
Aiming<3911>の椎葉忠志社長は、2024年12月期の決算説明会において、テレビアニメ放送に合わせて高品質のゲーム開発・納品ができるという独自の強みを活かしつつ、ゲーム化に取り組むIP(アニメやマンガなどの作品)の選定基準見直しや、プロジェクト規模の適正化など方針転換を行っていく考えを示した。
同社はかつてはオリジナルタイトルを重視し、IPタイトルへの取り組みには否定的だったが、近年はアニメ製作委員会に出資しつつゲーム化も行うなど、経営・開発方針が大きく変わっている。
この成功例として、『陰の実力者になりたくて!マスターオブガーデン(カゲマス)』があげられる。アニメが世界的に大ヒットし、ゲームもアニメの盛り上がりもあってセールスラキングで上位に入るなど人気を集めている。
ただ、前期にリリースした『2.5次元の誘惑(リリサ)天使たちのステージ(リリステ)』については「想定より良い結果ではない」としながら、アニメ放送のタイミングにリリースを間に合わせることができた。その後、売上に合わせた運営規模の適正化で利益が出せる構造になっているという。

さらに『WIND BREAKER 不良たちの英雄譚(ウィンヒロ)』については、3月12日にリリースする予定だ。アニメ第1期目の効果があるため、4月からの第2期(Season2)の放送に先行して配信することにしたという。

ゲーム業界においては、クロスメディア展開などでアニメ放送にあわせてゲームをリリースする計画としていたものの、開発が様々な事情から遅れてしまい、アニメ放送が終了して一定期間経過からリリースするという、IPとして"旬となる時期"を逃してしまう場面が散見された。
椎葉社長は「アニメ放送に合わせて、納期を守ってゲームをリリースすることはなかなかできないが、当社だけがそれを実現できていると考えている。納期をしっかり守り、品質も一定以上にあるということは、今後も様々な取引先に対してアピールできるポイント。開発力を維持しながら、さらに発展著しい生成系AIを活用し、より効率よくよりクオリティが高い開発に取り組みたい」と述べた。
また、IPタイトルの選定基準の見直しも行っている。グローバルで配信される新作アニメの中で特徴的で、版元、いわゆるIPホルダーが期待しているタイトルを選定して、一緒にIPを大きく成長させていく考えで事業を進めてきた。
『カゲマス』は前述したように大きな成功例だが、「毎回うまくいくやり方ではないことも検証できている」。今後は完全新作のみならず、既に発表されているIPの中から力があるものを選定することも積極的に行っていく考え。「今後進んでいくのではないかという案件」が複数あるという。
最後にプロジェクト規模の適正化もあげた。『カゲマス』については開発費は13億円規模だったそうだが、その他のタイトルは20億円を超えるような大きな規模のプロジェクトが複数あるという。
これでも同業他社に比べるとかなり低コストでクオリティの面でも高いとしながら、昨今のスマホゲーム業界の収益率低下を鑑み、全てのコンテンツを20億円規模でやるのは適切なビジネス判断ではないとし、今後は10億円、5億円などの規模で作れる内容、IPを選定していく考え。

同社は、決算発表において第4四半期の業績が増収・黒字転換したことを明かしたが、続く第1四半期も売上高51億2700万円(前年同期比11.3%増)、営業利益11億6900万円(前期は5億5200万円の損失計上)、経常利益2億1000万円(同1億5000万円の損失計上)、最終利益1億1000万円(同3億4100万円の損失計上)と増収・黒字転換を見込む。

会社情報
- 会社名
- 株式会社Aiming
- 設立
- 2011年5月
- 代表者
- 代表取締役社長 椎葉 忠志
- 決算期
- 12月
- 直近業績
- 売上高170億8600万円、営業損益5億5200万円の赤字、経常損益1億5000万円の赤字、最終損益3億4100万円の赤字(2024年12月期)
- 上場区分
- 東証グロース
- 証券コード
- 3911