アピリッツ<4174>は、12月12日、2026年1月期の第3四半期累計(2~10月)の連結決算を発表、売上高は増収を確保したものの、Webソリューションセグメントで発生した2件の不採算案件の影響により、各利益項目とも赤字計上となった。
売上高76億1900万円(前年同期比18.1%増)
営業損益1億2400万円の赤字(前年同期2300万円の黒字)
経常損益1億2700万円の赤字(同1900万円の黒字)
最終損益1億2300万円の赤字(同5700万円の赤字)
セグメント別の状況は以下のとおり。
①Webソリューション事業 売上高27億6800万円(前年同期比20.0%増)、セグメント利益2億3500万円(年同期比1.7%減)
これまで若手エンジニアに責任あるポジションを積極的に任せることで、案件を通じた技能向上および事業拡大を図ってきたが、第3四半期期間においては中長期的な収益性向上を重視し、不採算案件の見直し・対応に注力した。その結果、売上高は大きく伸長しなかった一方で、第2四半期までと比較して外注費などの費用は減少した。今後も不採算案件の収束とともに費用の削減を進め、利益は段階的に回復していく見通し。なお、不採算案件対応の影響は来期の第1四半期期間までを想定している。
また、人材ポートフォリオの観点で、従来の若手中心の体制からミドル~シニア層を含むプロフェッショナル人材を積極的に配置する構造改革に着手した。シニア人材の豊富な経験・専門性と若手の高い成長意欲の相互作用によって組織力を強化し、高付加価値・高利益率を目指した大型SI案件の受託開発を推進することで、競合他社との差別化を図っていく。その一環として、人材採用方針の見直しにより、中堅~シニア層の即戦力人材の獲得を強化すると同時に、プロジェクト特性に応じた最適なチーム編成への再構成を進めている。これにより、安定した品質と生産性を確保しつつ、中長期的なトップラインの拡大と収益性の両立を目指していく。
②デジタル人材育成派遣事業 売上高14億2800万円(同28.1%増)、セグメント利益3300万円(同14.8%減)
急速に進むデジタルビジネスの進展とそれを支えるデジタル人材の需給ギャップが構造的に問題となっており、第3四半期期間においても、質の高いデジタル人材に対するニーズは引き続き高水準で推移した。同社グループでは、これまで未経験に近い人材を採用し、蓄積してきた教育ノウハウに基づく育成を行うことで質の高いデジタル人材を顧客に提供してきたが、新たにミドル~シニア層のエンジニア採用を強化し、高付加価値な受託開発モデル(ラボ型開発)へのシフトを進めている。チームの中核を担う人材を多く採用することで、顧客先での技術リードやプロジェクトマネジメントの機能を強化し、より高度な要件に対応できる体制整備を図っている。
この戦略転換に伴い、第3四半期期間においては中核人材の採用に係る一時的な先行投資が発生し、利益は下振れる結果となったが、採用した人材が順次本格稼働していくことで、今後は収益性の改善が進んでいく見込み。人材派遣と受託開発を組み合わせた柔軟な提供形態により、顧客の多様なニーズに応えるとともに、同社グループ全体の事業規模拡大と収益基盤の強化を目指していく。
③推しカルチャー&ゲーム事業 売上高34億8400万円(同12.8%増)、セグメント利益1億9800万円(同35.8%減)
オンラインゲーム運営では、『けものフレンズ3』および『UNI’S ON AIR(ユニゾンエアー)』がいずれも2025年9月にサービス開始6周年を迎えたことを記念して周年イベントを開催し売上に貢献した。また、2025年6月には、従前までgumi<3903>と共同運営を行っていた『乃木坂的フラクタル』の運営サービスを同社へ完全移管し、運営パイプラインの拡大を進めている。さらに、運営体制の効率化および外注の内製化を継続しており、外注費を中心とした運営費用は引き続き削減傾向にある。
一方で、事業の分社化に伴い、これまで全社費用としていた一部の費用が当セグメントの費用として計上されるようになった結果、セグメント利益は前年同期と比較して低減する結果となった。
新規タイトル開発は、協業開発と比較してさらにリスクの低い受託開発プロジェクトを中心に推進していく方針へとシフトした。これにより、既存IPや運営ノウハウを活用しつつ、投下資本のコントロールと収益性の改善を優先していく。新規タイトルなどの大型開発プロジェクトについては、事業全体の収益力が回復した段階で、改めて本格的な投資再開を検討していく。
こうした取り組みを通じて、推しカルチャー&ゲーム事業においても、安定的な売上基盤とコスト効率の高い運営体制を両立させ、中長期的な成長余地を確保していくことを目指している。
■通期業績予想は9月5日の修正予想から変更なし
2026年1月期通期の連結業績予想については、9月5日に発表した修正予想から変更なく、以下のとおり。
売上高105億5100万円(前期比17.1%増)
営業利益1億300万円~1億7200万円(前期比44.5%~7.1%減)
経常利益9000万円~1億6000万円(同51.0%~13.6%減)
最終利益5100万円~9700万円(同12.4%~111.3%増)
会社情報
- 会社名
- 株式会社アピリッツ
- 設立
- 2000年7月
- 代表者
- 代表取締役社長 執行役員CEO 和田 順児
- 決算期
- 1月
- 直近業績
- 売上高90億800万円、営業利益1億8500万円、経常利益1億8500万円、最終利益4500万円(2025年1月期)
- 上場区分
- 東証スタンダード
- 証券コード
- 4174