサービスが終了となった、バンダイナムコエンターテインメントの『ミニ四駆 超速グランプリ』(以下、ミニ四駆 超速GP)をピックアップする。

バンダイナムコENT『ミニ四駆 超速GP』(Since 2020 to 2024)

まずは『ミニ四駆 超速GP』の概要について。

本作は、ミニ四駆ライフをアプリで楽しめる「超速カスタムレーシングゲーム」となっている。

2020年1月15日よりサービスを開始しており、それから約4年4ヵ月でのサービス終了となった。

タイトル発表からサービス終了までの歴史を振り返る

続いて、『ミニ四駆 超速GP』発表からの歴史を振り返っていこう。

本作の存在が公になったのは、2019年4月9日の事。タミヤと小学館、バンダイナムコエンターテインメントが、タミヤプラモデルファクトリー新橋店にて「ミニ四駆メディアミーティング2019」を開催し、タミヤより発売中の全長約15㎝のレーシングホビー「ミニ四駆」のApp Store/Google play向け新作ゲームアプリケーションの制作を発表した。

リアル志向を追求し、アプリに登場するパーツは実物を3Dスキャン。数々の名マシンから最新マシン、様々なパーツが登場する予定となっており、多彩なカスタマイズと白熱のレースというミニ四駆の醍醐味をスマホで体験できるアプリである事、そして「ダッシュ!四駆郎」や「爆走兄弟レッツ&ゴー」等、コロコロでおなじみのミニ四駆マンガのキャラクターたちも登場予定との発表内容に、全ミニ四駆ファンが大きな期待を寄せた。(関連記事

アプリ発表から約半年後の2019年9月、東京ゲームショウ2019のバンダイナムコENTブースに『ミニ四駆 超速GP』が出展。(関連記事

『ミニ四駆 超速GP』コーナーでは、タミヤが「1/1 ミニ四駆実車化プロジェクト」で実車化した世界に1台しか無い貴重なマシン「1/1 ミニ四駆 エアロ アバンテ」が展示され(関連記事)、それを写真撮影してSNSにアップした来場者にミニ四駆をプレゼントするという企画(関連記事)が行われた。

同年10月15日よりβテスターの募集を開始したのち、11月5日に事前登録の受け付けがスタート。そして翌年の1月15日、『ミニ四駆 超速GP』は正式サービスを開始した。(関連記事

 

 


そしてリリースから2週間後の2020年1月29日には、『ミニ四駆 超速GP』が50万ダウンロードを突破。シャイニングスコーピオンを手に入れるチャンスの「神速フェス」と共にアプリ50万DL記念キャンペーンを開始した。(関連記事

ちなみに、2020年2月12日にSp!cemart協力のもと、カレンダー機能を用いたランキング上位タイトルの直近のゲーム内施策を分析する連載記事で『ミニ四駆 超速GP』を取り上げているのでそちらもチェックしてほしい。(関連記事

また、2020年2月27日のApp Storeの売上ランキング(ゲームカテゴリー)では、前日より開催された原作再現イベント「烈&豪 涙のラストバトル」、そして「ビクトリーマグナム」と「バンガードソニック」をピックアップした「神速フェス」の効果で、14位と正式サービス開始からの最高順位を更新した。

以降も様々な人気車種が登場する「神速フェス」や、各種原作再現イベント、声優の徳井青空さんが登場するイベント「徳井青空からの挑戦状」など、様々な施策を実施。

2020年4月15日にはアプリ200万DL突破、同年11月4日には300万DL突破が発表され、さらにアプリ内初の公式オンライン大会である「スーパーグレート超速グランプリ」が同年6月18日より開幕。

2021年になっても、『アイドルマスター ミリオンライブ!』とのコラボイベント「MILLION ROAD★~輝け!私たちの流星~」や、1.5周年を記念した施策などを展開し、同年8月26日には400万DLを突破した。

2023年2月24日には『ミニ四駆 超速GP』にて超大型アップデートを実施。日本全国のステーションを巡り、ミニ四レーサーたちと交流できる新機能「ミニ四列島」を実装した。(関連記事

そして2024年1月11日、『ミニ四駆 超速GP』は4周年を迎えることを記念した各種キャンペーンを開始。(関連記事

リリース開始から4年間、多種多様な施策でミニ四駆ファンを楽しませてきた『ミニ四駆 超速GP』だったが、2024年3月7日、サービスが同年5月7日をもって終了することが発表されたのだった。

1週間前からプレイ…有終の美(サ終)を見届ける

『ミニ四駆 超速GP』の発表からサービス終了決定までの流れをお届けしたところで、ここからはサービス終了1週間前の2024年5月1日からログインしたプレイ記録をダイジェストでお届けしよう。

いつものようにアプリをインストールして、ゲームデータのダウンロードから。

約4年4ヵ月のデータ量は伊達ではなく、少々時間がかかるようだ。しばしぼんやりとスマホ画面を眺めていると、何やら実写ムービーが。

エモい!エモすぎるんだよ!! ミニ四駆第一次ブーム直撃の40代半ばのオジである筆者に対し、心憎いまでの演出。なんだか少年時代の記憶がよみがえってきた…。

【よみがえりし記憶・僕とミニ四駆】

・ダッシュ1号・皇帝(エンペラー)を求めて雨の中隣町のおもちゃ屋まで自転車で向かうも売り切れ。ダッシュ2号・太陽(バーニング・サン)を買い妥協する事を学んだ。

・「ダッシュ! 四駆郎」に影響され、棒(ガイドスティック)代わりに傘を使ってバーニング・サンを走らせるも、コントロール出来ずにドブに突っ込む。太陽が沈む瞬間を見た。 

・誕生会で友達にミニ四駆をプレゼントするも、タミヤブランドじゃない偽物だったため友達の表情が曇る。曇るのは空だけじゃないんだ。

・友達とミニ四駆とゾイドどっちが強い論争になり、バーニング・サンとウルトラザウルスを正面衝突させてみる。マシンのボディが吹っ飛びゾイド勝利。共和国の技術力に敬服する。 

・国語の漢字読みテストで地平線をホライゾンと書いて×をもらう。

と、少年筆者のミニ四駆との思ひ出で浸っていたらデータダウンロードが完了。ガイド役のシャーシちゃんが現れた。


▲サービスが終了することを受けての演出なのか、シャーシちゃんから心に染み入るお言葉をいただいたよ。

シャーシちゃんから『ミニ四駆 超速GP』のアレコレを教えてもらうと、相棒となるマシンをくれるとの事。

筆者が選んだマシンはアバンテJr.だ。実は筆者は前職時代、大人になってミニ四駆を作りレースに参加するという企画をやったことがあり、その時に選んだのがこのマシンだったのだ。久しぶりだね、アバンテJr.。

マシンネームとレーサーネームを決めたら準備OK。『ミニ四駆 超速GP』の世界へ飛び込むことと相成った。

どうやらミニ四ワールドのワールドMAP2をクリアしないと、プレイヤー(以下、レーサー)同士が絡める機能が解放されないようなので、チクチクと同モードを進めていくことに。


▲子どもの頃、夕方放送してた「タミヤRCカーグランプリ」観てました!

そういえば、サービス終了が近いからなのか、それとも違う理由なのか定かではないけど、超速ガシャの各周年セレクションが毎日無料で引けたのはありがたかった。

毎日無料でレアリティの高いパーツがゲットできるもんで、我がマシンもあれよあれよと進化。もはやアバンテJr.って見た目じゃないけどいいの。勝てればいいの。こうしてサクサクとワールドMAP2までをクリアすることができたのだった。


▲輪子可愛いよ、輪子。そういえばキミのお兄さん、アニメ版の声“ばい●んまん”だったよね。

さてさて、ワールドMAP2突破により、他のレーサーとチームを作れる機能や、他のレーサーが作成したステーションでレースに参加できるミニ四列島といった機能を解放することができた。

そんなこんなでサービス終了当日を迎えた。筆者は終了1時間前の5月7日14時過ぎに最終ログインを果たす。

他のレーサーの様子を確認すべく、まず都内のステーションを覗いてみると、何名かのレーサーがレースを楽しんでいるようだ。

続いてレーサー同士で結成したチームの一覧をチェックしてみると…。

全てのチームを確認したわけではないが、ご覧の通り多くのレーサーが『ミニ四駆 超速GP』の最後を見届けにログインしていることがわかった。

そして時刻は15時となり、画面上にはメンテナンス中の文字が。

こうして、『ミニ四駆 超速GP』は約4年4ヵ月の歴史に幕を下ろしたのだった。

▲サービス終了後の公式X(Twitter)

©小学館 ©ShoPro ©TAMIYA
©BANDAI NAMCO Entertainment Inc.
※ミニ四駆は株式会社タミヤの登録商標。

【サービス終了、その瞬間】バックナンバー

前回の記事 ⇒ DeNAとバンダイナムコFW『takt op. 運命は真紅き旋律の街を』…運命が再び動き出すその日が来る事を願って

23年11月~24年3月掲載記事まとめ ⇒ 『GGGGG』『エラゲ』『シノアリス』『ONEPIECE サウスト』『消滅都市』『DFF オペラオムニア』

番外編もチェック ⇒ 番外編「after that サービス終了」(2023年)…『ハニプレ』『ダイの大冒険 魂の絆』『ロックマンXDiVE』等のその後をリサーチ

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株式会社バンダイナムコエンターテインメント
https://www.bandainamcoent.co.jp/

会社情報

会社名
株式会社バンダイナムコエンターテインメント
設立
1955年6月
代表者
代表取締役社長 宇田川 南欧
決算期
3月
直近業績
売上高2896億5700万円、営業利益442億3600万円、経常利益489億5100万円、最終利益352億5600万円(2023年3月期)
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