セルシス、6月中間決算は営業利益52%増の11億0500万円と大幅増益&最高益…「CLIP STUDIO PAINT」が国内外で好調、価格改定も押し上げ
セルシス<3663>は、8月2日、2024年12月期 第2四半期累計の連結決算を発表し、売上高40億6000万円(前年同期比4.5%減)、営業利益11億0500万円(同51.6%増)、経常利益12億2800万円(同66.9%増)、最終利益9億4300万円(前年同期は9200万円の損失計上)だった。6月に修正した業績予想を上回った。
・売上高:40億6000万円(同4.5%減)
・営業利益:11億0500万円(同51.6%増)
・経常利益:12億2800万円(同66.9%増)
・最終利益:9億4300万円(同9200万円の損失計上)
同社では、「CLIP STUDIO PAINT」バージョン3.0の販売が好調に推移し、国内と海外セールも好調だったことに加え、サブスクリプション契約価格、買い切り版の価格改定による収益性が向上した、としている。また、事業構造改革として、UI/UX事業を売却したことで採算性も改善したとのこと。プライム市場への移行準備費用も吸収した。
■コンテンツ制作ソリューション事業
売上高は35億3800万円(前年同期比16.6%増)、営業利益は14億6300万円(同26.1%増)となった。
2024年3月に、イラスト・マンガ・Webtoon・アニメーション制作アプリ「CLIP STUDIO PAINT」の機能向上を目的とした開発投資の成果として、「CLIP STUDIO PAINT」バージョン3.0のメジャーバージョンアップをリリースした。あわせて、収益性の向上と継続的なサービス提供を実現することを目的に、「CLIP STUDIO PAINT」のSaaS提
供であるサブスクリプション契約価格及び買い切り版の価格を改定した。今後も、サービスの価値向上に応じた価格改定を行っていく。
バージョン3.0は、2023年3月に提供を開始したバージョン2.0に続くメジャーバージョンアップであり、最新の機能を利用するためには、買い切りモデルのユーザーもサブスクリプション契約をする、または、新バージョンを優待購入する形態としている。バージョン3.0はリリース以来好評を博し、さらに、リリースにあわせて、新規ユーザーの獲得を目的とした全世界に向けた販売促進キャンペーンも実施した。これにより、サブスクリプション契約の増加や、既存の買い切りモデルユーザーからの新バージョン購入により収益が改善し、より安定的、かつ継続的なサービス提供が可能となった。
メジャーバージョンアップ施策は、マーケットにおける認知度の向上効果により、売上高及び利用者数の底上げが実現できるため、2025年12月期以降も定期的に実施する予定。
世界の11言語に対応している「CLIP STUDIO PAINT」は、約80%が日本語以外の海外に向けた出荷となっており、特に中国本土については、サブスクリプション契約数が順調に増加傾向で推移しAppStoreにおける国別売上高構成比では上位7位となる等、今後も成長が見込まれる。
この他、海外利用ユーザー及びサブスクリプション契約の増加を目的とした、全世界に向けたプロモーション活動を継続的に実施している。
「CLIP STUDIO PAINT」は、2024年5月には、累計出荷本数が4000万本を超え、2024年6月には4161万本(前年同月比34.4%増)となった。また、「CLIP STUDIO PAINT」サブスクリプションモデルによるSaaSサービス提供のARRは、2024年5月には36億3000万円(1か月3億円超)、2024年6月には37億1000万円(前年同月比50.8%増)と過去最高となった。
「CLIP STUDIO PAINT」の2024年6月におけるチャーンレートは5.3%となっている。また、サブスクリプション契約数は2024年6月に100万契約を達成し、同月末には100.1万契約(同19.7%増)となり、イラスト、マンガ、Webtoon、アニメーション分野のクリエイターをサポートするコミュニティ「CLIP STUDIO」のクリエイターの会員数は全世界で892万人(同18.0%増)となり、2024年7月には900万人を達成した。
同社が注力しているサブスクリプションモデルでのライセンス提供は、廉価で利用開始の敷居を下げる反面、一括でまとまった金額のライセンス料を徴収する買い切りモデルに比べ、短期的には収益効果が低くなる。しかしながら、継続して利用することで中・長期においては安定した収益が期待できるため、引き続きサブスクリプションモデル契約の増加を目指していく。
2024年3月にはワイヤレスの片手入力デバイス「CLIP STUDIO TABMATE 2」の販売を開始した。「CLIP STUDIO TABMATE 2」は、はじめてiPad・iPhoneに対応することで、「CLIP STUDIO PAINT」の操作や機能について、競合アプリに対する競争力の強化を実現した。「CLIP STUDIO TABMATE 2」はリリース以来好評を博し、出荷本数は当初見込みを大幅に上回って推移している。
2024年4月には、「CLIP STUDIO PAINT」が、ワコムのペンタブレット新製品「Wacom Movink 13」にバンドルされ、全世界に提供開始した。バンドルした「CLIP STUDIO PAINT」は、無料利用期間後にサブスクリプション契約を行うことで継続利用できる形となっており、サブスクリプション契約の増加が期待され、さらに全世界でのバンドルでは、海外ユーザーの増加も期待できる。
また、「CLIP STUDIO PAINT」が、ドイツ最大級の日本のポップカルチャーイベント「DoKomi」や、「WEBTOON FRANCE」主催の「WEBTOON CONCOURS 2024」に協賛し、海外における認知度やユーザー層の拡大に向けた取り組みに注力している。
■コンテンツ流通ソリューション事業
売上高は5億2100万円(前年同期比2.8%増)、営業損失は3億5800万円(前年同期は3億2700万円の営業損失)となった。
あらゆるデジタルデータを唯一無二の “モノ" として扱うことでデジタルコンテンツの流通を実現する基盤ソリューション「DC3」においては、2024年5月に「DC3」のアップデートを実施し、DC3マイルームの3D機能向上、DC3マスター登録・編集アプリの提供を開始した。また、「Hive」各種プレイヤーをアップデートし、サイン機能、額装機能の強化により「モノ」としての表現力が向上した。
さらに、基盤となるプログラム「DC3モジュール」の品質強化、サービス事業者がDC3上で円滑にビジネスを行うための機能群の強化等、ソリューション品質向上に向けた開発投資を継続して行っている。
あわせて、「DC3」ソリューションの利用促進を目的とした営業・プロモーション活動を推進しており、「DC3」ソリューションを利用する予定の複数のサービス事業者との利用契約が進んでいる。虎の穴グループのクリエイターとファンを結ぶ新しい月額制ファンクラブプラットフォーム「クリエイティア」において、DC3コンテンツの販売機能が2024年1月にリリースされている。また、IP事業者の「DC3」ソリューションの活用実績として、2024年4月より放送開始しているアニメ「アストロノオト」、「ささやくように恋を唄う」や、ゲーム「エルシャダイ」、「Shadow Corridor 2 雨ノ四葩」、映画「数分間のエールを」とのコラボレーションを実施した。今後も複数のIPとの「DC3」ソリューションを活用したコラボレーションを実施予定。
電子書籍ソリューションにおいては、電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」を始めとする、電子書籍オーサリングソフトウェア等、様々なデバイス・プラットフォームに対応した電子書籍の制作・流通・再生にまつわるソリューションの提供を行っている。2024年5月には、REVOLVEのコミック&ノベル配信サービス「コミノベ」で、同年6月には、日経BPの法人向け新型デジタル書籍サービス「日経BP Insight Books」で電子書籍ビューア「CLIP STUDIO READER」が採用した。
なお、&DC3では2024年4月に様々な事業者への営業・プロモーション活動をさらに加速させることを目的に、コンテンツ領域に対する深い知見や経験を有する國枝信吾氏を社外取締役として招聘した。
■2024年12月期の業績見通し
2024年12月期の業績は、売上高77億2300万円(前期比4.5%減)、営業利益16億5500万円(同22.3%増)、経常利益16億1100万円(同14.7%増)、最終利益7億4400万円(同18.8%増)、EPS20.51円を見込む。
・売上高:77億2300万円(同4.5%減)
・営業利益:16億5500万円(同22.3%増)
・経常利益:16億1100万円(同14.7%増)
・最終利益:7億4400万円(同18.8%増)
・EPS:20.51円
計画に対する進捗率は、売上高52.6%、営業利益66.8%、経常利益76.2%、最終利益126.7%となっている。売上、利益ともに進捗率50%を超えたが、通期予想は据え置き。下期の事業進捗の状況を中止しつつ、修正が必要になった場合は速やかに開示するとのこと。
・売上高:52.6%
・営業利益:66.8%
・経常利益:76.2%
・最終利益:126.7%
会社情報
- 会社名
- 株式会社セルシス
- 設立
- 1991年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 成島 啓
- 決算期
- 3月
- 上場区分
- 東証プライム
- 証券コード
- 3663